第1話 最愛フィアンセ 1/18
宗助さんと想いが通じ合った、
あの日から一週間後--。
私と宗助さんは休日デートをし
たあと、
一朗さんと食事をするために、
花鳳院家に向かっていた。
私は宗助さんに肩を抱かれなが
ら、宗助さんを見つめる。
美咲
花鳳院家で暮らし始めて、もう
一週間が経ちましたよね。
どうですか?住み心地は。
宗助
どうってことねえ。俺はどこだ
って寝れる男だからな。で
も....。
宗助さんはそこで言葉を切る
と、私の顎に触れ、私の唇に視
線を落とす。
宗助
ここんとこ、全然眠れねえん
だ。お前が欲しすぎて....。
美咲
....宗助さん。
甘い瞳を向けられ、ドキッとし
ていると、宗助さんは私の唇の
横にキスをする。
宗助
今夜はぐっすり眠れるように、
ここでお前をいただいておく
か。
美咲
....なに言ってるんですか。ダ
メですよ。
耳まで熱くなるのを感じ、慌て
て宗助さんの腕から逃れようと
しても、
宗助さんは私をしっかりと抱き
しめ、離そうとしない。
第1話 最愛フィアンセ 2/18
宗助さんは私をしっかりと抱き
しめ、離そうとしない。
(宗助さん....離してくれないな。どうしよう....)
緊張する
何も感じない
嬉しい
美咲
(まさか本当にここで、何かさ
れたりしないよね....?)
この後の展開を想像して、体が
緊張で固くなっていく。
すると宗助さんが弾けるように笑った。
宗助
冗談だ。無理やり食ったりしね
えよ。
宗助
不思議だな。俺はガキの頃か
ら、物や人に執着したことなん
てなかった。
宗助
それが今じゃ、お前と数㎝離
れるだけで、胸ん中がキューッ
と痛くなる....。
宗助
元赤松家の四代目候補が、聞い
て呆れるぜ。
美咲
宗助さん....。
私は宗助さんの言葉に胸が高鳴
り、宗助さんの手に触れる。
美咲
私も....宗助さんと同じ気持ち
です。一番近くにいたい....。
宗助
美咲....。
宗助さんは照れたような表情を
浮かべると、私をギュッと抱き
しめた。
--そしてリムジンは花鳳院家
に到着し、
宗助さんに手を引かれ、車を降
りると、
誉
美咲....。
ちょうど帰宅した誉さんに遭遇
した。
宗助
誉、今帰りか。
誉
あぁ。そっちはデートの帰り
か。いいご身分だな。
第1話 最愛フィアンセ 3/18
宗助
まぁ、そう妬むなよ。
誉
....妬む? この俺が?
宗助
おめえしかいねえだろ。
誉
おい、待て。この間の話をお前
はもう忘れたのか?
誉
俺は、美人で頭の良い女がタイ
プだと言っただろ。美咲など眼
中にない。
美咲
(そんなはっきりと・・・・!)
宗助
美人で頭が良くて、それでいて
ドジな一面があると、
宗助
たまらないって言ってたよな。
それって美咲のことかと思って
たぜ。
誉
それはお前の勘違いだ。
美咲
(....っていうか、なんか....仲良
くなってる?)
驚いて宗助さんと誉さんを交互
に見ていると、誉さんと目が合
う。
誉
なんだ?言いたいことがある
なら言え。
美咲
....そういう話をする、仲なん
だなぁって思って。
宗助
一つ屋根の下に暮らす兄弟だ
ぞ。そのくらい当たりめえだ。
誉
まぁ、そうだな。宗助が俺のこ
とを、兄と呼ばないことは気に
入らないが、
誉
宗助が美咲のために、父上や兄
上に頭を下げた話を、兄上から
聞いて、
誉
宗助のことを、認めてやっても
良いと思えたんだ。
誉
だから祝福してやる。美咲、お
めでとう。
美咲
(あの誉さんが....ストレートに
おめでとうって言ってくれ
た!)
美咲
ありがとうございます....!
自然に笑みがこぼれると、誉さ
んが再度、口を開く。
第1話 最愛フィアンセ 4/18
誉
それに宗助は、花鳳院家の次期
総裁になるために、必死で努力
してるからな。
誉
ヘタすると、今じゃお前より、
英語が上手いんじゃないか?
美咲
え!? そうなんですか?
宗助
どうだかな。
誉
お前もいつまでも仕事なんてし
てないで、早く宗助のサポート
に入れ。
誉
花鳳院家を背負って立つのは、
並大抵のことじゃないんだぞ。
美咲
もちろん全力で、宗助さんをサ
ポートします。
美咲
でも私は....仕事を辞める気は
ありません。
誉
なんだと?
宗助
美咲は、海外で活躍する通訳に
なるのが夢なんだ。
宗助
俺は、それを叶えてやりたいと
思ってる。
誉
海外で活躍? そもそも美咲
に、そんな実力があるのか?
美咲
え....それは....。
誉
大舞台で通訳したこともないの
に、
誉
どっからそんな、根拠のない自
信が生まれるんだ?
美咲
(自信っていうか....それに向か
って努力中なんだけど....)
誉さんの指摘に口ごもっている
と、
誉さんが何かを思い出した様子
で、大きく手をたたく。
誉
そういえばルークが、数日間拘
束できる通訳を探してたな。
誉
美咲、その仕事を引き受けろ。
第1話 最愛フィアンセ 5/18
誉
そういえばルークが、数日間拘
束できる通訳を探してたな。
誉
美咲、その仕事を引き受けろ。
美咲
え....。
誉
公的な場に慣れるチャンスだ
ろ。ルークには俺から伝えてお
く。さ、中に入れ。
誉さんは一方的に話し、花鳳院
家の中に入って行ってします。
宗助
応援してやるって言ってんだ
ろ。不器用なあいつらしいじゃ
ねえか。
美咲
そういうことなんですね。
私と宗助さんは微笑み合い、誉
さんのあとに続いたのだった。
それから私と宗助さんは、一朗
さんが待つ応接室に向かった。
--コンコン
宗助
宗助と美咲です。
宗助さんがドアをノックして声
を掛けると、
中から一朗さんの声が聞こえて
くる。
一朗
入ってくれ。
宗助
失礼します。
中に入ると、テーブル席に一朗
さんの姿がある。
一朗
よく来てくれたね、美咲さん。
一朗
今夜みゆきは、婦人会があって
いないんだ。
美咲
....婦人会?
■■■■■■■■■■■■■■■
第1話 最愛フィアンセ 6/18
美咲
....婦人会?
一朗
あぁ、いろいろな企業のトップの妻
が集まる会だよ。
一朗
食事をしながら情報交換をする
んだ。
一朗
美咲さんもゆくゆくは、婦人会
デビューするんじゃないかな。
美咲
そう....ですね。
美咲
(ものすごく緊張しそうな会だ
な....)
美咲
(でも、花鳳院家に嫁ぐんだか
ら、こういう事もこなしていか
ないと)
気負う私をよそに、一朗さんは
話を続ける。
一朗
まあ、未来の話はこれくらいに
しようか。
一朗
さ、座って。食事にしよう。
美咲
はい。
私と宗助さんが席に着くと、高
級フレンチコースが次々と運ば
れてくる。
一朗
美咲さんが私服ということは、
今日はお休みだったのかな?
美咲
はい。
美咲
(今日は宗助さんと、結婚に関
係する場所を巡ったんだよね)
美咲
(一朗さんに話そうかな)
MISSION!
一朗に結婚報告せよ!
必要ラブpt:70,000
美咲
今日は、結婚式を考えている神
社に行ったんです。
一朗
おお、それは興味深い。美咲さ
んの白無垢姿は、とっても綺麗
だろうね。
宗助
それと美咲の両親の墓に、結婚
のあいさつをして来ました。
一朗
そうか、そうか。今度ぜひ私
も、手を合わせに行っていいか
な?
美咲
もちろんです。
私が答えると一朗さんは静かに
うなずき、私と宗助さんを交互
に見つめる。
一朗
今日はね、二人に話があるん
だ。
美咲
なんですか?
一朗
先日、キングランドの駐日大使
と電話会談があってね。
一朗
その際に、二人の結婚の話にな
ったんだ。
一朗
それを聞いた大使は、とても喜
んでくれて、
一朗
ぜひキングランドで、二人の婚
約パーティーを行いたいと言っ
てくれたんだ。
一朗
一週間後なんだが、どうかな?
美咲
(なんて答えようかな?)
喜ぶ
面倒くさがる
遠慮する
美咲
(そんなことを言ってもらえる
なんて嬉しいな)
美咲
(それに、次期総裁になる宗助さんにとって)
美咲
(そういったお誘いに参加する
のは、大事なことだよね)
私は一人うなずくと、一朗さん
に笑顔を向ける。
美咲
とても素敵なお話ですね。喜ん
でお願いしたいです。
一朗
そう言ってもらえてよかった
よ。
一朗
宗助はどうかな?
第1話 最愛フィアンセ 8/18
宗助
断る理由なんてありません。
一朗
そうか。じゃあ、先方に伝えて
おくよ。....ところで宗助。
一朗
私に敬語を使わなくていいんだ
よ。いつも通り話しなさい。
一朗さんの言葉に、宗助さんは
頭を振る。
宗助
俺は、上下関係が厳しいところ
で育ちました。
宗助
だから尊敬する親父に、敬語を
使うのは当たり前のことです。
一朗
三代目には、心底感謝しなきゃ
いけないな。
一朗
こんなに立派に宗助を育てても
らって。三代目は元気か?
宗助
はい。引退して旅行三昧してま
すよ。
美咲
(二人ともすごく良い表情だな)
宗助さんと一朗さんの間に、温
かい空気が流れているのを感
じ、
私は幸せな気分になったのだっ
た。
--翌日。
いつも通りモディアルに出勤す
ると、私のもとに白鳥部長がや
ってくる。
白鳥
市川、おはよう。お前に仕事の
話があるんだ。会議室に来てく
れ。
美咲
はい。
部長に続き会議室に入り、椅子
に座るとさっそく部長が話し始
める。
白鳥
少し急な話なんだが、美咲に海
外出張のオファーが来た。
白鳥
訪問先はキングランド、依頼主
はルークさんだ。
白鳥
何でもルークさんたっての希望
で、
白鳥
明日から数日間、市川を押さえ
たいらしい。
美咲
ルークさんが、私を数日間オフ
ァーですか....。
驚きながら私は、昨夜の誉さん
のことを思い出す。
第1話 最愛フィアンセ 9/18
誉
そういえばルークが、数日間対
応できる通訳を探してたな。
誉
美咲、その仕事を引き受けろ。
美咲
(誉さんがルークさんに、私の
ことを話してくれたんだ)
美咲
(誉さんの言う通り、公的な場
に慣れるためにたくさん勉強になり
そうだな)
美咲
ぜひともお引き受けします!
白鳥
やる気だな、市川。
白鳥
何かあるのか?
美咲
あ、いえ。
美咲
せっかくの機会なので、頑張り
たいなと思いまして....。
白鳥
そうか。じゃあ今から詳細を説
明するな。
美咲
はい、よろしくお願いします。
私は胸を高鳴らせながら、部長
の説明を聞いたのだった。
その後、退勤時間になり、私は
会社玄関へ向かった。
美咲
(キングランドに出張に行くこ
とを、宗助さんに知らせた方が
いいよね)
美咲
(まだ仕事中かな....?)
そんなことを思いながら玄関を
出ると、
宗助
よう、お疲れ。
第1話 最愛フィアンセ 10/18
宗助
よう、お疲れ。
美咲
宗助さん....。
美咲
(迎えに来るなんて、どうした
んだろう?)
美咲
(宗助さんに何て言おうかな)
どうしてここに?
会えて嬉しい
仕事はどうしたの?
宗助さんの姿に、自然と笑みが
こぼれる。
美咲
私も連絡をしようと思ってたんで
すよ。会えて嬉しいです。
宗助
そりゃよかった。
宗助
話しがあるんだ。今から飯に行く
ぞ。
美咲
私も宗助さんに話があるんで
す。
宗助
そうか。
宗助さんにエスコートされ、リ
ムジンに乗り込むと、
リムジンはゆっくりと走り出し
た。
--数分後、リムジンは高級料
亭の前で停車する。
美咲
ここって確か....。
美咲
有名な文豪たちが、小説を書き
上げたっていう料亭じゃないで
すか?
宗助
よく知ってるな。ここは三代目
がひいきにしてるから、
宗助
俺はガキの頃から来てんだ。
宗助
そん時、口ひげを生やしたおっ
さんによく遊んでもらった。
宗助
それが有名な小説家だったなん
て、そん時の俺が知るわけもね
えけどな。
美咲
そうだったんですね。
美咲
(宗助さんの思い出の店に来れ
て、嬉しいな....)
はにかんでいると、宗助さんが
私の手を握ってリムジンを降
り、
店内に足を踏み入れる。
第1話 最愛フィアンセ 11/18
女将
いらっしゃいませ。
綺麗に着物を着こなした女将
が、
私と宗助さんに一礼し、穏やか
な笑顔を見せる。
女将
あ、坊ちゃん、お待ちしており
ました。
宗助
おい、坊ちゃんはねえだろ。
女将
あ....失礼しました。今夜は奥
様もご一緒でしたね。
女将
初めまして、これからもごひい
きにどうぞ。
上品な笑顔を向けられ、私は慌
てて笑顔を返す。
美咲
こちらこそ、よろしくお願いし
ます。
女将
坊ちゃん....じゃなくて、宗助
さん、ご用意してあります。こ
ちらです。
宗助
ああ。
女将に案内され、廊下の一番奥
まで進むと、女将がゆっくりと
ふすまを開ける。
女将
どうぞごゆっくり。失礼しま
す。
宗助さんに手を引かれ、部屋に
入ると、
そこにはドレスワンピースと着
物が、飾られていた。
美咲
わ....素敵。
宗助
お前に似合いそうなのを選ん
だ。
宗助
どっちか好きな方を、キングラ
ンドのパーティーで着てくれね
えか?
美咲
(花鳳院家の跡継ぎ作業で忙し
い中、私のために選んでくれた
んだ....)
私は胸が熱くなり、宗助さんを
見つめる。
美咲
ありがとうございます。
MISSION!
パーティーで着る服を選べ!
一般人ルート
アンティーク着物
10コイン
500メダル
バージンロードルート
スペシャルワンピース
50コイン
1500メダル
美咲
(このワンピースドレス....とっ
ても可愛いな)
私はうっとりと眺めたあと、宗
助さんに視線を移す。
美咲
ワンピースにします。
宗助
わかった。じゃあ、一回ここで
着てみろ。
宗助
着心地が悪いところがあった
ら、パーティーまでに直してお
くぜ。
美咲
....ここで着替えるってことで
すか?
宗助
そうだ。
宗助さんはそう言うと私に背を
向け、その場にあぐらをかく。
宗助
俺は着替えを見る趣味はねえ。
心配しねえで、着替えろよ。
美咲
(宗助さんはまっすぐな人だ
し、そんな覗きみたいなことし
ないよね)
美咲
分かりました。
私は宗助さんを信用し、その場
でワンピースに着替えた。
美咲
(背中のチャックに手が届かな
くて、最後まで締まらない
な....)
美咲
宗助さん、チャックを締めても
らっていいですか?
宗助
あぁ。
宗助さんは立ち上がり、振り返
ると、勢いよくワンピースのチ
ャックを締める。
美咲
ありがとうございます。
私が振り返ろうとした次の瞬間
--。
宗助さんが後ろから私を包み込
むように、ギュっと抱きしめ
た。
宗助
俺の後ろでお前が、無防備な格
好になってると思ったら、
宗助
たまらない気分になっちまった
じゃねえか。
宗助さんは衝動が抑えきれない
様子で、私の首筋にそっと唇を
寄せる。
美咲
....ん。
淡く息が漏れ、体が熱くなって
いくのを感じていると、
宗助さんがまるで噛みつくよう
に、もう一度私の首筋にキスを
落とす。
美咲
あ....っ。
宗助
そんな可愛い声出されると、こ
こでお前を食っちまいたくな
る。
宗助
でも乱暴にして、ワンピースを
汚しちまったらいけねえから
な。
宗助さんは息を吐くと、私から
ゆっくりと離れた。
■■■■■■■■■■■■■■■
第1話 最愛フィアンセ 13/18
--その後、私と宗助さんは高
級懐石料理を楽しみ、料亭の縁
側に移動した。
そこからは美しい中庭が見え
る。
宗助
ガキの頃からここが好きなん
だ。
美咲
一枚の絵みたいですね。
私が縁側に座ると、宗助さんは
私の後ろにピッタリとくっつ
き、
私を抱くような姿勢で腰を下ろ
す。
美咲
(........!)
宗助さんの体温が私の背中に伝
わり、私の鼓動は高鳴ってい
く。
宗助
お前はいつも甘い香りがする
な。
耳元でささやかれ、体温が上が
るのを感じた私は、
冷静さを取り戻そうと、あるこ
とを話し始める。
美咲
....あ、そうだった。話がある
んです。
宗助
そういえば、そんなこと言って
たな。
美咲
実は今日、キングランドから私
に、通訳の依頼が入ってるって
言われたんです。
宗助
あぁ、誉が言ってたやつか?
美咲
はい。明日から数日間ルークさ
んの通訳をするので、
美咲
婚約パーティーの日まで、その
ままキングランドにいようかな
って思ってます。
宗助
じゃあ、お前に一週間会えねえ
んだな....。
宗助さんに切なげな瞳を向けら
れ、私の胸はキュッと締め付け
られる。
美咲
そうですね....。寂しいけど、
頑張ってきます。いいですか?
第1話 最愛フィアンセ 14/18
宗助
当たりめえだ。俺は、仕事熱心
な美咲にも惚れてんだからな。
宗助
でも一週間もお前を抱きしめら
れねえなんて、
宗助
どうにかなっちまうかもしれね
えな。
美咲
え....。
宗助
だから、そうならねえように、
今、一週間分のお前を味あわせ
てくれ。
美咲
....はい。
私が小さくうなずくと、宗助さ
んは私の唇に視線を落とし、
しびれるような口ずけをくれ
た。
美咲
んん....っ。
頭が真っ白になるようなキス
を、私はすべて受け止めたのだ
った。
--翌朝。
身支度を済ませ、キャリーカー
トを引いて、アパートを出る
と、
停車していたリムジンん窓が下
がり、宗助さんが顔を出す。
宗助
空港まで送らせてくれ。
美咲
ありがとうございます!
宗助さんに会えた喜びを感じ、
リムジンに乗り込むと、
宗助さんはすぐに、私の方を抱
き寄せる。
宗助
美咲、唇が腫れてねえか?少
し激しくし過ぎたか。
宗助
ほかに腫れてるところはねえ
か?
宗助さんの言葉で、料亭での出
来事がフラッシュバックし、
私は一瞬にして赤面してしま
う。
美咲
....大丈夫です。
第1話 最愛フィアンセ 15/18
宗助
そうか。俺のことを全力で受け
入れてくれたお前に、
宗助
プレゼントしといたからな。
美咲
え....? ....しといたって、ど
ういうことですか?
宗助
それは言えねえが、その時が来
たら分かる。
宗助
未来のお前に、俺が何をプレゼ
ントしたのか。楽しみにして
ろ。
美咲
(後日、届くってことかな?)
美咲
楽しみです。
--それから、ピッタリとくっ
ついたままの私と宗助さんを乗
せて、
リムジンは空港に到着した。
宗助
なにかあったら連絡しろよ。地球
上のどこにいたって、
宗助
俺はお前のもとに駆けつけるか
らな。
宗助さんはそう言うと、私のお
でこにキスをする。
美咲
はい。じゃあ....行ってきます。
私はリムジンを降り、キャリー
カートを引いて空港内に入っ
た。
--12時間後。
飛行機は、キングランドに到着
した。
美咲
(こっちは夕方か....)
美咲
(ルークさんの通訳、緊張する
けど、精一杯こなさないとな)
気合を入れ、飛行機を降りた
私は、
キングランド王室関係者が待
つ、空港内VIPルームに向か
う。
第1話 最愛フィアンセ 16/18
美咲
(ここで合ってるよね....)
ドキドキしながらドアをノック
すると、
キングランドの王室のバッジを
つけた男性が出てきた。
王室関係者
【美咲さんですね。ではさっそ
く参りましょう】
美咲
【はい】
関係者のあとに続き、空港内を
歩き出そうとした時、
慌てた様子のホテルスタッフ
が、駆け寄ってくる。
ホテルスタッフ
【お客様! ただいま、VIP専
用エレベーターが故障のため】
ホテルスタッフ
【緊急停止状態になっていま
す。大変申し訳ないのですが】
ホテルスタッフ
【一般エレベーターにお乗りに
なるか、VIP専用階段をお使い
下さい】
王室関係者
【美咲さんがもしよろしけれ
ば】
王室関係者
【階段で降りても大丈夫でしょ
うか?】
美咲
【私は全然、大丈夫ですよ】
王室関係者
【では参りましょう】
私たちはVIP専用階段に向か
い、
私は重たいキャリーバッグを持
ち上げて、降りようとした瞬間
--、
美咲
あ....。
--バランスを崩して、階段か
ら落ちてしまったのだった。
強い衝撃と共に辺りは真っ暗に
なり、
私は何かが消えていくような、
恐ろしい感覚に襲われた。
美咲
(私もしかして・・・・このまま死ん
じゃうの?)
ひどい頭痛に、私はゆっくりと
目を覚ました。
美咲
ここは....?
見慣れない天井に戸惑っている
と、
????
病院だ。
横から声が聞こえてくる。
美咲
え?
驚いて横を見ると、見知らぬ男
性が椅子に座り、
優しげな表情を私に向けてい
る。
宗助
どうだ? 階段から落ちたこと
を覚えてねえか?
第1話 最愛フィアンセ 17/18
宗助
どうだ? 階段から落ちたこと
を覚えてねえか?
宗助
医者の話じゃ、頭打った衝撃で
多少、記憶が抜けちまってるら
しい。
宗助
でも心配すんな。
宗助
幸い、どこもケガしてねえし、
記憶も徐々に戻るらしいから
よ。
美咲
........。
宗助
あぁ、俺がここにいることに驚
いてんのか。
宗助
お前が事故に遭ったって聞い
て、すっ飛んできたんだ。
宗助
美咲は半日以上、気を失ってた
んだぞ。
美咲
あの....。
宗助
なんだ?
美咲
....あなたは....誰ですか?
宗助
........!
私の言葉にその人は言葉を失く
し、ただただ私を見つめたのだ
った--。
1話終了
宗助との恋愛関係
好感度:△
誓いのブーケ:1/2
■■■■■■■■■■■■■■■
宗助さんと想いが通じ合った、
あの日から一週間後--。
私と宗助さんは休日デートをし
たあと、
一朗さんと食事をするために、
花鳳院家に向かっていた。
私は宗助さんに肩を抱かれなが
ら、宗助さんを見つめる。
美咲
花鳳院家で暮らし始めて、もう
一週間が経ちましたよね。
どうですか?住み心地は。
宗助
どうってことねえ。俺はどこだ
って寝れる男だからな。で
も....。
宗助さんはそこで言葉を切る
と、私の顎に触れ、私の唇に視
線を落とす。
宗助
ここんとこ、全然眠れねえん
だ。お前が欲しすぎて....。
美咲
....宗助さん。
甘い瞳を向けられ、ドキッとし
ていると、宗助さんは私の唇の
横にキスをする。
宗助
今夜はぐっすり眠れるように、
ここでお前をいただいておく
か。
美咲
....なに言ってるんですか。ダ
メですよ。
耳まで熱くなるのを感じ、慌て
て宗助さんの腕から逃れようと
しても、
宗助さんは私をしっかりと抱き
しめ、離そうとしない。
第1話 最愛フィアンセ 2/18
宗助さんは私をしっかりと抱き
しめ、離そうとしない。
(宗助さん....離してくれないな。どうしよう....)
緊張する
何も感じない
嬉しい
美咲
(まさか本当にここで、何かさ
れたりしないよね....?)
この後の展開を想像して、体が
緊張で固くなっていく。
すると宗助さんが弾けるように笑った。
宗助
冗談だ。無理やり食ったりしね
えよ。
宗助
不思議だな。俺はガキの頃か
ら、物や人に執着したことなん
てなかった。
宗助
それが今じゃ、お前と数㎝離
れるだけで、胸ん中がキューッ
と痛くなる....。
宗助
元赤松家の四代目候補が、聞い
て呆れるぜ。
美咲
宗助さん....。
私は宗助さんの言葉に胸が高鳴
り、宗助さんの手に触れる。
美咲
私も....宗助さんと同じ気持ち
です。一番近くにいたい....。
宗助
美咲....。
宗助さんは照れたような表情を
浮かべると、私をギュッと抱き
しめた。
--そしてリムジンは花鳳院家
に到着し、
宗助さんに手を引かれ、車を降
りると、
誉
美咲....。
ちょうど帰宅した誉さんに遭遇
した。
宗助
誉、今帰りか。
誉
あぁ。そっちはデートの帰り
か。いいご身分だな。
第1話 最愛フィアンセ 3/18
宗助
まぁ、そう妬むなよ。
誉
....妬む? この俺が?
宗助
おめえしかいねえだろ。
誉
おい、待て。この間の話をお前
はもう忘れたのか?
誉
俺は、美人で頭の良い女がタイ
プだと言っただろ。美咲など眼
中にない。
美咲
(そんなはっきりと・・・・!)
宗助
美人で頭が良くて、それでいて
ドジな一面があると、
宗助
たまらないって言ってたよな。
それって美咲のことかと思って
たぜ。
誉
それはお前の勘違いだ。
美咲
(....っていうか、なんか....仲良
くなってる?)
驚いて宗助さんと誉さんを交互
に見ていると、誉さんと目が合
う。
誉
なんだ?言いたいことがある
なら言え。
美咲
....そういう話をする、仲なん
だなぁって思って。
宗助
一つ屋根の下に暮らす兄弟だ
ぞ。そのくらい当たりめえだ。
誉
まぁ、そうだな。宗助が俺のこ
とを、兄と呼ばないことは気に
入らないが、
誉
宗助が美咲のために、父上や兄
上に頭を下げた話を、兄上から
聞いて、
誉
宗助のことを、認めてやっても
良いと思えたんだ。
誉
だから祝福してやる。美咲、お
めでとう。
美咲
(あの誉さんが....ストレートに
おめでとうって言ってくれ
た!)
美咲
ありがとうございます....!
自然に笑みがこぼれると、誉さ
んが再度、口を開く。
第1話 最愛フィアンセ 4/18
誉
それに宗助は、花鳳院家の次期
総裁になるために、必死で努力
してるからな。
誉
ヘタすると、今じゃお前より、
英語が上手いんじゃないか?
美咲
え!? そうなんですか?
宗助
どうだかな。
誉
お前もいつまでも仕事なんてし
てないで、早く宗助のサポート
に入れ。
誉
花鳳院家を背負って立つのは、
並大抵のことじゃないんだぞ。
美咲
もちろん全力で、宗助さんをサ
ポートします。
美咲
でも私は....仕事を辞める気は
ありません。
誉
なんだと?
宗助
美咲は、海外で活躍する通訳に
なるのが夢なんだ。
宗助
俺は、それを叶えてやりたいと
思ってる。
誉
海外で活躍? そもそも美咲
に、そんな実力があるのか?
美咲
え....それは....。
誉
大舞台で通訳したこともないの
に、
誉
どっからそんな、根拠のない自
信が生まれるんだ?
美咲
(自信っていうか....それに向か
って努力中なんだけど....)
誉さんの指摘に口ごもっている
と、
誉さんが何かを思い出した様子
で、大きく手をたたく。
誉
そういえばルークが、数日間拘
束できる通訳を探してたな。
誉
美咲、その仕事を引き受けろ。
第1話 最愛フィアンセ 5/18
誉
そういえばルークが、数日間拘
束できる通訳を探してたな。
誉
美咲、その仕事を引き受けろ。
美咲
え....。
誉
公的な場に慣れるチャンスだ
ろ。ルークには俺から伝えてお
く。さ、中に入れ。
誉さんは一方的に話し、花鳳院
家の中に入って行ってします。
宗助
応援してやるって言ってんだ
ろ。不器用なあいつらしいじゃ
ねえか。
美咲
そういうことなんですね。
私と宗助さんは微笑み合い、誉
さんのあとに続いたのだった。
それから私と宗助さんは、一朗
さんが待つ応接室に向かった。
--コンコン
宗助
宗助と美咲です。
宗助さんがドアをノックして声
を掛けると、
中から一朗さんの声が聞こえて
くる。
一朗
入ってくれ。
宗助
失礼します。
中に入ると、テーブル席に一朗
さんの姿がある。
一朗
よく来てくれたね、美咲さん。
一朗
今夜みゆきは、婦人会があって
いないんだ。
美咲
....婦人会?
■■■■■■■■■■■■■■■
第1話 最愛フィアンセ 6/18
美咲
....婦人会?
一朗
あぁ、いろいろな企業のトップの妻
が集まる会だよ。
一朗
食事をしながら情報交換をする
んだ。
一朗
美咲さんもゆくゆくは、婦人会
デビューするんじゃないかな。
美咲
そう....ですね。
美咲
(ものすごく緊張しそうな会だ
な....)
美咲
(でも、花鳳院家に嫁ぐんだか
ら、こういう事もこなしていか
ないと)
気負う私をよそに、一朗さんは
話を続ける。
一朗
まあ、未来の話はこれくらいに
しようか。
一朗
さ、座って。食事にしよう。
美咲
はい。
私と宗助さんが席に着くと、高
級フレンチコースが次々と運ば
れてくる。
一朗
美咲さんが私服ということは、
今日はお休みだったのかな?
美咲
はい。
美咲
(今日は宗助さんと、結婚に関
係する場所を巡ったんだよね)
美咲
(一朗さんに話そうかな)
MISSION!
一朗に結婚報告せよ!
必要ラブpt:70,000
美咲
今日は、結婚式を考えている神
社に行ったんです。
一朗
おお、それは興味深い。美咲さ
んの白無垢姿は、とっても綺麗
だろうね。
宗助
それと美咲の両親の墓に、結婚
のあいさつをして来ました。
一朗
そうか、そうか。今度ぜひ私
も、手を合わせに行っていいか
な?
美咲
もちろんです。
私が答えると一朗さんは静かに
うなずき、私と宗助さんを交互
に見つめる。
一朗
今日はね、二人に話があるん
だ。
美咲
なんですか?
一朗
先日、キングランドの駐日大使
と電話会談があってね。
一朗
その際に、二人の結婚の話にな
ったんだ。
一朗
それを聞いた大使は、とても喜
んでくれて、
一朗
ぜひキングランドで、二人の婚
約パーティーを行いたいと言っ
てくれたんだ。
一朗
一週間後なんだが、どうかな?
美咲
(なんて答えようかな?)
喜ぶ
面倒くさがる
遠慮する
美咲
(そんなことを言ってもらえる
なんて嬉しいな)
美咲
(それに、次期総裁になる宗助さんにとって)
美咲
(そういったお誘いに参加する
のは、大事なことだよね)
私は一人うなずくと、一朗さん
に笑顔を向ける。
美咲
とても素敵なお話ですね。喜ん
でお願いしたいです。
一朗
そう言ってもらえてよかった
よ。
一朗
宗助はどうかな?
第1話 最愛フィアンセ 8/18
宗助
断る理由なんてありません。
一朗
そうか。じゃあ、先方に伝えて
おくよ。....ところで宗助。
一朗
私に敬語を使わなくていいんだ
よ。いつも通り話しなさい。
一朗さんの言葉に、宗助さんは
頭を振る。
宗助
俺は、上下関係が厳しいところ
で育ちました。
宗助
だから尊敬する親父に、敬語を
使うのは当たり前のことです。
一朗
三代目には、心底感謝しなきゃ
いけないな。
一朗
こんなに立派に宗助を育てても
らって。三代目は元気か?
宗助
はい。引退して旅行三昧してま
すよ。
美咲
(二人ともすごく良い表情だな)
宗助さんと一朗さんの間に、温
かい空気が流れているのを感
じ、
私は幸せな気分になったのだっ
た。
--翌日。
いつも通りモディアルに出勤す
ると、私のもとに白鳥部長がや
ってくる。
白鳥
市川、おはよう。お前に仕事の
話があるんだ。会議室に来てく
れ。
美咲
はい。
部長に続き会議室に入り、椅子
に座るとさっそく部長が話し始
める。
白鳥
少し急な話なんだが、美咲に海
外出張のオファーが来た。
白鳥
訪問先はキングランド、依頼主
はルークさんだ。
白鳥
何でもルークさんたっての希望
で、
白鳥
明日から数日間、市川を押さえ
たいらしい。
美咲
ルークさんが、私を数日間オフ
ァーですか....。
驚きながら私は、昨夜の誉さん
のことを思い出す。
第1話 最愛フィアンセ 9/18
誉
そういえばルークが、数日間対
応できる通訳を探してたな。
誉
美咲、その仕事を引き受けろ。
美咲
(誉さんがルークさんに、私の
ことを話してくれたんだ)
美咲
(誉さんの言う通り、公的な場
に慣れるためにたくさん勉強になり
そうだな)
美咲
ぜひともお引き受けします!
白鳥
やる気だな、市川。
白鳥
何かあるのか?
美咲
あ、いえ。
美咲
せっかくの機会なので、頑張り
たいなと思いまして....。
白鳥
そうか。じゃあ今から詳細を説
明するな。
美咲
はい、よろしくお願いします。
私は胸を高鳴らせながら、部長
の説明を聞いたのだった。
その後、退勤時間になり、私は
会社玄関へ向かった。
美咲
(キングランドに出張に行くこ
とを、宗助さんに知らせた方が
いいよね)
美咲
(まだ仕事中かな....?)
そんなことを思いながら玄関を
出ると、
宗助
よう、お疲れ。
第1話 最愛フィアンセ 10/18
宗助
よう、お疲れ。
美咲
宗助さん....。
美咲
(迎えに来るなんて、どうした
んだろう?)
美咲
(宗助さんに何て言おうかな)
どうしてここに?
会えて嬉しい
仕事はどうしたの?
宗助さんの姿に、自然と笑みが
こぼれる。
美咲
私も連絡をしようと思ってたんで
すよ。会えて嬉しいです。
宗助
そりゃよかった。
宗助
話しがあるんだ。今から飯に行く
ぞ。
美咲
私も宗助さんに話があるんで
す。
宗助
そうか。
宗助さんにエスコートされ、リ
ムジンに乗り込むと、
リムジンはゆっくりと走り出し
た。
--数分後、リムジンは高級料
亭の前で停車する。
美咲
ここって確か....。
美咲
有名な文豪たちが、小説を書き
上げたっていう料亭じゃないで
すか?
宗助
よく知ってるな。ここは三代目
がひいきにしてるから、
宗助
俺はガキの頃から来てんだ。
宗助
そん時、口ひげを生やしたおっ
さんによく遊んでもらった。
宗助
それが有名な小説家だったなん
て、そん時の俺が知るわけもね
えけどな。
美咲
そうだったんですね。
美咲
(宗助さんの思い出の店に来れ
て、嬉しいな....)
はにかんでいると、宗助さんが
私の手を握ってリムジンを降
り、
店内に足を踏み入れる。
第1話 最愛フィアンセ 11/18
女将
いらっしゃいませ。
綺麗に着物を着こなした女将
が、
私と宗助さんに一礼し、穏やか
な笑顔を見せる。
女将
あ、坊ちゃん、お待ちしており
ました。
宗助
おい、坊ちゃんはねえだろ。
女将
あ....失礼しました。今夜は奥
様もご一緒でしたね。
女将
初めまして、これからもごひい
きにどうぞ。
上品な笑顔を向けられ、私は慌
てて笑顔を返す。
美咲
こちらこそ、よろしくお願いし
ます。
女将
坊ちゃん....じゃなくて、宗助
さん、ご用意してあります。こ
ちらです。
宗助
ああ。
女将に案内され、廊下の一番奥
まで進むと、女将がゆっくりと
ふすまを開ける。
女将
どうぞごゆっくり。失礼しま
す。
宗助さんに手を引かれ、部屋に
入ると、
そこにはドレスワンピースと着
物が、飾られていた。
美咲
わ....素敵。
宗助
お前に似合いそうなのを選ん
だ。
宗助
どっちか好きな方を、キングラ
ンドのパーティーで着てくれね
えか?
美咲
(花鳳院家の跡継ぎ作業で忙し
い中、私のために選んでくれた
んだ....)
私は胸が熱くなり、宗助さんを
見つめる。
美咲
ありがとうございます。
MISSION!
パーティーで着る服を選べ!
一般人ルート
アンティーク着物
10コイン
500メダル
バージンロードルート
スペシャルワンピース
50コイン
1500メダル
美咲
(このワンピースドレス....とっ
ても可愛いな)
私はうっとりと眺めたあと、宗
助さんに視線を移す。
美咲
ワンピースにします。
宗助
わかった。じゃあ、一回ここで
着てみろ。
宗助
着心地が悪いところがあった
ら、パーティーまでに直してお
くぜ。
美咲
....ここで着替えるってことで
すか?
宗助
そうだ。
宗助さんはそう言うと私に背を
向け、その場にあぐらをかく。
宗助
俺は着替えを見る趣味はねえ。
心配しねえで、着替えろよ。
美咲
(宗助さんはまっすぐな人だ
し、そんな覗きみたいなことし
ないよね)
美咲
分かりました。
私は宗助さんを信用し、その場
でワンピースに着替えた。
美咲
(背中のチャックに手が届かな
くて、最後まで締まらない
な....)
美咲
宗助さん、チャックを締めても
らっていいですか?
宗助
あぁ。
宗助さんは立ち上がり、振り返
ると、勢いよくワンピースのチ
ャックを締める。
美咲
ありがとうございます。
私が振り返ろうとした次の瞬間
--。
宗助さんが後ろから私を包み込
むように、ギュっと抱きしめ
た。
宗助
俺の後ろでお前が、無防備な格
好になってると思ったら、
宗助
たまらない気分になっちまった
じゃねえか。
宗助さんは衝動が抑えきれない
様子で、私の首筋にそっと唇を
寄せる。
美咲
....ん。
淡く息が漏れ、体が熱くなって
いくのを感じていると、
宗助さんがまるで噛みつくよう
に、もう一度私の首筋にキスを
落とす。
美咲
あ....っ。
宗助
そんな可愛い声出されると、こ
こでお前を食っちまいたくな
る。
宗助
でも乱暴にして、ワンピースを
汚しちまったらいけねえから
な。
宗助さんは息を吐くと、私から
ゆっくりと離れた。
■■■■■■■■■■■■■■■
第1話 最愛フィアンセ 13/18
--その後、私と宗助さんは高
級懐石料理を楽しみ、料亭の縁
側に移動した。
そこからは美しい中庭が見え
る。
宗助
ガキの頃からここが好きなん
だ。
美咲
一枚の絵みたいですね。
私が縁側に座ると、宗助さんは
私の後ろにピッタリとくっつ
き、
私を抱くような姿勢で腰を下ろ
す。
美咲
(........!)
宗助さんの体温が私の背中に伝
わり、私の鼓動は高鳴ってい
く。
宗助
お前はいつも甘い香りがする
な。
耳元でささやかれ、体温が上が
るのを感じた私は、
冷静さを取り戻そうと、あるこ
とを話し始める。
美咲
....あ、そうだった。話がある
んです。
宗助
そういえば、そんなこと言って
たな。
美咲
実は今日、キングランドから私
に、通訳の依頼が入ってるって
言われたんです。
宗助
あぁ、誉が言ってたやつか?
美咲
はい。明日から数日間ルークさ
んの通訳をするので、
美咲
婚約パーティーの日まで、その
ままキングランドにいようかな
って思ってます。
宗助
じゃあ、お前に一週間会えねえ
んだな....。
宗助さんに切なげな瞳を向けら
れ、私の胸はキュッと締め付け
られる。
美咲
そうですね....。寂しいけど、
頑張ってきます。いいですか?
第1話 最愛フィアンセ 14/18
宗助
当たりめえだ。俺は、仕事熱心
な美咲にも惚れてんだからな。
宗助
でも一週間もお前を抱きしめら
れねえなんて、
宗助
どうにかなっちまうかもしれね
えな。
美咲
え....。
宗助
だから、そうならねえように、
今、一週間分のお前を味あわせ
てくれ。
美咲
....はい。
私が小さくうなずくと、宗助さ
んは私の唇に視線を落とし、
しびれるような口ずけをくれ
た。
美咲
んん....っ。
頭が真っ白になるようなキス
を、私はすべて受け止めたのだ
った。
--翌朝。
身支度を済ませ、キャリーカー
トを引いて、アパートを出る
と、
停車していたリムジンん窓が下
がり、宗助さんが顔を出す。
宗助
空港まで送らせてくれ。
美咲
ありがとうございます!
宗助さんに会えた喜びを感じ、
リムジンに乗り込むと、
宗助さんはすぐに、私の方を抱
き寄せる。
宗助
美咲、唇が腫れてねえか?少
し激しくし過ぎたか。
宗助
ほかに腫れてるところはねえ
か?
宗助さんの言葉で、料亭での出
来事がフラッシュバックし、
私は一瞬にして赤面してしま
う。
美咲
....大丈夫です。
第1話 最愛フィアンセ 15/18
宗助
そうか。俺のことを全力で受け
入れてくれたお前に、
宗助
プレゼントしといたからな。
美咲
え....? ....しといたって、ど
ういうことですか?
宗助
それは言えねえが、その時が来
たら分かる。
宗助
未来のお前に、俺が何をプレゼ
ントしたのか。楽しみにして
ろ。
美咲
(後日、届くってことかな?)
美咲
楽しみです。
--それから、ピッタリとくっ
ついたままの私と宗助さんを乗
せて、
リムジンは空港に到着した。
宗助
なにかあったら連絡しろよ。地球
上のどこにいたって、
宗助
俺はお前のもとに駆けつけるか
らな。
宗助さんはそう言うと、私のお
でこにキスをする。
美咲
はい。じゃあ....行ってきます。
私はリムジンを降り、キャリー
カートを引いて空港内に入っ
た。
--12時間後。
飛行機は、キングランドに到着
した。
美咲
(こっちは夕方か....)
美咲
(ルークさんの通訳、緊張する
けど、精一杯こなさないとな)
気合を入れ、飛行機を降りた
私は、
キングランド王室関係者が待
つ、空港内VIPルームに向か
う。
第1話 最愛フィアンセ 16/18
美咲
(ここで合ってるよね....)
ドキドキしながらドアをノック
すると、
キングランドの王室のバッジを
つけた男性が出てきた。
王室関係者
【美咲さんですね。ではさっそ
く参りましょう】
美咲
【はい】
関係者のあとに続き、空港内を
歩き出そうとした時、
慌てた様子のホテルスタッフ
が、駆け寄ってくる。
ホテルスタッフ
【お客様! ただいま、VIP専
用エレベーターが故障のため】
ホテルスタッフ
【緊急停止状態になっていま
す。大変申し訳ないのですが】
ホテルスタッフ
【一般エレベーターにお乗りに
なるか、VIP専用階段をお使い
下さい】
王室関係者
【美咲さんがもしよろしけれ
ば】
王室関係者
【階段で降りても大丈夫でしょ
うか?】
美咲
【私は全然、大丈夫ですよ】
王室関係者
【では参りましょう】
私たちはVIP専用階段に向か
い、
私は重たいキャリーバッグを持
ち上げて、降りようとした瞬間
--、
美咲
あ....。
--バランスを崩して、階段か
ら落ちてしまったのだった。
強い衝撃と共に辺りは真っ暗に
なり、
私は何かが消えていくような、
恐ろしい感覚に襲われた。
美咲
(私もしかして・・・・このまま死ん
じゃうの?)
ひどい頭痛に、私はゆっくりと
目を覚ました。
美咲
ここは....?
見慣れない天井に戸惑っている
と、
????
病院だ。
横から声が聞こえてくる。
美咲
え?
驚いて横を見ると、見知らぬ男
性が椅子に座り、
優しげな表情を私に向けてい
る。
宗助
どうだ? 階段から落ちたこと
を覚えてねえか?
第1話 最愛フィアンセ 17/18
宗助
どうだ? 階段から落ちたこと
を覚えてねえか?
宗助
医者の話じゃ、頭打った衝撃で
多少、記憶が抜けちまってるら
しい。
宗助
でも心配すんな。
宗助
幸い、どこもケガしてねえし、
記憶も徐々に戻るらしいから
よ。
美咲
........。
宗助
あぁ、俺がここにいることに驚
いてんのか。
宗助
お前が事故に遭ったって聞い
て、すっ飛んできたんだ。
宗助
美咲は半日以上、気を失ってた
んだぞ。
美咲
あの....。
宗助
なんだ?
美咲
....あなたは....誰ですか?
宗助
........!
私の言葉にその人は言葉を失く
し、ただただ私を見つめたのだ
った--。
1話終了
宗助との恋愛関係
好感度:△
誓いのブーケ:1/2
■■■■■■■■■■■■■■■