美味しいお店不親切ガイド | ナレーションから社会が見える

美味しいお店不親切ガイド

美味しい季節ものが食べたくなったり、ぼーっとひと息つきたかったり、人恋しくなると行くお店があります。
古いお店です。
創業昭和25年という歴史もありますが、お店自体も昭和ムードたっぷりです。

昔、ドリフターズの番組か何かで、さくらと一郎が唄っていた「昭和枯れすすき」のセットのようなお店です。

若い子のグループが来ないので落ち着いています。
若者がバカ騒ぎする雰囲気ではありません。
かと言って高級な雰囲気でもありません。
あくまで庶民派、懐に優しいお店です。

お店の一番のおすすめはこの店を仕切っているおかあさん。
ススキノにあるせいか、出勤前のおねーさんがおかあさんに元気づけられ、お客さんに「いってらっしゃ~い」と送り出されたりします。
ひとりで飲みに行く気分でもなく、誰もいない部屋にはまだ帰りたくない単身赴任者や出張の企業戦士たちが羽を休めている場所でもあります。
地元のサラリーマンも、まっすぐ帰ればいいものをわざわざこの店経由で帰ります。
10年前に比べると、古いお客が高齢化のせいか、ふらりと行っても8席ほどしかないカウンターに座れることが多くなりました。

今日は何を食べようかと暖簾をくぐるのも楽しみです。
今日は海のものにしようか山のものにしようか。
私はお酒をあまり飲めないのでわかりませんが、新潟の幻のお酒もあります。
生産本数が少ないので県外にはほとんど出ておらず、地元でもなかなか飲めないというお酒が、問屋さんや扱い店を通さずに入って来るので、普通の値段で呑めるそうです。

そんな、札幌でも今や貴重となった薄野有形遺産クラスのお店に、昨日、地元誌の取材が入っていました。
そういえば、酒場放浪記の吉田類さんに紹介していただいたのは一年前のことでした。

お店の場所は薄野のちょっとはずれ。
駅前通りから南7と6の間の仲小路を入った古い雑居ビルの地下。
階段を下りた正面の縄のれんをくぐると、あなたは昭和にタイムスリップ。