葬祭訓練
葬祭訓練
「防災訓練」をもじって勝手に造った言葉ですが。
「悲しんでいる暇なんてなかった」
葬儀を行う際、身内の方(特に喪主)でこのような感想を持たれた方は少なくないようです。
つまり「葬儀の準備で忙しい」ということです。むろん、葬儀会社が大多数のセッティングを行ってはくれますが、例えば通夜や葬儀に関する招待状を送ったり、あるいは葬儀社の方と式の内容の確認をとる。加えて身内の不幸という負担がかかるために実際の肉体的な負担以上に精神的な負担がかかります。
いわゆる「生前葬」などがございます。実際の葬式で煩わしい人間関係であったり、あるいは悲しい雰囲気で行いたくないため、あるいはスケジュールが不安定であるのを避けるため、生きている間に葬式を行ってしまう。
この場合、実際に本人がまだ生きていらっしゃる。しかもご健在であるので基本的には非常に明るい雰囲気で行われます。
しかし、実際の雰囲気に近い状況で、極めて予行演習的な要素が近い葬式、となるといかがでしょうか?
例えば学校において防災訓練というのがございます。ある日、突然サイレンが鳴る。あるいは予定された日にサイレンが鳴る。
サイレンが鳴ると同時に教室から廊下に出て、校庭に避難する。日頃からこういった訓練を受けておくことで、実際の災害時、少しでも混乱を防ぐのがその目的です。
これはあまり本格的には行われていないのですが、例えば、
・2階から出火した→特定の場所の教室の生徒達が優先的に非難
・地震で体育館が倒壊した→集合場所を2手に分ける
といったように、もっと実際の災害の内容を「具体的に」することでより本格的な訓練にもできます。
葬式に関しましても同様です。
・喪主が夫か妻か、それとも長女か長男か
・死因は病死か、事故死か
・死亡届は一人で届けるか?誰かと行くか?
・葬儀会社は決まっているか?今から決めるか?
・斎場は不便な場所かどうか?
・誰を招待するか?招待の基準は?
・遺言どおりの葬儀、参列者を不愉快にさせたりしないか?
・遺言どおりの葬儀、葬儀会社にきちんと伝わる内容か?
・葬式に関する遺言は存在するか?探し出せば存在する可能性は?
・49日、1周忌、3回忌以外に線香をあげに訪れる人がいたら?
もちろんこの他にもチェックすべき要素は多々ございます。
生前葬というのは主役はもちろん、これから亡くなる本人です。実際の葬式ももちろん、主役は亡くなった本人であることに変わりはないのですが、こういった手続の内容を見ると、実際のところ喪主も主役であるといえます。
生前葬と実際の葬儀の違いが何かと言いますと、基本的に生前葬が明るい雰囲気で行われることが多いのに対し、実際の葬式は暗い雰囲気で行われることが多い(というより暗い雰囲気です)ということです。
この点を予め意識して葬儀の予行演習を一度やって見る。むろん、ものすごく悲しい雰囲気という意識で臨んでみてください。
ただ、だからといって決して悪い意味ではなく、要は葬儀というものの現実を理解することが目的です。
心の準備もままならない。その状態で生まれて初めて喪主としての役目を任される。そして悲しむ間もなく慌ただしく最後の1日、2日を過ごし、斎場にて出棺を迎える・・・考えてみればこれが一番悲しいことだったりします。
それと、生前葬という明るい雰囲気では気付かなかったこと。例えば本人にとってはよくても喪主にとって負担がかかること、あるいは喪主にとって負担がかかることを遺言に遺すことで軽減ができたり、ということも見つかったりします。
何も無理して斎場やイベント会場(会議室、ホテル等)を借り切る必要はありません。例えば病院(あるいは自宅)で亡くなられてから役所への書類提出、そして葬儀の準備から出棺といって内容、頭の中で考えていたことをせめて書面にして準備しておく。
思わぬ負担であったり、新たに伝えておきたいこと、見えてはこないでしょうか?
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