東日本大震災の被災地や避難先の多くの小学校で6日、「入学を祝う会」や始業式が開かれた。「勉強、頑張る」「友達つくりたい」。被災したり親元を離れたりした子どもたちは、新しい春に希望をのぞかせた。
◇市施設で祝う会…いわき
東日本大震災で大きな被害を受けた福島県いわき市の市文化センターで6日午前、福島第1原発の自主避難圏内にあり校舎が使えないなどの四つの市立小学校が合同で「入学を祝う会」を開き、新入生約70人が参加した。放射性物質対策でマスク姿の児童、保護者が目立ち、希望と不安が交錯するスタートとなった。
4校のうち豊間小では津波で2児童が亡くなっており、新入生らが黙とうした。祝う会終了後、学校別に部屋に分かれて個別の入学式や始業式も行った。
久之浜第一小に入学する水野谷蓮君(6)は「お勉強を頑張る」とはにかんだ。父俊一さん(33)らと長野県の親戚宅に身を寄せていたが、3日前に戻った 福島県では同日、いわき市を含め小中学校約560校で入学式が開かれたが、南相馬市や双葉郡などは中旬以降に延期された。【伊藤直孝】
◇内陸部に転入…盛岡
岩手県沿岸部の被災者が避難している内陸部の盛岡市のほとんどの小学校で6日、始業式があり、避難中の子どもたちも新天地で新たな一歩を踏み出した。
市立繋(つなぎ)小(川守田毅校長、児童数36人)では、岩手県釜石市で働く母親と離れて避難してきた小学2年、辻拓磨君(7)ら2人が元気な姿を見せた。
拓磨君は県が進める内陸移送で、父直良さん(46)、祖母陽子さん(73)、2人の姉とともに盛岡市内の温泉旅館に避難している。拓磨くんは教室で新しいクラスメート3人や担任の先生に笑顔で迎えられ、「サッカーが得意です」と元気に自己紹介した。岩手県内陸部の学校には約200人の児童・生徒が転入したとみられる。【三木陽介】
◇福島から8人…東京
東 京都江東区の区立南砂小学校で6日、始業式が開かれ、東京電力福島第1原発の事故などのため福島県から都内に避難してきた2~6年生の8人が元気に出席した。
8人は保護者と離れて区内のBumB東京スポーツ文化館で集団生活している。
福島県二本松市から転入した2年生の高橋恵輔君(7)は「お母さんから『離れるのはつらいけど、原発(の事故)が収まれば帰れるから安心しなさい』と手紙が来た。早く友達をいっぱいつくりたい」と話した。