覚えているよ | ひなたぼっこ

ひなたぼっこ

虐待体験、家出、DV、妊娠、、手術、、、
日のあたる縁側に座って
のんびりと話して聞かせるような
思い出話じゃないから、、、ここに。

       疲れたでしょう?

       少し横になったら?


まだスーツケースも広げていないけど
確かに機内ではよく眠れなかったので疲れていた。

アダムに言われるままに
服も着替えないでそのままベッドに横になる
ほんの数時間、子供がいない間にという気持ちだった。


寝付いて少しするとアダムが私を起こしにやって来た

気持ち良く寝てたのに、という鬱憤があったけど
アダムにはどうしても私を起こさなければならない理由があったから仕方がない



       皆が来てるよ。玄関見てごらん


誰の事?と思い寝室の窓から外をのぞく

そこには近所の日本人妻達が5、6人ゾロゾロと玄関先に集まって来ていた

私はすっかり驚いてしまって眠気も吹っ飛びベッドから跳ね起きる


      何事?私が帰る日知ってたの?

わけも分からないまま玄関へ顔を出した私
家に入れたかったけど、まだアダムの掃除は途中、という状態だったので
多少の見栄が邪魔をして玄関先での対応になる

それでも彼女らは構わない様子だった

中でも代表格のひとりが前に出て
私に、大きな封筒と花束を手渡してくれた


        お誕生日おめでとう!

       いつも、望美さんにはイベントとか
       連絡係とか取り仕切ってくれてるから

       私達からお礼の気持ちとお祝いを込めて
       プレゼントを用意しましたので
       どうぞ受け取って下さい

そう言われてから
花束に紛れている封筒を開けると
中に、ギフトカードまで入っていた。


      皆で出し合って買ったの
      今日の事はサプライズにしたかったから
      アダムさんにも内緒にしてもらってたのよ

      喜んでくれると嬉しいな


*:..。o○☆゚・:,。*:..。o○☆*:..。o○☆゚・:,。*:..。o○☆

ーー遠い昔ーー

未来がみえなくていつも悲観的になっていた時代があった。

世界から隔離されたような孤独に負けそうで
未来の自分を慰めようと
日記にメッセージを残した事がある。


      “30才の私へー
       誰と一緒に過ごしてる?
       それとも一人で頑張ってるかな?

      40才の私へー
        今年の誕生日は誰が覚えてくれていたかしら?

      50才の私へ、、、、、”


40才の誕生日のこの日

たくさんの人が覚えてくれていたよ

私、ひとりぼっちの誕生日じゃなかった

私、この世に確かにいるんだよ


いてもいいんだよ、、、ね?


*:..。o○☆゚・:,。*:..。o○☆*:..。o○☆゚・:,。*:..。o○☆


大きな封筒には特大サイズのバースデーカード
この地域の日本人妻達からのお祝いメッセージが所狭しと書かれてあり
私は感極まってついに泣いてしまった。

お礼の言葉も見つからない。
泣きじゃくる私にまわりは笑っていたけれど
最後には私を囲んで玄関先で写真を撮り


     さぁ、望美さんはお疲れでしょうから
     もう、戻って下さいな

そんな風にからかわれ、彼女達はそれぞれの車に散っていく

       
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         片面A3サイズほどのカードなっ・・・なんと!