♪…ジンジンジンジン 血がジンジン/梅も桜もほころびて/ジンジンジンジン 血がジンジン/箱入りむすめはねむられない/バテレンごのみのテッポーで/夢がやぶれりゃギンギラギン/はじめて飲んだあこがれの夜明けのコーヒーどんな味/あなたもバージン あたしもバージン バーーージン・ブルース…


 う~ん、グッと来るよね。野坂昭如の「バージン・ブルース」ね。

 1970年代の野坂昭如は歌手もやっていた。焼け跡世代の直木賞作家ね。初出は作家で、その後、歌手もしましたって人は海外ではレナード・コーエン辺りが有名だ。

 んで、歌手・野坂昭如としての代表曲は冒頭の「バージン・ブルース」や「黒の舟唄」「マリリン・モンロー・ノー・リターン」辺りだろう。

 しかして、何枚かのスタ録アルバムとライヴで、披露される彼の歌は、日本人の心の"下張り"を唄っている。

 70年代前半は歌手としては正に絶好調な時期であった。

 永 六輔、小沢昭一と組んで"花の中年御三家"として、74年12月には、武道館でコンサートを開催した。

 そっ、こないだ、そん時の模様を収めたライヴ・アルバムをゲットしたんだよ。


 あ~ん、やっとゲット出来たよ。『武道館の野坂昭如』をね。こりは話の特集の面白半分レーベルからリリースされた自主製作盤でかなりレアなのさ。発売時期は75年の春頃ね。

 この時のライヴの音源は、日本コロムビアや東芝からもリリースされているけど、こちらは野坂中心の編集でマストなアイテムなんだよ。

 そして、前述のように自主製作盤なので、流通も限定されていたからレアなのさ。

 ジャケットも今回、初めて見たよ。渋いデザインで野坂っぽいよね。帯付きなのも嬉しかったね。

 しかして、ジャケットや帯の宣伝文句が賑やかだよね。どれがタイトルなのか判らないよ(笑)。

 内容はA面に野坂のソロ・コーナーから7曲、B面は3人のジョイントで4曲収録されている。曲間の3人のやり取りが面白いね。

 野坂の曲は、基本的には作詞が能 吉利人、作曲は桜井 順である。

 歌詞は、一言で言えば、昭和の叙情や猥雑さを表現している。滝田ゆうの世界ね。

 このアルバムのB面は御三家でのステージだけど、その中に「ディートリッヒなんか知らないよ」が収録されている。

 これまで未聴で、噂では、とんでもない曲と云う話は聞いていた。今回、初めて聴いたけど、こりが歌詞がヤバいね。

 永 六輔による歌詞なんだ。当時、来日公演をするマレーネ・ディートリッヒを取り上げて、ついでにアドルフ・ヒトラーも一緒に揶揄する内容だ。

 リフには"ハイル・ヒトラー"ってフレーズが唄われている。

 う~ん、ディートリッヒはナチスの為に唄うのが嫌で米国に亡命したのは有名なエピソードだ。

 その辺りをコミカルかつ辛辣に揶揄している内容なんだよね。

 まっ、"昭和"を好きな人とナチス・マニアは聴く価値のある曲だね(笑)。

 このコンサートの模様は日本コロムビアからも75年秋に発売されているが、そちらは他の二人のソロ・コーナーも収められているため野坂の部分は少ないようだ。

 また、77年に東芝から野坂のライヴの編集物が発売され、このコンサートからの抜粋も収録されていて、話の特集版には収められていない「花ざかりの森」が収録されている。

 いやぁ。イイよね。歌手としての野坂も破天荒で面白いよ。

 音源のコレクションとしては、まだまだ未入手のブツがあるのでゲットしていくよ。

 現在の"花の中年御三家"は、残念ながら小沢は、すでに鬼籍の人となり、永も病に悩まされている。

 野坂も脳梗塞により闘病中で表舞台からは遠ざかっている。う~ん、時代の流れを感じさせるね。

 まっ、とにかく、野坂昭如は、非常に個性的な昭和の歌手の一人である事は確かだ…(^・^)Chu♪