本日は、お招きいただきありがとうございます。全国11人の入賞者の中に入ることができ、大変うれしく思います。僕が、このコンテストに応募したきっかけは、昨年の秋に、国語の先生から応募することを薦められたからです。初めは、迷いました。僕は、高校受験を控え、地区のトップ校を受験するからです。「周りのライバルたちが、一生懸命勉強しているのに、自分は論文を書いていて良いのか?」「たとえ、応募しても入賞する見込みは無いだろう・・・」そう思っていました。だから、考えました。その時、以前本で読んだ、印象に残っている言葉が頭に浮かんできました。「迷ったら前へ出ろ」この言葉が、決め手となりました。次第に、「やらなくて後悔するより、やって後悔するほうが良い」と思えてきました。そして、決断しました。1週間という短い期間で、この論文を書き上げることを。そのような経緯があって、ようやく論文を書き上げることができました。僕の思いを、一人でも多くの方に、理解していただけるとうれしいです。では、僕の熱い立志を聞いてください。

 「燃える男」かつてこう呼ばれたのは、長嶋茂雄さんと星野仙一さんだ。2人とも、プロ野球の一流選手だった。常に気迫を前面に出し、闘争心を持って戦う。男と男のハートのぶつかり合い。この2人の戦いは、多くの人の感動を呼んだ。しかし、現在、自分の周りでこのような人間はいるだろうか?僕は、おそらくいないと思う。今の若者は、我慢ができずにすぐキレるが、闘争心がない。そして、無気力。大半の人が「自分はそこそこの生活ができれば良い」と言う中流意識を持っている。夢のない世の中になってしまった。だが、これらの考え方は、今、始まったものではない。橋本左内が生きていた江戸時代後期から、武士は本来の気風が衰え、気力も弱々しくなり、情けない人が多かったのだ。「戦い」の本質を忘れているのだ。
 では、僕の戦いは何だろうか?それは、試験である。武力を使わなくなった現在では、「学問」で勝負する。「試験」という名の戦いに勝ったものが、自らの人生を大いに切り開く事ができる。だから、試験には全力で取り組むべきだ。その試験に勝つためには、日々の勉強により、より多くの知識や論理的思考を身に付けなくてはならない。したがって、自らの人生を切り拓きたければ、とにかく他人よりも多く勉強しなければならない。これは、紛れもない事実である。しかし、それ以前に、試験に対する心構え、精神面が非常に大事である。
 橋本左内が生きていた時代と現在では、周囲の環境はまったく違う。大変便利な生活のできる世の中にあり、治安も発展途上国に比べたらかなり安定していると言える。それに、日本人の大半が、食べるのに困らない暮らしをしている。だから、「自分は今の暮らしのままでよい」と、中流意識になりがちである。やがて、次第に努力をしなくなり、向上心がなくなる。最高峰を目指さなくなる。そして、「脚光を浴びて豊かな暮らしをしている人は、才能があったからで、自分のような平凡な人間にはできない事だ」と、自分の地位を決め付け人生のチャンスをつぶしていく。僕は、このように考える人を非常に残念に思う。今は、お金がなくても奨学金制度が発達してきたのでいくらでも勉強はできる。どんなに家が貧乏でも、東京大学を目指すことだって不可能ではない。ならば、この世の中の制度を活用しない手はない。「NO.1にならなくてもいい。ONLY.1になればいい」というような発想は捨て、NO.1を目指すべきだ。
 では、NO.1を目指すためには、どうしたらよいだろうか?まずは、闘争心を持つことだ。「絶対に負けたくない」と思えば、勉強する意欲が湧いてくる。そして、勝てば優越感に浸る事ができ、やる気がさらに増してくる。負ければ、悔しいと思う気持ちから、「次は負けない」という意気込みを持って、勉強する事ができる。どちらにしても、勝負するという事は自分にとってプラスになり、成長するための一つに礎となる。だから、まずはライバルを見つける事が大事である。次に、大きな志を持つべきだ。かつて、クラーク博士は、「Boys, be ambitious!(少年よ、大志を抱け)」という、名言を残した。橋本左内の著「啓発録」の中にも、志を立てそれに向かって前進すれば、歴史に名を残している聖賢君子や英雄豪傑のようになれると書いてある。僕は、夢のない人間には努力はできないと思う。しっかり目標を持ち、一日一日を大切にすれば、いつかきっと夢が叶うだろう。そう信じて、どんなに道は険しくとも己の中の弱い心に打ち勝つ自分になることが大切だと思う。
 僕には、夢がある。それは、裁判官になることだ。その理由は、裁判で自分が出す判決によって、犯罪が減少し、人々が安心して暮らせる住み良い世の中にしたいからである。近頃は、低年齢による犯罪が増えてきている。平気で、親や友人を殺害する小学生もいる。自分の感情をコントロールできなくなり、命の尊さを忘れてしまっているようだ。非常に嘆かわしい事である。僕は、その原因の一端は、一人一人の心にあると思う。幼い頃には、誰もが大きな夢を抱いていた。しかし、年を重ねていくうちに、自分の限界に気づき、その夢を簡単に諦めようとする。でも、一度自分自身を振り返って考えてみてほしい。本当にそれが限界なのだろうか?何の努力もしないで、叶う夢があると思っているだろうか。
 僕は、総合学習で裁判官について調べてみた。思っていたとおり、この職業に就くには、容易ではないことが分かった。まず、法科大学院を卒業しなくてはならない。司法試験の合格率は3%以下である・・・。このように、大きな壁が立ちはだかっている。しかし、僕は諦めない。その壁も、自分を信じて乗り越えていきたいと思う。そのためには、考え方を変えることが必要だ。例えば、司法試験は、「3%しか合格しない」ではなく、「3%も合格する」と言うように、すべてをプラスに変えていけば良いのではないだろうか。こういう考え方をする事によって、自分にもできると思えてくるからだ。僕は、この世の中に越えられない壁は存在しないと思う。だから、自分という人間を誇りに思って、夢に向かって歩きつづけたい。
 「努力」。 言葉で表すには簡単だが、実行するには容易な事ではない。それに、努力しても思うような成果を得られない事もあるだろう。だから、時には、全てを投げ出したくなる事もあるかもしれない。しかし、諦めてはいけない。強い信念と志を持って努力を積み重ねていけば、必ず栄光は訪れるだろう。僕は、今年、高校受験を控えている。夢に向かっての第一歩だ。僕の人生のテーマ、「夢に生きる」を大切にし、自分の人生を輝かせていきたい。

 この立志を書き上げてから、約2ヶ月。今も思いは、変わりません。来月には、僕の15年の人生の中でもっとも大きな壁に挑戦しなくてはなりません。自分を信じて、そして、今まで僕を支えてくれた人の思いを大切にして、一生懸命取り組んでいきたいと思います。本日は、本当にありがとうございました。終わります。


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