自分には才能がない。
自分には運がない。
自分にはアイデアがない。
嘆きぼやきのタネは尽きない。
その辺をグルグル回って悩んでいても、たぶん作品には反映しない。
むしろ、そんなものいったん捨てて、無心になれば、見えてくるものもある。
時々、編集者が、新人漫画家が捕らわれている、そういった自分を自分で縛る呪いを解くことがある。
眼を覚まさせるというのが、近いか。
つまらない生産的でない思いから、現実的な考え方にシフトしてもらうためだ。
そのシフトチェンジは、痛みを伴うこともある。
しかし、必要だと思ったら、敢然とやる。
そういうことの後で、人間関係が悪くなることもあるだろう。
しかし、長い目で見ると、また違って見えることもある。
目の前の悩みで頭がいっぱいの新人漫画家を現実の舞台に立たせるのは、大変。
地上10センチだって、浮き上がっていることに変わりはない。
新人漫画家に、地に足を着けてもらうのも、編集者の役割だ。
けして悪く思わないように。