チェンソーの刃研ぎ
奥が深すぎて、なかなか極めるというわけにはいきませんが
基本さえ押さえておけば、
現場で仕事にならないという事態は回避できます。
 
私は、チェンソーの達人でも何でもありませんが
日々の仕事の中で目立ての意味というような
最も基本的な事を考えるようになりました。
 
小学生のころから、ナイフや包丁を研いでいたので
普通の人よりは刃物について理解しているつもりでした。
その頃、薪づくりでチェンソーも扱っていたのですが
なぜかソーチェンをナイフや包丁と同じ「刃物」として認識できず
パワーだけで玉切りをしていた記憶があります。
 
結論から言うと
チェンソーの刃は「刃物」であり
丸くなった刃先を研ぎ直すことを目立てと言います。
研ぎ棒でただ擦る行為の事を言うのではありません。
 
というのも、まさに自分がそうだったのですが、
何回か擦ったから目立てが終わったという気になって
手入れをした、と自己満足していたのですが
今、自分よりずっとずっとレベルの高いプロと仕事をするようになって
チェンソーの刃に対する考え方にとても影響を受け
もう一度、目立ての意味を考えてみました。
 
丸くなってしまった刃を
鋭利にするためにはどうしたらよいのか?
確かにヤスリをあてる角度も大事なのですが
それは「鋭利」にするための行為ではありません。
それは各ソーチェン毎の基本。
研ぎの基本は別にあります。
 
研ぎで一番大事なのは、知識よりヤスリです。
ヤスリあっての知識です。
寿命のつきたヤスリで、良い刃は付きません。
ヤスリの寿命を延ばすにはどうしたらよいか?
どのような力加減で使うのか?
これはメーカーの説明書には書いていないし
誰も教えてくれない事です。
 
自分の考え方が正解だとは思いませんが、
いろいろ経験した上でこうしていこうという
自分なりの方向性を書きとめておきます。
切れないソーチェンに悩んでいる方のお役に立てれば。
 
ここ1か月で消耗して使えなくなったヤスリ。
まだまだ綺麗に見えますが、
もうヤスリの「刃」がありません。
 
なぜこんなに大量にゴミを出してしまったかというと
単純にヤスリの使い方を知らなかったから。
という事になります。
 
ナイフや包丁を研ぐときに、砥石に力など入れないことは
知っていたのに、なぜかソーチェンの目立ては
「力を入れるものだ」と思っていました。
確かに初期はゴリゴリ削れるんです
ただ、異常にヤスリの寿命が短い事にも気が付いていました。
 
こんなものなのか?と
しばらく特に気にも留めなかったのですが、
昨日です。
昨日、初めてヤスリの声が聴こえました。
 
ヤスリからしてみれば、やっと気が付いてくれたのかってとこです。
柔らかいソーチェンを削るのに、力などいらなかったんです。
力ではなくヤスリの刃でソーチェンの刃を削っていく。
刃物の基本でした。
 
目立てをしていると、必ず同じような抵抗感が生まれる瞬間があります。
そのとき必ず、何とも言えない「削れている音」と
均一な細かい鉄粉が床に落ちます。
 
この力加減を習得するのに、何十年もかかってしまった。
これがわかって、初めて
刃の好みをコントロールできるようになるんだと思います。
その道はまだまだ歩き始めたばかりですが。
 
 
チェンソー仕事の先輩からいただいた
ヤスリのハンドル。
どんな高価な物より、大切な事に気が付かせてくれた
使い古しのハンドル。
 
この黒い締め込み部分で
 
ヤスリのあて角度がわかる優れもの
 
 
ただの食えない農民が
独学で良くここまでやってきたと自分でも思います。
 
良い事ばかりではありませんでしたが
出会いは自分を成長させてくれました。
 
一度、あなたは何をやりたいんだ?
と同業の方に説教のようなものをされた時期もありましたが、
あの時はなぜか胸張ってこう言えなかったんだよなあ
 
自分のやりたいことをやっていくんだ。って