亀田興毅について(その2)~世界チャンピオンが6人!?~ | 10papaのボクシングブログ

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趣味で(月1回程度)書いております。

前回は亀田興毅の実力が一般メディアでの印象とは違い、ボクシング業界の中では非常に評価が低いことを述べました。



その理由はなぜでしょう?


やはりあの派手なパフォーマンスや言動でしょうか?
真面目でストイックなボクサー達が多い中で、あのような態度が
煙たがられているのかもしれません。 

いえいえ大事なのはボクシング実力です。

 

理由はズバリ、「弱い選手とばかり試合をしているから」です。



「えっ、弱い選手とばかりっていっても、亀田興毅って世界チャンピオンですよね。
そもそもボクシングって、世界チャンピオンと戦って勝つことで
チャンピオンになれる訳だし、3階級制覇ってことは少なくとも3度はそれを達成しているはず。
弱い選手とばかり試合をして、今の地位が築けるものなの?」


…と思いますよね、当然。



その疑問に答えるためには、まず昨今の世界のボクシング事情について説明しなければなりません。



以下、興味があればお付き合いください。




まず世界にはボクシングのメジャー団体が4つあります。


 ●WBC(世界ボクシング評議会)
 ●WBA(世界ボクシング協会)
 ●IBF(国際ボクシング連盟)
 ●WBO(世界ボクシング機構)


各団体の中では、階級ごとに世界チャンピオンが設けられています。

現在ボクシングは体重別に17の階級に分かれていますから、

なんと世界には4団体×17階級=計68人の世界チャンピオンがいることになります。


その中で亀田興毅はWBAのバンタム級チャンピオンに位置します。

その他に、WBC、IBF、WBOにもバンタム級チャンピオンがいるわけですから、同じ階級に世界チャンピオンは亀田選手も含め4人いるのです。



ボクシングにはそんなに多くの団体や世界チャンピオンがいるのか!

と驚かれている人もいるかもしれません。


そして、この4つのメジャー団体の中で、昨今もっとも評判が悪い

団体が、亀田興毅が属するWBAです。



WBAの評判がなぜ悪いか、その理由を一言でいうと

「チャンピオンの乱立により業界を混乱させているから」

です。


どういうことかと言うと、先ほどボクシングは同じ階級でも各団体ごとにチャンピオンがいると言いました。


ところがWBAは自分自身の団体の中に同じ階級で最大3人もの世界チャンピオンを認定しているのです。


「同じ団体、同じ階級の中で世界チャンピオンが3人!??」


ちょっと訳が分からなくなりました。
まあ聞いてください。


WBAが認定しているチャンピオンは、以下の3種類があります。



(1)正規チャンピオン

  いわゆる一般的な世界チャンピオン。
  前チャンピオンとのタイトルマッチに勝利する事で、

  新チャンピオンとして認定される。
  基本的に全17階級に1名ずつ認定されている。



(2)暫定チャンピオン

  正規チャンピオンが怪我などの理由により、長期休養となり

  タイトルマッチが行えない場合、暫定的に代替チャンピオンを

  設立する。

  一般的にはランキング1位と2位の選手などランキング上位者

  が王座決定戦を行い勝者に認定される。

  ただし正規チャンピオンが復帰した場合には、速やかに

  正規チャンピオンとの王座統一戦を行いチャンピオンを統一する。
  
  ところが現状はチャンピオンが元気でピンピンしているにも

  関わらず、暫定チャンピオンが次々と認定されている状態。

  2012年1月現在、WBAは全17階級のうち14階級も
  暫定チャンピオンが存在する。

  そして正規チャンピオンと暫定チャンピオンの統一戦は
  ないがしろにされ、それぞれが対戦相手を見つけて

  タイトルマッチが行われている状態。



(3)スーパーチャンピオン


  正規チャンピオンが、WBC、IBFなど他団体を跨いだ統一

  チャンピオンになった場合や、タイトルマッチの防衛回数を

  重ねて、強いチャンピオンとしての実績をあげた場合に、
  スーパーチャンピオンに昇格する。  
  
  2012年1月現在、全17階級のうちスーパーチャンピオンは

  8階級で認定されている。
  スーパーチャンピオンに昇格すると、空席となった

  正規チャンピオンをめぐってタイトルマッチが行われる。
  スーパーチャンピオンは、正規チャンピオンや暫定チャンピオン

  との統一戦の義務は無く、完全に独自路線で防衛戦を

  行っている。




どうですか?


正規チャンピオンの下に、場合によっては暫定チャンピオンが設けられるのは理解できますが、17階級中14階級も暫定チャンピオンがいるって、ありえないですよね。

もちろん、そんなにたくさんの正規チャンピオンが休養しているわけではありません。

みんな元気に防衛戦を続けているのに、平行して暫定チャンピオンが存在している訳です。


さらにその上にスーパーチャンピオンがいるってどういうこと?

って感じです。


とにかくそんな感じでWBAという団体はチャンピオンが乱立しており、チャンピオンの権威も低下させてしまっているわけです。



現に亀田興毅がタイトルを持つバンタム級も、WBAでは

現在3人の世界チャンピオンがいます。

 ①WBA世界バンタム級チャンピオン      :亀田興毅
 ②WBA世界バンタム級暫定チャンピオン   :ウーゴ・ルイス
 ③WBA世界バンタム級スーパーチャンピオン:アンセルモ・モレノ


これ、テレビでは誰も言わないですけど、事実です!



それに加え残り3団体にもそれぞれチャンピオンが

いるわけですから・・・


 ④WBC世界バンタム級チャンピオン:山中慎介
 ⑤IBF世界バンタム級チャンピオン:アブネール・マレス
 ⑥WBO世界バンタム級チャンピオン:ホルヘ・アルセ


なんと現在、バンタム級の世界チャンピオンは6人いることになります。



いったいボクシングの世界チャンピオンとは何なのでしょうか?

このようなチャンピオンの乱立は世界チャンピオンの権威を低下させているわけですし、それに拍車をかけているのがWBAなのです。



ではなぜWBAはこんな訳の分からない事をやっているのでしょうか。


実はボクシングのタイトルマッチには承認料というものが発生します。

ボクシングの世界タイトルマッチを承認してもらうために、主催者側がWBAにお金を払っているのです。

WBAがたくさんの世界チャンピオンを承認しているのは、タイトルマッチを少しでも多く開催して、多くの承認料を稼ぎたいからに他なりません。


いくら台所事情が厳しいからとはいえ、このように世界チャンピオンを乱立させ、チャンピオンの権威を落としているWBAは、多くのボクシングファンから批判を浴びています。



そして、そんなお金に目の眩んだWBAは、ある時期から

ジャパンマネーの匂い漂う亀田興毅に目を付けたのです。。。


次回は、そんなWBAの中で亀田興毅がどうやってチャンピオンに登りつめたかを説明します。


(つづく)



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