この写真は、グランドピアノの中身、アクションです。

長時間演奏されたピアノは、鋼鉄線の弦を羊毛のハンマーがたたくために、徐々に先端に弦のあとが深く付いていきます。

弦の太さが1ミリ前後ですから、溝が1ミリになったらハンマーは完全に弦に食い込んでたたいていることになります。これは、音が狂いやすい、音色のムラ、雑音の原因、弦への負担増による弦の耐久性への悪影響など、悪いことばかりです。

ハンマー整形(削りなおし)をファイリング作業と言います。この作業にはある程度の熟練が必要です。このため、かなり溝が深くなっても作業をお勧めされずに、ここまで深く溝が付いてしまっているピアノもあります。まあ、お勧めしても作業を断られては仕方ないですが(笑)

整形作業は、削りすぎては限りあるフェルトが早くになくなってしまいますし、削るかたちには状況や理論に合った整形方法があります。溝が0.5ミリ以上になったらこういった作業をどういうタイミングでやったほうが良いのか、調律師と相談してみましょう。

よく使う音ほど早く削れていきます。