コレクションの誘惑(国立国際美術館) その2 | れぽれろのブログ

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さてさて、昨日の続き、地下3階編です。

地下3階は写真中心の展示。
テーマごとに「イメージ」「時間」「身体」「空間」と区切られています。
が、あまりテーマにこだわらずに見た方がよいかもしれません。
以下、好きなものの覚え書き・感想など。

ヴォルフガング・ティルマンス
まずはティルマンスの不思議で抽象的な写真がお出迎え。
この物体が何なのかは良く分りませんが、すごく気持ちいい写真です。

マルセル・デュシャン「L.H.O.O.Q」
モナリザの写真にヒゲを書いたもの
ダダの歴史的作品

東松照明
アスファルト上の写真。
写真なのに抽象画みたい。

ジュリアン・オピー
Blurのアルバムジャケットなどで有名なオピー。
絵画作品と映像作品の並列。
映像作品は一見写真に見えますが、じっとみてると・・・

米田知子
著名人の眼鏡から著名人の直筆の手紙を覗く。
フロイト、ヘッセ、ジョイス、マーラー、谷崎潤一郎、ル・コルビュジエ、
ガンジー、トロッキー、ブレヒト
このシリーズはちょくちょく展示されているのですが、
これだけ並ぶのは珍しいかもしれません。
マーラーは交響曲10番のスコアですが、写されているのは音符ではなく文字。
ドイツ語が分らないのですが、これは有名な
「君のために生き、君のために死ぬ、アルムシ!」の部分なのでしょうか。
(詳しい方がおられたら教えて頂きたいです。)

ソフィー・カル
「B」「C」「W」の言葉遊びの写真化。
これも言葉(フランス語?)が分らないのが残念。
「W」にはショルティのワーグナー(Wagner)のCDが。

杉本博司「バルト海、リューゲン島」
水平線が画面を上下二分割。
これも抽象画のようにも見えます。好きな作品。

宮本隆司
取り壊される建物の写真(廃墟マニア必見?)。
そして衝撃の九龍城砦シリーズ。
九龍城砦は香港の高層建築の密集地帯でいわゆるスラム。
90年代に取り壊されたそうで、これも取り壊し直前の写真のようです。
これもまとまって展示されてるので嬉しいです。

やなぎみわ「My Grandmothers」
2009年に特集された「My Grandmothers」のシリーズから2点。
自らの老後をイメージし、特殊メイクで老人に扮した女の子を撮影。
タイトルは女の子の名前。
占い師の写真がいいですね。

ルイス・ハイン
歴史上の超有名写真家。
所蔵されていることを知りませんでした。(もしくは忘れていた)
20世紀初頭の労働者のポートレート。
今回の展示の中ではちょっと異色な感じ。

ロレッタ・ラックス
女の子のポートレートですが、写真が微妙に加工されており、
可愛いような怖いような、すごく不思議な写真です。
小川信治(写真のような鉛筆画)とは逆に、絵画のような写真。
好きな作品です。

再び米田知子
今度は空き地、誰もいない公園、何もない教室の写真
何の変哲もない写真ですが、何だかすごく面白い。
「不在」が強調されている感じ。
この作品群は初めてみる気がします。

ベッヒャー夫妻
写真史上の有名作家。
給水塔の写真が有名ですが、こちらは冷却塔。
冷却塔の写真を、主観を排して徹底的に客観的に撮り、複数の写真を並列。
すると冷却塔の形のパターンのみが浮かび上がってきます。おもしろい。
展示目録を見て気付いたんですが、旦那さんの方は亡くなられたみたいですね。
(知りませんでした。)

トーマス・シュトゥルート
91年の渋谷駅前の写真。
こういう情報量の多い写真は好きです。
レナードの朝とかホームアローンとか、時代を感じます。

畠山直哉「ライム・ワークス」
畠山さんは割といろんな作品が展示されていますが、
ライム・ワークスが一番好きです。
工場マニア必見(?)
とくに雪をかぶった工場など、何だか怪しい美しさ。

ジャン・マルク・ビュスタモント「L.P.Ⅳ」
すごく好きな写真です。
手前には建築中の建物?の資材いろいろ。後ろには湖(川?)と森。
自然物と人工物が入り混じる。
いろんなところにいろんなものがあって、
印象の違うもの同士が一枚の写真に並ぶ。
ブリューゲルの絵画のようにも見えたり。
おもしろい。

松江泰治
上空から街を見下ろした写真。メキシコ・ベルリン・大阪。
これも初めて見るような気がします。面白い!
メキシコとドイツの建物は何だかカラフルで屋根も綺麗。
大阪の建物は地味、というか景観が良くない(笑)
建物としては機能的なんだろうけど、
もうすこし景観に気を使ってもいいような気がします。
しかし写真の情報量は大阪が一番多くて面白いです。


写真は楽しみ方に少しコツがいるのか、
「絵画は好きだけど写真は嫌い」という方も多いようです。
今回の展示はいろんな種類の写真が展示されていますので、
好きな作品が見つかるやもしれませんので、写真嫌い(?)の方もぜひ。