ここ最近ニューヨークとはあまり関係ないブログばかりでしたが、久々に週末にニューヨーカーっぽいことして過ごしたので、主に写真で簡単投稿してみます。今年はセントパトリックデー(Patrick's Day)が月曜にあたりました。毎年この日がくると春も近づいてきたなと実感します。最近、仕事で忙しかったし、今月末に失効する有給休暇が数日残ってるので、月曜は会社休みました。そんなわけでこの週末は3連休になりました。

 

まず、日曜、ニューヨーク・シティーハーフマラソンに参加するというゲイ友Wさんを応援するために小雨の降る中セントラルパークへ。この日は、このブログにも何回か登場したことのあるメリーランド在住のSCさんKMさんカップルが久々にマンハッタンを訪問しており、私と旦那Dに合流し共通の友人であるWさんの応援に行きました。WさんのパートナーTさんは体調がすぐれないとかで来ませんでした。日曜は今にも雨が降りそうなすっきりしない天気でしたが、幸いそれほど寒くはなくて沿道で応援する方もそれほど大変ではありませんでした。我々はゴール地点であるセントラルパークに昼前に着いて、待つことおよそ1時間、ついにWさんの勇士を目に焼き付けました。

 

ランナーに上半身裸の男たちが多く目の保養

 

Wさんはこのブログ初登場だと思いますが、私と同年代、40歳になった時にフルマラソンを目指してトレーニングして、今回が2回目のハーフマラソン。初めての時は途中棄権してしまいました。今回も完走できるか不安だったそうですが、大体予想した時間にWは我々の前を通り過ぎて行きました。我々4人には気がつかないであっという間に走りすぎてしまいましたが、もうここまで来たら完走は確実でしたので、応援に来た甲斐がありました。SCさんとKMさんは、Wがゴールしたら預かっていた着替えや防寒着を渡すサポート役を買って出ていたので、私とDも一緒にWが過ぎ去った後すぐに公園内を横切りゴール地点のコロンバスサークルに先回りしました。なお、まだ寒いのに走者の中には上半身裸の男たちが結構多くて、目の保養になりWを待つ時間もそれほど苦にはなりませんでした。

 

ゴール地点のコロンバスサークル付近

 

完走者に配られる防寒のマント

 

無事コロンバスサークルの近くでWと合流できて、その後、そこから徒歩圏内にあるWと彼のパートナーTが住むアパートにお邪魔させてもらいました。そこで、Tさんが数日前に動脈閉塞で緊急手術を受けた話を聞きました。いつも仲がいいWとTカップルなので、どうしてTは応援に来ないんだろうと思っていたのですが、まさかこんなことがあったなんて。今までの健康診断や血液検査ではなんの問題もなかったのにいつの間にか血栓が溜まっていたそうです。先月から左手の痺れが続いていたものの放置。それで、大病をしたことのあるWがTさんを説き伏せて病院に連れて行き、動脈閉塞が発覚したそうです。WはTさんの命の恩人ともいえましょう。

 

この日は一度解散し、夕方に再び同じメンバーでチェルシーで集合しディナーをしました。場所はQANOONというパレスチナ料理店。折角停戦協定が結ばれたのも束の間、最近またイスラエルによる空爆が始まったパレスチナ。ここはそのパレスチナ出身の男性がやっているお店。パレスチナに住む彼のお母さんが作る家庭料理をモチーフにしたメニュー。彼のストーリーはこちらで。

 

 

私は中東料理は好きですが、ここは格別に美味しかったです。6人で、前菜を色々シェアして、特にカリフラワーのフリッターがヨーグルトソースとマッチし、おかわりしたいくらいでした。私がメインにオーダーしたのはメニューに載ってないこの日のスペシャル、茄子のグリルをトマトソースで煮た料理。トロトロの茄子が文字通り口の中で溶ける感触でした。以下、オーダーした料理を写真でご紹介。

 

お決まりのフムスは量が多くで大満足

 

カリフラワーのフリッター。ソースも絶品

 

茄子が口の中でとろけました、、。

 

どのデザートも美味しそうだった

 

アットホームな雰囲気。このメンバーは皆大切な友人

 

雰囲気もエキゾチックでリピート間違いなし

 

料理のクオリティはもちろんのこと、店のインテリアも暖かな雰囲気で、窓が広くとってあり、通りを行き交う人々の光景がまたマンハッタンっぽかったです。そんなことにいちいち感動しながら美味しい料理と楽しい会話であっという間に時間は過ぎました。色々政治が不安定な日々が続くアメリカですが、気の知れた仲間がいて心が落ち着きます。仲のいいゲイ友は家族同等かそれ以上の存在。ニューヨークでこうした人々と出会えたことはかけがえのない幸せです。この日はSMさんから、勤務している公衆衛生関連の政府機関がイロンマスク率いる政府効率化プログラムの対象になった話や、彼自身の職も危うい、というような話も共有してくれましたが、みんなSMさんのために親身になっていました。

 

なお我々は6人という比較的大所帯でしたが、レストラン内には他に1組のゲイグループ、年配の女性のグループ、他の客達は皆カップルか女子友二人連れという感じでした。値段的には中〜高価格帯なので、大声で騒ぐようなこの辺の大学生や若いオカマ軍団がいないので、ゆっくりと落ち着くのにもいいレストランと思いました。久々に使い勝手のいいレストランに遭遇して、店を見つけてくれたWさんに感謝。皆さんも、チェルシーに行かれる機会があればぜひ。

 

 

 

そして、17日の月曜は、セントパトリックデー(Patrick's Day)、アイルランドにキリスト教を広めた守護聖人の命日。 国民の休日にはなっていませんが、アイルランド系移民の多い米国では最も活気のあるお祝いの日で、マンハッタンでも毎年パレードが開催されます。DEIなどダイバーシティイニシアチブの廃止や縮小で、どう影響を受けるのか興味がありましたが、特に目立った変化は見受けられませんでした。アイリッシュの人々は白人なので、トランプやイロンマスクからみたら目の敵にする必要はないのかもしれません。今年は、転職してからずっと色々お世話になってるアイリッシュ系の同僚が、自分が所属してる鼓笛隊で行進するから見にきてと誘われていたのでマンハッタンのパレード会場に行って来ました。グランドセントラル駅に着いたら、駅構内を行進する鼓笛隊を見かけて、一瞬同僚の属する団体かと思ったら、全く別の団体。後で知ったのですが、こういうマーチングバンドがニューヨーク近郊でも何十もあるそうです。いかにアイリッシュコミュニティーの規模が大きいかを物語っています。

 

グランドセントラル駅構内で行進

 

こんなに近くで見られてラッキーでした

 

スカートが可愛いですね

 

 

この日招待してくれた同僚には、当初一緒にパレードに出ようと言われてたんですが、白人の中に自分だけアジア人という光景を勝手に想像して場違いな気もしたので怯んでしまって、パレード参加は遠慮しました。ただ実際には他の人種もアイリッシュ以外の白人もパレードに参加していて、余計な心配だったのですが。彼のコネクションでパレードのゴール地点に近いパレスホテル前の関係者席に入れてもらえたので、セントパトリックデーの雰囲気は十分に楽しむことができました。それにしても、ここニューヨークでのアイリッシュ系コミュニティーの裾野の広さを実感することができて、いい経験になりました。

 

 

同僚が所属するマーチングバンド

 

同僚のおかげで椅子付きの観覧席でみた

 

この日はマンハッタンが緑に染まります

 

アイリッシュパブに向かう学生たち

 

なお、この日はアイルランド系の人々はもちろんそうでない人も、アイルランドの国花シロツメクサの緑色の服やアクセサリーを身に着けてセントパトリックデーを祝うことが多いです。セントパトリックデーの数日前くらいからちらほら緑の服を着た陽気な人たちを見かけるようになると、ニューヨークにも春が近いのだなと自分もウキウキする、そんな日がセントパトリックデーです。

 

ということで、この週末は、ハーフマラソンに参加したゲイ友の沿道応援に始まり、チェルシーの新しいレストランの発見、そしてセントパトリックデーのパレード見物と、久々にニューヨーカーっぽいことをして過ごしました。また一方で、健康そのものだった同年代のゲイ友が緊急で手術をした話や、また別のゲイ友がトランプの推し進める政府機関職員削減の影響を受けそうな話などを聞き、人生について考えるきっかけになった週末でした。

 

最近日本に一時帰国したときに、10年越しの願いだった高倉健・倍賞千恵子共演の東宝映画「駅 Station」を鑑賞する機会に恵まれました。

 

 

 

公開されたのは1981年、まだ私がよちよち歩きの頃の作品ですが、小学生時代から何度かTVでの再放送があって、両親や祖父母の傍で見ていました。オリンピックの射撃選手であり、警察官でもある健さん演じる三上英次と、彼の人生と交錯する女たちを描く情緒的作品。「直子(いしだあゆみ)編」、「すず子(鳥丸せつこ)編」、「霧子(倍賞千恵子)編」という3部作からなる大河ロマンであり、「北の国から」の倉本聰が脚本を担当、そしてメガフォンを撮ったのが降旗康男監督です。物語の主な舞台は、北海道の増毛町。映画を見る前に、ロケ地を訪問したのは後にも先もこの映画が初めて。しかも2回も。

 

 

幼ながらに健さんをはじめ、共演俳優陣が渋くてかっこいいと思ったものでした。そんな昔から私はイケオジが好きだったんです、というツッコミはさておいて、やはり子供には男と女の機微を理解できるはずもなく、ストーリーの全容は理解せずにいました。やがてYouTubeが一般的になった15年くらい前から、なんとなく気になって、この映画の予告編やアップされている名シーンを何度も眺めては、健さんの世界にハマっていたものでした。特に、邦画史上の名シーンと言われる、健さんと倍賞千恵子さんが、吹雪の夜に小料理屋のカウンターで、TVから流れてくる八代亜紀の「舟唄」を聞きながらいつの間にか惹かれ合うシーンは圧巻で、いつか全編を鑑賞したいと思っていたのです。

 

2時間半近い長編ですが、観てよかった!

 

冒頭は英次の前妻・直子との別れのシーン。函館本線銭函駅から旧型客車に乗って敬礼をしながら去っていくいしだあゆみ。涙を堪えながらも笑顔を保とうとする姿がいかにも切ない。いしだあゆみは「北の国から」でも、田中邦衛演じる夫五郎の元を去っていく役を演じていましたね。田舎が似合う不器用を愛しながらも、彼のもとを去っていくというような都会的な女性が似合います。「すず子編」は、鳥丸せつこ演じるすず子と連続殺人容疑者である彼女の兄を軸に話が展開しますが、鳥丸せつこの小悪魔的魅力と深い闇が交錯する狂気的な演技に引き込まれました。

 

 

そして、この作品の本編とも言える「霧子編」。留萌本線の終点(当時)増毛駅で、英次が誰かを待っている霧子を見かけるところから始まります。その夜に霧子の店に行き着く英次は、霧子を見て「昼間、駅にいたでしょう?一度見たら忘れないよ、いい女は」と口説き文句を投げかけて二人の距離は一気に縮まります。こんなセリフを言って似合う俳優は後にも先にも健さんくらいではと思ってしまいます。健さんと倍賞千恵子さんはこの映画以外にも「遙かなる山の呼び声」や「幸福の黄色いハンカチ」など北海道を舞台にした映画でも共演しています。どの作品の中でも、ベストカップルという称号がふさわしいですが、この作品での相性は中年男女の悲哀が滲み出ていて圧巻だったように思います。居酒屋霧子のシーンが豪華邦画史上に残る名シーンと言われる所以でしょう。

 

 

健さんやいしだあゆみ、倍賞千恵子など、物語のキーとなる登場人物を演じる俳優以外の共演者も超豪華です。英次の先輩刑事・大滝秀治、義理の兄の名古屋章、すず子の兄を演じる根津甚八、彼女の恋人を演じる宇崎竜童、英次の故郷雄冬の幼馴染に田中邦衛、小松政夫などなど。霧子の昔の男で、英次が追う殺人犯でもある森岡茂を演じた室田日出男、また、健さん演じる英次の弟・永島敏行、妹・古手川祐子らは、ほんの数分の登場なのに、その存在感で記憶にしっかりと刻まれる好演。そういった豪華俳優陣がそれぞれほんの数分のシーンに次々と登場しても、しっかりと記憶に残る印象的な人物に描く降旗監督と倉本聰の脚本力には脱帽です。

 

男鑑賞視点でも見どころの多い映画でした。まず、中年に差し掛かった健さんを鑑賞するプロモーション映像と言ってもいいくらい男の魅力がムンムンしています。脱いだりするようなシーンはありませんが、狙撃トレーニングや夏のシーンのポロシャツ姿では、服の上からでも分厚い胸板と上腕筋のが素晴らしく、健さんの恵まれた体型を鑑賞できます。そして、私的には、根津甚八、永島敏行、室田日出男の3人の印象が推しでした。

 

連続殺人犯である根津甚八が、近親相関的なニュアンスを含むくらい愛している妹すず子の前にあわらる緊迫のシーン。妹を愛おしく思いつつも、警察の囮捜査にはまったことを察知するときのなんともいえない表情。この後、演技派俳優として活躍していく片鱗を見せています。また、増毛神社の年越しのシーンで、英次と霧子が一緒に歩くのを遠巻きに眺める室田日出男演じる森岡はマスク・サングラス姿でも彼とわかる存在感。そして、私の1番のお気に入りの登場人物は永島敏行演じる英次の弟。実家に帰省した英次(健さん)が寝床に入る前に、英次の子供に密かに会いに行った話をする永島敏行の様子は可愛すぎて困ってしまいました。ゲイ的要素は全くないんですが、男兄弟同士の何気ない会話をした時のなどの表情は色っぽくて艶っぽくて、その後2枚目俳優として頭角を表しいていく片鱗を見せていました。

 

健さんの弟を演じた永島敏行

 

古手川祐子も美しかった。右は実生活での元夫で俳優の田中健

 

倍賞千恵子さんは今年84歳になられるそうです

 

と、見どころ満載の日本映画の傑作中の傑作、「駅 Station」を観た感動をどこかでシェアしたくてこのブログで紹介させていただきましたが、奇しくも観たのは、健さん没後およそ10年たった年。もしご存命なら今年95歳になります。色々いい日本の俳優さんはたくさん出てきてはいるけれど、高倉健という男は唯一無二の存在と改めて認識した映画でした。そして、倍賞千恵子さんは、今年84歳。まだまだご活躍中です。ちょうど日本に滞在中に新聞で、バースデーコンサートを開催する広告を観ました。ぜひ行ってみたいものです。

 

続編は、実際に増毛を訪問した時のお話を書きたいと思います。

 

 

 

 

トランプ政権が発足してから、毎日のよう世界の秩序が変わるようなニュースを見聞きするようになっています。今日は、教育庁の職員を半減するという発表がありました。ニューヨークで同性婚したゲイという立場の私から見た、トランプ再選後のアメリカ生活を過去2回に渡って紹介していますが、多くの方に興味関心を持っていただいているようで、ブログはとても多くのアクセス数を獲得しています。

 

 

今日はその第3弾。前回は移民政策について、私が見聞きしていることを書きましたが、今日は相次ぐDEI政策の廃止や見直しに関して、正直な感想を述べてみようと思います。

 

トランプが就任後に成し遂げた大きな成果の一つにあげるのが、大統領令により連邦政府のDEIプログラムを終了したことです。DEIとは、「Diversity(多様性)」「Equity(公平性)」「Inclusion(包括性)」の頭文字をとった略称で、多様性が尊重され、誰もが公平に扱われ、包括される社会や組織を目指す取り組みを指します。バイデン政権下では、DEIが推進され、政府高官任命時に人種やジェンダーの多様性が考慮されたと言われています。トランプによれば、前副大統領で昨年大統領選を闘ったカマラ・ハリス氏も、黒人女性だからDEI枠で採用されたということになっています。DEI枠、というのは半ば貶し言葉で、「真の実力もないのに選ばれた、」というようなニュアンスが含まれることが多いです。

 

つい昨年までは社会通念として、政府や企業や教育機関の組織で、取引先や購買先選定から人事採用や昇進などに渡ってDEIが考慮される傾向が続いていました。それを葬り去って、実利主義、効率主義、実力主義という大義名分を掲げたのがトランプです。色々なデータや研究で、DEIが進んで色々なバックグラウンドの人が活躍する企業は競争力が増すということが証明され、これまでに多くの多国籍企業がDEIを推進していましたが、今はそういった企業の多くも、トランプ就任後は手のひらを返したように、企業内のDEI政策を縮小、廃止しています。なお、下の記事、DEIについて日本語でわかり安く解説してあります。

 

 

日本語のメディアでは、DEI廃止縮小傾向について、「マイノリティの発言力が過度に増し、割りを食ってきた白人男性たちの声にトランプが応えた結果だ」という分析が一般的になっているようです。また、大手企業が続々とDEIを取り止めているのはトランプにすり寄るためだというようなメディア記事も見かけます。私には、ここ数年DEIに対する行き過ぎを感じる流れもあり、敬遠する人たちが増えてきていたことをトランプが巧みに汲み取って自分の当選の原動力にした、というように見えます。

 

以前、前の会社のホリデーパーティーのことを書いたブログでも書きましたが、DEI配慮が行き過ぎて、会社主催のクリスマスパーティーでは「メリークリスマス!」という言葉は基本使われず、使うとしたら「ハッピーハヌカ!」というユダヤ教のお祝いのほか、延々と他宗教を同等に並べる配慮、忖度がなされていました。さらに出される食べ物が、野菜スティックと、鶏肉と豆腐と植物由来の擬似肉だけになってしまったことがあります。ほとんどの社員は乳製品入りのスィーツや、ビーフなどの他の食材で作られた料理を食べたいのに、、、。わかりやすくいえば、菜食主義者や宗教的制約のあるごく一部の人たちのことを考慮するがあまり、大多数の人が食べたいものを我慢する、という状況になっていたのです。なお、どうして企業において、DEI見直し傾向が進んできたのかということに関してもっと詳しく知りたい方は、この記事が詳しいです。

 

 

 

さて、自らがアメリカで働く、ダブルマイノリティ(アジア人でゲイ)という立場から意見を述べると、DEIの取り組みが廃止されたからといって、少なくとも私は困らないし、本当に困る人はどのくらいいるんだろう、とまず最初に思います。DEIは公民権運動を起源としており、アフリカン・アメリカンの基本的人権を要求する運動から始まったという説があります。その後、それぞれの時代の要請に合わせて、発展してきたのかと思います。それなので、トランプが煽動するように、DEIが悪だとも思いません。DEI施策がなくなったからといって、一気に社内で性差別や人種差別や横行するということもないでしょう。既に、ダイバーシティは行動様式として根付いているので、トランプが大統領になったからといって、少なくとも手のひらを返したように、白人至上主義を唱えるような輩は今の所、少なくとも私の会社では見かけません。もちろん、アメリカ全体を見ると、マイノリティーの意見を代弁する必要がある場面というのは、多々あります。しかし、会社など組織の中での枠組みを考えると、DEIはある程度の役割を終えたのかなと思ったりもします。うちの旦那の会社も同じような感じだそうです。

 

という私が勤務する会社は、全世界にオフィスを展開する大手企業ですが、今のところDEI関連で大きな変化はありません。元々「DEI推進室」みたいなDEI専門の部署はなくて、役員数人がスポンサーになり、人事部のマネージャーの一人が(黒人女性)がコーディネーターになって、社内横断的Dに社員のボランティアで構成される委員会が運営されています。この会議が毎年1回に、その年の取り組みについて発表する、というのが恒例です。

 

 

数年前に受けたDEI研修。今思えば、一体なんだったのだろう

 

どんな活動をしていたかも定かではありませんが、ゲイでアジア人というマイノリティでありながら、DEI委員会の提案に共感することはなかったです。昨年DEI総会の前後に色々なメールが来てたな、というくらいにしか記憶にないです。アメリカでのDEI縮小のトレンドを受けて、もしかすると、うちの会社のDEI総会も廃止になるかもしれませんが、大きな反対もないような気がします。何より、スポンサーになってるシニア・マネジメントの間で「やらされ感」が漂っていた気がします。私の超絶イケメン上司が、DEIスポンサーの一人として社内キャンペーンのサイトに、マイノリティの一人として歓迎のコメントしてましたが、彼は、DEI会議当日はその他のビジネス上の優先事項があり欠席したと聞きました。結局、DEIは企業経営の最優先課題と言われるのも建前だったのかと思います。それと、DEI委員会が多様性を推進するという理念をどの程度実行に移しているのかも甚だ疑問です。例えばうちの会社のDEI委員会のメンバーはみんな有色人種の中でもキラキラ系な人たちばかりで、はからずも有色人種の中のイケてる人たちによる排他的雰囲気すら漂っています。うちのイケメン上司もアジアの血が入ってるということでマイノリティ枠に入ってますが、圧倒的な有能さと持ち前のルックスとでDEIの助けが必要な風には見えません。

 

 

先週末、ゲイ友のホームパーティーで会ったユニセフNY本部に勤める白人中年ゲイから、彼はDEI廃止を密かに歓迎しているのだと聞きました。日本では共同募金で有名なユニセフ。外から見ると非営利・援助産業の最高峰、リベラルでDEI最先端組織という印象ですが、彼のように白人男性は、ゲイであろうがストレートであろうがDEIの恩恵は受けないそうです。それどころか、ユニセフ社内で上位のポストに応募しても、選ばれるのは有色人種の女性ばかりという状況だそうです。なんでも、社内の空きポストの公募時に有色人種と女性を半分以上ショートリストしないと、面接を設定することが許されないとか。「それって、白人男性に対する逆差別じゃないんでしょうか、」と彼に聞いてしまいました。彼は、良くぞ言ってくれました、という反応で、ユニセフでもDEI縮小されるのではないかと希望的観測を持っているそうです。もちろん、彼自身はとてもリベラルで、トランプのことは大嫌いなのですが、それでもDEIの廃止に関しては内心喜んでいるのです。

 

ユニセフなど国連系の非営利組織では今もDEIが健在だそう

 

そのユニセフ勤務のゲイの話を聞いた後、旦那が帰り道で、彼自身の数年前の昇進の時の話をしてくれました。旦那はその昇進をかなり長い間待っていたらしいのですが、同じ日に、会社にたいして貢献してたとは思えないある有色人種の女性が飛び級で昇進になっていたそうなのです。それも、彼女より職歴も長く有能で誰が見ても彼女以上に激務をこなしてきた白人男性を追い抜いて。これは物議を醸したそうで、女性社員たちからすら文句が出たそうです。

 

ということで、今日は相次ぐDEI政策の廃止や見直しに関して、 私の正直な感想や身近な経験をシェアさせていただきました。ゲイでアジア人という立場のマイノリティーなので、「Diversity(多様性)」「Equity(公平性)」「Inclusion(包括性)」というDEIの理念の恩恵を受けててもおかしくはない筈の私ですが、これまでアメリカに住んできた20年間、少なくとも直接的な恩恵を受けた覚えは一切ありません。もちろん、本当にDEI政策の助けが必要な方々もいるのは事実ですが、今のトランプ政権の動きを見る限り、今後それは個別案件として配慮する、というように企業も変わっていくのかなと推察しています。

 

NYCは既にDEIが内包されている街と言える

 

 

 

 

 

旦那が東京で開催された某国際会議のフォーラムでパネリストとして登壇するというので、最近私も一緒の日本にお忍び帰国。その往路の羽田便で、ユナイテッド航空便で旅行したのが100万マイルに達し、ミリオンマイラー資格を獲得ました。今日は、ユナイテッド航空が、旅行当日も含めどんな対応をしてくれたのかというお話です。

 

機内では機長さんと客室責任者から直々にお礼をしていただき、アメリカに戻って来て数日後にミリオンマイラーステイタスの記念の盾が届きました。2004年にユナイテッド航空と合併される前のコンチネンタル航空でマイルを貯め始めて20年と8ヶ月。飛行機にたくさん乗ってる割には年月がかかりました。まだあの頃はアメリカ行きといえばノースウエスト航空(今はデルタ航空)が隆盛で日米往復で結構乗ってたし、さらにはJALのマイレージバンクにも登録していて、3大アライアンスに分散していましたが、ここニューヨークに来てからは前職の会社がユナイテッドと法人パートナー契約してたおかげで、国内出張はユナイテッド一択という状態でした。自然にプライベートでの旅行もユナイテッドかANAなどスターアライアンスに所属する便を選んでました。ユナイテッド航空のマイレッジプラスは使い勝手がとてもいいのです。ここ数年プログラムの改悪が続いていると言われていても、それでもJALやANAの日系エアラインの色々と制限のあるプログラムに比べたら全然マシ。

 

A4サイズのコピー用紙の束くらいのギフトボックスで届いた記念の盾には、私の名前、マイレージプラスプログラム(私の場合は前身のコンチのプログラム)への会員登録日、最初の搭乗便、100万マイル達成時の搭乗便などの情報が載っています。うちの旦那は数年前に一足先にミリオンマイラーになっていましたが、旦那が受け取った盾は名前だけが記載された旧バージョンの小さいサイズ。

 

こんな箱が届きました

 

お礼の手紙も添えてあった。盾のデザインはこんな感じ。

 

小さい方は旦那がミリオンマイラー達成時に獲得した盾

 

後ろのデザインは同じ

 

 

ミリオンマイラー資格獲得した旅行から帰国後、数日で送られてきたという効率の良さもさることながら、既に旅行前の時点から、この日に100万マイルに達成しますよと、アプリで告知されていました。マンハッタン近郊のニューアーク空港からも毎日2便ユナイテッド航空の東京直行便(成田、羽田1便づつ)が飛んでいますが、この日はシカゴ経由。旅行当日、シカゴへのフライトの前にこんなテキストが届きました。ニューアーク〜シカゴ便で100万マイルになるのかと思っていたら、数マイルの違いで、シカゴ〜羽田便をもって100万マイル達成でした。

 

この日に100万マイル到達が予告された

 

 

ニューアークから乗り継ぎのシカゴのポラリス・ラウンジではチェックインの際に、受付の方に「おめでとうございます!」と言っていただきました。記念日を、我々は絶対に忘れないぞ、というユナイテッドの意気込みを感じます。シカゴのポラリス・ラウンジは、日本便の出るゲートのすぐ近くにあるので便利です。(ニューアークのポラリス・ラウンジはターミナルの中央にあってゲートと微妙に離れている)。ポラリス・ラウンジは長距離国際線のビジネスクラス利用者しか入れないので、一般のユナイテッド・クラブや羽田からこちらに戻ってくる時に使うANAのラウンジように常に混雑してて座れないということがありません。何より、羽田でよく見かける行儀の悪い乗り継ぎアジア人がいないのが嬉しいです。(誰か一人の会員ステイタスで、一族郎党を入室させろと受付でごねて、家族三世代でラウンジに乗り込んできて、特に子供と年寄りの行儀が異様に悪い乗り継ぎアジア人軍団を見るだけで嫌な気分になる)

 

この日はニューアークから乗った便が早く到着しラウンジで時間があったので、いつもは眺めるだけで使ったことのなかったラウンジ内レストランで軽くランチしました。後述しますが、いつものことながらユナイテッドの機内食には期待できないので、ここで食べておいて良かったです。折り紙飛行機の装飾のついた新作カクテルも美味しかったし、メインコースのサーモンのグリルが、外はカリカリ、中はしっとりで絶品でした。

 

ユナイテッド・ポラリス・スターというカクテル。折り紙の飾り付き

 

皮付きサーモングリル。また食べたい

 

そして搭乗し、自分の席に座ると、この便の機長さんと客室責任者の方が挨拶に来て、記念のメダルをくれました。旦那がミリオンマイラー達成した時も二人一緒でしたが、このプロセスは同じでした。旦那の時は最初のミールサービスのデザートが出るタイミングだったような気がします。いずれにしても、粋なサービスだと思います。その後ミールサービスの時も別のクルーも、「おめでとう!」と言ってくれて、私の席番号情報が、クルーの中が共有されているのだと思いました。ユナイテッドなどアメリカの航空会社のサービスは悪いというので定説ですが、フレンドリー・スカイ、というコンセプトを掲げるだけあって、こういうサービス好きです。アメリカの航空会社のサービスは、わりとビジネス客向きというか、男性一人が出張で使うときや、我々のように子なしカップルが使う分には申し分ないと思います。それと、ユナイテッドのポラリスはペアシートがあるので、今回のように旦那と2人で旅するときは使い勝手がいいです。ANAの国際線プレミアムクラスは全席が孤立してるので、例え隣に座っても、会話したり一緒に食事を楽しんだりするのが難しいような作りになってます。

 

機長から頂いたカードとミリオンマイラー達成記念メダル

 

一応旦那と記念の自撮り撮影

 

ユナイテッドでやや残念なのが、機内食。元々機内食には期待してない方ですが、プレミアムクラスの機内食ならもう少し頑張って欲しいかなというのが正直な感想です。この日はユナイテッド太平洋便の定番ビーフステーキ、照り焼きチキン(日本食)、そしてベジタリアン向けのアジア風ココナツうどんスープ。シカゴのラウンジで少し食べて来たので、何か軽いものをと思いココナツうどんにしてみましたが、うどんというより、ピーマン人参スープと呼んだ方がいい見た目でした。ただ、緑黄色野菜を欲していたので結果満足でした。その後、機内エンターテイメントで「セックス・アンド・ザ・シティー」の懐かしのシーズン1エピソードが全話視聴可能でしたので、一気に10話見てしまいました。少し寝て、羽田到着前の朝食は、またクルーの方が「100万マイルの記念の旅には食べたいものを食べないとね、」と気を遣ってくれて、チョイスを一番先に聞いてくれました。ギャレーから香ばしい香りが漂っていたので、あの匂いは?と効いたら、「ジャパニーズ・ブレックファストなの。このルートでは人気よ。今日は6食しか積んでないの」と言われたので、じゃ、それで、と選びました。最後に「私は食べたことないんだけどね。魚ダメだから」とズッコケなオチ。メニューには鰆の西京焼きと書いてありました。添えてある野菜がトマトとブロッコリーとビーツで、魚と合うのかなと思いましたが意外に美味しかったです。メニューでは味噌汁のはずが、カニカマとちくわみたいな練り物が入った塩味スープがついてきました。

 

 

ココナツうどん。スパイスの効いてないタイ料理的な味

 

SATCは古典的名作だと再認識

 

羽田到着前は鰆の西京焼きと謎スープ

 

 

ということで、ユナイテッドのミリオンマイラーステイタスに到達した前後の話を書いてみました。私の在米20年の記念すべき年に、ユナイテッド航空が花を添えてくれたようで、嬉しい限りです。

 

なお、最後にまたオチ。東京に着いて、旦那の出席する会議の主催団体が手配してくれた都心のホテルにチェックインしました。この会議に参加する外国人ゲストとその連れの専用チェックインがあって、ウエルカムのおもてなしはいいのですが、宿泊割りの案内板にMr./Ms. D...と表記。どうやら我々は男女カップルと思われていたようです。そういえば、配偶者同件登録時に私の名前は名前は聞かれなかったような。チェックインはフィリピン人と思われる女性が対応してくれて、配偶者登録で私を見て、一瞬「?」という感じでしたが、何もなかったかのようにチェックインしてくれました。滞在中、その案内板の表記はずっとMr./Ms. D...のままでしたが。

 

 

 

 

今年もあっという間に3月ですね。土曜日は少し暖かくなったと思ったら昨日、今日とまた寒くなりました。三寒四温という春の兆候がここニューヨークにもあてはまります。

 

今月末、久々にうちでホームパーティーを実施することにしました。それに合わせて少し食器などを新調しようかと検討中ということで、週末に郊外のショッピングモールに買い出しに行きました。旦那のお気に入りの店、ウィリアムズ・ソノマ(Williams Sonoma)。戦後1950年代にカリフォルニアで創業したキッチン用品の専門店。今は全米展開で、食器をはじめ、キッチン雑貨、テーブルウェアブランドとしての有名です。一応セレブ路線を謳ってはいますが、高価帯ばかりの品揃えというわけでもなく、季節感溢れる店内の雰囲気に惹かれて我々もよく訪れます。日本人駐在員家族にも人気のようで、我々が行くモール内店舗では大抵日本人家族に出くわします。

 

 

https://www.williams-sonoma.com/

 

大型店舗にはキッチン実演コーナーもある

 

前回行った時はまだバレンタインとホリデーシーズンの延長みたいな雰囲気でしたが、3月になったということで、店舗内は新しい装飾が施されて、日本の花見文化をモチーフにした食器類が今年の春の目玉になっていました。食器シリーズの他にも、藍染のテーブルクロスやナプキン、そして竹かごデザインのランチョンマット、折り鶴の箸置きなど、ウィリアムズ・ソノマ解釈の日本の春、面白いなと思いました。ニューヨーク近郊の一軒家に住む中産階級家庭が、春のある晴れた日にお客さんを招待して週末ブランチするシーンが思い浮かびます。いわば、ライフスタイル提供型店舗ともいえます。例年この時期はイースターの装飾だったと思いますが、それを押しのけてモダン・ジャパニーズがメインコーナーを占拠しているのは興味深い変化です。

 

 

David Yoshimoto Utterback氏と行く日本の旅

 

そんな中、このコーナーにあった「伝説のシェフと行く日本への旅」を当てよう!の宣伝が気になりました。QRコードから応募して、有名寿司シェフと行く日本の食文化を探る旅を当てましょう、というもの。その寿司レジェンド、どこかで見た事のある顔だと思ったら、ネブラスカ州オマハで活躍する日系人、David Yoshimoto Utterback氏でした。オマハで日本食レストランを数軒展開しており、2023年には、大手老舗メディアによる全米レストラン100名店に選出されていたのです。あるゲイ友がオマハに行った時に、ネブラスカにあんな洗練された日本食レストランがあるとは驚きだった、と言っていたので、我々もいつか行ってみたいと思っていたのです。

 

 

 

https://www.washingtonpost.com/food/2023/12/20/omaha-sushi-dave-utterback-ota-yoshitomo/

 

さて、そのDavid Yoshimoto Utterback氏、野郎系の風貌でTATOOなんかも入っているようですが、批評をみる限り、彼の握る寿司や彼の店で提供される和食はとても繊細な味で、舌の肥えたオマハの人々を魅了しているようです。なお、オマハはネブラスカ州の州都で、元々は精肉業で栄えた街。オマハと聞くと、私は美味しいステーキを思い起こしますが、肉だけでなく、さまざまなグルメが楽しめる食通の街としても知られるようです。(私は行ったことががないので、説得力はありませんが、、、)

 

David Yoshimoto Utterback氏の活躍を伺うに、既にオマハのジャパニーズといえば、彼、という地位を確立しているようです。今、こうして、ウィリアムズ・ソノマと提携するなど、ネブラスカから全米にその存在を知らしめているようで、頼もしい限りです。「NOBU」や「MORIMOTO」に続くアメリカにおけるモダン・ジャパニーズの次世代のスターといったところでしょうか。まさに注目の日系アメリカ人です。なお、「MORIMOTO」の料理の鉄人モリモトシェフに至っては、「寧」という調味料のラインナップを監修していて、ウィリアムズ・ソノマ全店で展開中です。こうしてみると、和食シーンはもう完全にメインストリーム化していると言えるでしょう。

 

 

食の都オマハのセレブシェフという地位を確立している

 

モリモト氏監修の「寧」ブランド。各種ソース、調味料。

 

という事で、アメリカの食にまつわるライフスタイル提供店舗ウィリアムズ・ソノマで垣間見た日本食のメインストリーム化のお話と、新進気鋭の日系アメリカ人スターシェフの紹介でした。

 

最後に余談。和モダン風を紹介しておきながら、我々がこの日購入したのは、中華料理用の大皿セットです。旧正月が終わり半額セールでした。このシリーズ、コロナのパンデミック以前にも、ウィリアムズ・ソノマのアウトレット店舗で2皿だけ70%引きで購入したのですが、干支シリーズだったそうで、色々なデザインがありました。結構使う回数が多いので増やしておきたいと思っていたのでした。たまにうちでは金曜の夜などに親しい友人やご近所さんを呼んで、テイクアウト中華を買ってきてカジュアルなディナーをすることがあります。紙皿や味気ない白い食器を使っていますが、この干支シリーズを揃えることにより、全く手間をかけずとも、雰囲気が華やかになるかなと期待しています。という事で、春のホームパーティーも中華をテーマにしようかと考えています。

 

なお、店員さんによれば、このシリーズ一度終了したものの、人気があったので産地を変えて復活を遂げたのだとか。ただ今年の干支である蛇のデザインは大量に売れ残っていました。蛇が食器に描かれてたら、怖いし😱食欲が失せますよね、、。

 

最初に買った2皿は龍の絵柄で客人にも好評だった