【第５章〜先輩に切れた話〜】

先日、先輩でありお世話になっているウーマンラッシュアワー村本さんに本気でブチ切れてしまいました。

しかも村本さんの誕生日である11月25日に…

ここでこの日の話をするのにいくつか押さえておいて欲しいポイントを紹介します。

〜オンリーワンとは〜

村本さんは大阪時代からの15年来の先輩で、僕から見るに村本さんは『先輩に属さないタイプ』の人で、それは単純に先輩付き合いが苦手とかもあるでしょうが、それよりもオンリーワンの道を進みたい、誰のマネもしたくない、自分の力で登りたいと言う人なので、先輩といると少なからず影響を受けたり、時にはアドバイスを貰ったり、貰ってもそれを実行しなかった時は失礼になってしまうし、それなら最初から行かない方が良いし…と、余計な気や時間をつかってしまうので、本能的に先輩付き合いは必要無いと思ってるんだと思います。

それとは逆に僕は正に自分で村本軍団なんて言ってる様に『先輩に属するタイプ』で、オンリーワンなどは全く考えず、他にも色んな先輩にお世話になり、色んな先輩の影響を受け、良く言えば誰にでも合わせられ、悪く言えば色んな人に全てを合わせて生きて来ました。

しかし最近コンビを解散して色々と考えている内に僕の中で気持ちの変化があり『オンリーワンになる事』とは『何にも属さない事』『何にも合わせない事』『自分の時間で生きる事』だと実感し、事務所を辞め、芸人を辞め、自分がやりたい事だけをやろうと考える様になりました。恐らく今までは僕が『不安』だったから誰かと一緒にいて、どこかの輪に入り、いつでも人に合わせてきたのだと思います。しかし強い思いがあるとそこに媚びる必要は全く必要なかったんだと気付きました。

そんな、僕が40歳でやっと気付いた事を村本さんはずっと前からやっていたんだと、更にその凄さに気付きました。（全然違うかもやけど）

（これを①とする）

〜実家モード〜

村本さんの中で僕が嫌いなモードがあります。

例えば、実家に住んでて友達が遊びに来て一緒に部屋で遊んでいたらオカンが急に入って来て、あんたらご飯食べるの？とか聞かれたら

うっさい！勝手に入って来んなやババァ！

って切れる実家あるあるがありますよね。何だか友達の前だと急にオカンの事が恥ずかしく感じて怒ってしまう感じ。

村本さんは2人の時はあまり無いのですが、僕ら以外に誰かがいるとたまにそのモードになります（笑）

誰か他の人もいて、僕が空気の読めない事を喋ったり後輩として粗相をすると、いつもだったら何も言わないけど人前でそんな事をする僕を恥ずかしくなりイラっとして説教モードになります。

そしてスイッチが入ると普通の説教じゃなく

『そんなんやから売れへんのやろな。』

などと『嫌な事』を言って来ます。

これは本人も認めている事で

『何本かある中で1番よく切れる刀を選んで切ってしまう』

と言っているくらい嫌な事を言ってくるのですが、僕からしたらよく切れる刀ではなく、後々変な傷が残るギザギザの刀で切ってきます（笑）

ちなみに『友達の前やからオカンに強く言ってしまった…悪い事したな…』と後から反省する実家あるあると同じ様に、2人になってから『さっきは強く言ってゴメンな』と謝って来る事もあります（笑）

（②）

〜どっちにしろ潰す〜

更に嫌いなモードがあります。

そのギザギザの刀で切られた時に、もちろん粗相をしたのだから申し訳ないなと言う気持ちがあるのですみませんと謝ると

『いや芸人やねんからツッコんで来いや！だから売れへんねん！』

と怒られます。なるほど、確かにそこで暗くなっても空気が悪くなるだけか…と思いまた同じ様な事が起きた時に『いや言い過ぎやろ！それくらい良いでしょ！』とツッコむと

『バカやから、本気で怒られてるのが分からんとすぐふざけるねんな。だから売れへんねん。』

と怒られます。

どないやねん！！！

どっちにしろ怒って来るやん！！！！！！

どうすりゃ良いねん！！！！！！！

ってなる時があります。

（③）

〜適当人間〜

僕はかなり適当人間です。

人に合わせると言いましたが、調子良く合わせてるフリをしているだけで中身はかなり適当です。礼儀も分かっているちゃんとした人間の様に見られがちですが、そんな事は全くありません。

恐らく、ボケの人の方が実はしっかりしてて細かいところまで気配りが出来るのでちゃんと後輩としての行動が出来ます。普段からネタを作る時に、人間の基準とは何かをしっかり考えていてそれをいかにズラすかと言う作業をしているので自然と常識が身についているし、そうじゃないとまともなネタも出来ないのでしょう。しかしきっちりし過ぎてしまう分、先輩付き合いもしんどくなるので苦手なんだと思います。

そして逆にツッコミの人間はいい加減です。人との距離感もいい加減で平気で相手の領域に入る事が出来るのですぐに人と仲良くなれます。先輩にも気に入られます。しかし距離感を間違え過ぎて粗相をして怒られます。はい！と元気良く返事をするくせに全然話を聞いていないなんてしょっちゅうです。

僕は典型的なそのタイプの人間です。

（④）

〜高級焼肉店にて〜

以前、村本さんにいい値段のする焼肉屋さんに連れて行って貰った時に後輩である僕が焼いていて、なるべく焼き上がりを待つ時間が無い方が良いと思いどんどん焼いていたら

『もっとゆっくり焼いて。』

と注意された事があります。僕はガサツだから『良い焼肉屋』も『大衆的な焼肉屋』も一緒なのでそんな事気にしてませんでした。けど確かに自分がお金を払うとして、後輩がお肉を適当にばんばん焼いていたらムカつきます。これは注意されるのも仕方ありせん。

（⑤）

〜先輩全員あるある〜

先輩と呼ばれる人達って漏れる事なくみんながみんな声小さくない（笑）？？

語尾がいつも聞き取られへん。それで二回くらいは聞き直すけど、聞き直したら聞き直したで嫌な顔するから、次から聞き直されへんし。

で、後から『さっき言ったやん』て言われても知らん！聞こえてないねん！！はっきり喋らんかい！！

（⑥）

そんな上記の事を踏まえて、11月25日。

村本さんが名古屋で独演会（1人でやっているライブ）があり僕はその手伝いをして欲しいと頼まれ一緒に一泊で名古屋へと行って来ました。

そこには村本さんの知り合いの方とその息子さんも手伝いに来てくれていて、ライブ終わりの打ち上げとして4人で焼肉屋さんへと行きました。

で、まず塩タンから食べる事となり後輩である僕が焼きました。そして1枚目が焼き終わってすぐに、僕は次のも焼いてた方が良いタイミングで食べれるなと思い間髪を入れず2枚目を網に乗せました。
（⑤で注意された事を忘れると言う、完全に④の部分）

すると村本さんはその事を覚えていて、

『お前もう触るな。』

と僕からトングを取り上げました。
（②の部分が軽く出現）

そして暫くは普通だったのですが、少しした頃に事件は起きました。

村本さんが、僕が食べている白ご飯を見て

『いやご飯にタレ付けてるやん。俺が少し貰うって言ってたのに、何で汚く食べてんねん。』

と言いました。

え、そんなん言うてた？
（絶対に⑥の部分）

そしてさっきのタンの時に軽くスイッチが入ってたので、ここで一気に②と③の部分が出てきました。

村本さん
『いやコイツ、本当ガサツなんですよ。前にもね…』

桝本
『…（③の様にツッコんでも謝っても怒られるから無言）』

村本さん
『ほら、プライド高いから怒られたら無言になるんですよ。』
（無言は無言で潰してくる更に③の部分）

桝本
『…（それでも無言）』

村本さん
『他にもね…があったりね。』

桝本
『…（もちろん無言）』

村本さん
『いやホンマ何も言わんやん。プライド高いからイジられるの嫌いなんですよ。』

てのが数回あり僕もイライラして来たのですが、目の前には初対面の親子さんがいるし変な空気になったらダメやし…けど…何か言わなきゃ…

桝本
『……な、なんなんですか…』

村本さん
『は？』

桝本
『…さっきから何なんですか？』

村本さん
『うわっ！返しの中で1番おもんない返しやな！』
（めっちゃ③）

ブチっ

何でさっきからそんなん言われなアカンねん！！！

ヒトがいるからって変なスイッチ入れるなや！！！！

てかご飯くらいでガタガタ言うなや！！！！

そして何より僕とあなたの仲でしょうが！！！！！！

ずっと長い付き合いをして来ているのに何で嫌な事を言うねん！！！！！！！

そしてそして何より僕はあなたが好きで、あなたの、嫌な先輩や周りに気をつかわずに自分の好きな事をする姿に憧れて今一歩を踏み出そうとしてるのにそのあなたが嫌な先輩になってるやん！！！！！！

そして俺は俺で踏み出そうとしたくせにまた嫌な先輩に気をつかい、目の前の人達に気をつかい、嫌な言葉を言われてもただただ無言になってるやん！！！！！！！

タン焼いて注意された時にまずパッと何か返せば良かったやん！！！！

ご飯の事言われても何か返せば良かったやん！！！！！

また無言になってるやん！！！！！！

村本さんもクソほどムカつくし自分にもクソほどムカつく！！！！！！！！！！

どっちもブチ殺すぞ！！！！！！！！！！！！

と言う①の部分から様々な感情が出て来て僕はブチ切れたのですが、何せ今まで人にキレた事がほぼ無いので言葉がうまく出て来なくて、ただただ涙が溢れて来て

『もう帰ります！』

と言って席を立ちました。

女の子が怒ってデート中に帰る感じの怒り方しか出来ませんでした（笑）

いや女の子の方がちゃんと声に出して怒れるか…

そして一方、僕がブチ切れた後の村本さんは僕が『もう帰ります！』と言って席を立った瞬間に僕の腕を取り

『え、どうしたん？どうしたん？どうしたん？？何かあった？？いつもの冗談やん〜！え、何かおかしかったぁ？？？どうしたん〜？？』

と普段怒らない人間が怒ったもんやからめちゃくちゃ焦って僕よりも女の子みたいになってました（笑）

『帰らんといて帰らんといて！！怖いから！俺、怖いから！』

ってあんまハッキリ『怖い』って言葉にせんやろ（笑）

そして僕も少し落ち着き席に戻ったものの感情に体が追いつかず、そこから1時間くらいずっと涙が止まりませんでした（笑）

僕は涙を流し、村本さんは焦ってずっと喋り続け、1番の被害者はそんなおっさん達の小競り合いを見せられた親子でしょう…

すみませんでした。。。

そんなこんなで僕が悪かったのか村本さんが悪かったのか、はたまたどっちもどっちだったのか分かりませんが、僕は先輩である村本さんにブチ切れしました。

『誰にも気をつかわずに自分の好きな様に生きる』

のと今回の焼肉事件とは全然違う事なのかもしれませんが、今まで誰かに合わせてそして誰かに媚びて生きて来た僕だったら先輩に切れる事なんて絶対に出来なかったでしょう。

と言ってもすぐ誰かに切れたら良いとかじゃなく、自分の人生なので自分が納得のいく様に生きていきます。

僕らしくみんなと仲良く、楽しく、助け助けられオンリーワンな生き方をしていきます。

次の日は仲直りのご飯を大量に食べて来ました☆

P.S.
朝、村本さんに会うなり

『昨日怖い夢見たわぁ…』

と言ってました。

いや完全に俺に切れられてドキドキしまくったからやん（笑）