射法訓
射法者不射弓而射骨最肝要也
置心於総体之中央
而弓手三分二推弦妻手三分一引弓
而納心是和合也
而後従胸中筋宜如分于左右離之
書曰鉄石相剋火之出事急也
即金体白色西半月之位也
射法は弓を射ずして骨を射ること最も肝要なり
心を総体の中央に置き
而して弓手三分の二弦を推し、妻手(めて)三分の一弓を引く
而して心を納む、これ和合なり
而して後、胸の中筋(なかすぢ)に従い、左右に分るる如く之を離つべし
書に曰く「鉄石相剋して火の出づること急なり」と
即ち金体白色(はくじき)、西半月の位なり
射法訓要説(黒須)
弓の引き方は、基本に忠実に自分の体格や環境に合わせて骨を惜しまず努力する事が最も大切です。
心を全体の中央に置いて各所に心を配り、欲や雑念に囚われず自由にし、
先ず弓手で「一回」弓を押し開き、その後押し開きながら打起こして「二回」,そして残りを弓手と馬手とに分けて同時に引き納め,都合「三回」で引く。
妻手三分の一弓を引いて、自身の矢束を引き引き収めたならば、それまで総体の中央に置き自由にさせていた心(意識)を再び納め、弓、技、人、心、陰陽、鉄石、押手勝手等の相反するものが混ざり合い調和し和合して圓くなり(会)伸び合い離れに集中する。
その後胸の中央線から、左右に割れるようにこれを離す。
竹林派の伝書「四巻之書」に述べられている様に、鉄と石が相剋して瞬時に火が出じ、離れに臨んで悩んだり躊躇したりせず、延び合い、期熟したら確信の閃きを持って離す。まるで鍛えた鋼で鈍い刃金を打折様なもので、最上の位である。