お疲れさまです。

はちきれることのないブラウスの会、

脚本担当二朗松田です。

 

7月30日、

東京へ赴き、見てまいりました、

TKmeets「太陽にホエール」。

 

今回再演ということなんですが、

初演はなんと2009年。

 

そもそも、この「太陽にホエール」とは、

いかなる作品なのか。

少し昔話をします。

 

事の起こりは14年前、

私は普通に会社勤めするいち神戸市民で、

それと並行して大阪でバンド活動をしておりました。

 

シアターシンクタンク万化さんという劇団の団員二人、

高橋明文と有元はるか、プラス私という形でした。

バンド活動の中で現奥さん有元はるかと付き合うことになり数年、

当時万化さんの活動は休止しており、

演劇をやる場を失いつつあった女性劇団員四人は

演劇ユニットを作ろうということになります。

そのユニット名が「はちきれることのないブラウスの会」。

 

有元は近くにいた私に脚本を依頼しました。

大学時代に一本真似事で書いた経験はありましたが、

(それが初代の「DANCE BURRN」)

そこから10年以上経っており完全に素人と言っていい。

ただ当時私は、しこしことブログを毎日書いており、

有元はブログ書けるのならば脚本も書けるだろうと思ったようです。

 

私もまだ30代半ばで色々社会をナメてた部分もあり、

脚本なんてのは沢山ボケを言えば成立するんでしょ?

くらいの気持ちで安請け合いします。

そうして出来上がったのが「太陽にホエール」です。

やたらボケが多いのもこういう理由からです。

 

演出はやはりシアターシンクタンク万化所属、河口仁。

今回の演出兼プロデューサー福地教光は

途中のアナウンサーの声で参加してもらってました。

 

何しろ演劇一発目なもので、

脚本を続けていけるとも思ってなかったし、

とにかくこれっきりだオラと初期衝動のみで書いた記憶があります。

考えてみりゃ、30代半ばのいいおじさんが何が初期衝動だっていう。

 

初演のチラシ。

わざわざ弁天町にあった交通博物館に行って、

入ったらアカンとこ入って撮りました。

すみませんでした。

元ネタはもちろんキン肉マン(のテリーマン)。

 

そして、そこから13年。

最初に教光くんに声を掛けてもらったのは昨年だったかしら?

紆余曲折ありながらも、

本人たっての希望で「太陽にホエール」この度再演、と相成りました。

 

彼がなんでこの作品を再演しようと思ったのかは知りません。

何にせよ、この作品に再演の価値を感じてくれたことが嬉しいし驚きだし。

自分としては関西小劇場の歴史の闇に消えていく作品だと思ってたので、

この酷い脚本が再び、しかも東京で光を浴びようとは想像もしてませんでした。

 

 

 

さて、ネタ解説いきますか。

この脚本は拙作の中でも屈指の小ネタ数を誇るので、

細かいのはほっておきます。

でも、自分でもネタかどうかを忘れてるネタとかもありそう。

 

 

 

まず、タイトル。

「太陽にほえろ!」でも「大洋ホエールズ」でもなく、

(勿論それらのダジャレではあるんですが)

元ネタは映画「太陽を盗んだ男」です。

ジュリー演じる高校教師が、

プルトニウムを盗み、原爆を作り、

政府を脅迫する、という日本映画屈指の名作。

 

つまりこの作品は「太陽を盗んだ男」を下に敷いたパロディ的コメディ、

という感じで書き始めました。

 

ただ、2011年以来、

核に対する意識も随分変わったので、

再演に際しての改稿は、

直接的に核兵器だと断定するような文言は微妙に変えつつ。

 

それ以外も初演時脚本は今の価値観に照らせば、

マジアウトな文言が多いので、

それらを削って極力丸くしました。

私も無駄に怒られたくないので。

 

 

役名に関して。

高田のぶ代、宮戸優、安生洋子、田村潔美。

全員昔のプロレス団体UWFインターナショナルの選手名から。

高田延彦、宮戸優光、安生洋二、田村潔司。

でも、なんでUインターだったんだろ。忘れた。

何となく関係性が考えやすかったからかな?

 

 

キンソン。

東京ではM0ていうんでしたっけ。

Enya「Anywhere Is」。

当時好きだった曲を掛けただけな気がしますが、

(もちろんその後のネタのフリではありますが)

歌詞とか読むとなんか一発目に相応しい気もしますね。

 

  時の迷路をゆく

  でもどこを向こうと

  新たな始まりばかりで

  終わりは見つからず

 

エンヤの中でも一際力強い、勇気の出るような楽曲で、

この曲が流れてきて暗転していった瞬間、

当時の感覚がフラッシュバックして、

ちょっとグッと来てしまいました。

 

 

mixiのコミュ。

当時最新の文化だったんですよ。

Twitter、Facebookが出てくるのはこの作品の後。

 

 

白鶴まるのCM。

矢崎滋が「まるだぞー!」って叫んでるのメッチャオモロいすね。

因みに矢崎さんは役者としては、ほぼ引退状態のようです。

 

かわいい。

 

 

テレビ音声「茨城県東海村の東海第二発電所から液体プルトニウム〜」

はまるまる「太陽を盗んだ男」の設定からの引用です。

初演時は河口仁が担当、今回は教光くんでしたね。演出が読む枠。

 

 

高田「貴方はどっち?と関口宏に訊ねられれば、」

テレビ番組「どっちの料理ショー」より。

どっち?のシーンは41分過ぎ辺りから。

 

 

ジャパーン。

 

 

合コンの練習でせんだみつお(よしあき)ゲームをやるんですが、

今の子にすりゃそもそもせんだみつおが誰だよって話ですよね。

70年代、恐らくトップクラスで人気のあった芸人さんです。

 

本来のせんだみつおゲーム

真ん中にいるのはセイン・カミュですね。

 

 

高田「ハナハナ、ハナハナ」(ナハナハポーズ)

宮戸「あーよかったな、つって」

 

 

「いざゆけ若鷹軍団」

王貞治は95年以降、ダイエー(ソフトバンク)監督に就任。

でも私、野球はそれほど知識がないので、

印象深いのはよくダイエーに流れてたこっちのバージョン。

 

 

北乃きい。

 

北乃きいの後、

高田と安生が喧嘩するんですが、

ここの殴り合いは

2002年の伝説の試合、

ドン・フライvs高山善廣戦を再現するようト書きに書いてます。

初演時は桜庭秋山戦を再現するシーンもあったんですが、カット。

 

 

元阪神の久慈。

私のプロ野球知識はこの辺で止まってます。

 

 

高田「そんな事は分かってる? でも出来ない? 橘いずみか!!」

橘いずみ「永遠のパズル」。

女尾崎豊とか言われてましたよね。

3分以降くらいに出てきます。

このシーン、水崎さんがもの凄い熱量で言ってんのに

まったく客に通じてなくて、

メチャクチャオモロかったです。

 

 

ツヴァイ。

https://www.zwei.com

 

 

RAINBOW「KILL THE KING」

王様ゲームが嫌だから、という安易な連想でこの曲。

 

 

グリーンアスパラガス。

国際環境NGOグリーンピースから。

https://www.greenpeace.org/japan/

2000年代、一番活動がヤバかった印象があります。

 

 

 

映画「君の膵臓を食べたい」、観てないので、

本当に「死霊のえじき」みたいな話だったらどうしようって思ってました。

 

 

ごきげんよう。

席替えシーンは13分以降辺りに。

 

 

星野源。

初演時、ここはくるりだったんですが、

今、メガネ男子らしいみんな知ってるアーティストってあんまりいなくて、

メガネの印象あんまないけど、仕方なく星野源に。

 

 

RAD野田洋次郎と梶芽衣子。

 

 

返事はすぐにしちゃダメだって誰かに聞いたことある。

YUI「CHE.R.RY」

 

 

ムツゴロウさん。

 

 

ルー。

 

 

宇宙人が地球に攻めてくる云々、

宮戸の古い映画に関するウンチクは、

ここに少し書いてますね。

https://www.thecinema.jp/article/1049

 

 

安生「オ前ハ我々ガ選ンダ人間ノ代表ダ。

オ前ガ一言『地球ヲ譲ル』ト言エバ、無駄ニ攻撃ヲセズ、

速ヤカニ紳士的ニ、コノ星ヲ占領下に置コウ。

シカシ、オ前ガソレヲ拒否スルナラ…、我々ハ人間ニ対シ、総攻撃セザルヲ得ナイ」

これは初代ウルトラマンのメフィラス星人「禁じられた言葉」より

設定、モロそのまま引用。

メフィラス星人にはめっちゃ影響受けてます。

シン・ウルトラマンのメフィラスも良かったですね。

 

 

「ポケット叩いてビスケット増やしてた!」

 

 

「ジェフ・ウィリアムス、藤川、久保田ー」

UFOではなくJFK。

初演時はPKO(パチョレック、亀山、オマリー)でした。

https://ja.wikipedia.org/wiki/JFK_(阪神タイガース)

 

 

「セコムしてますか」。

セコムといえば長嶋さんなので、序盤の王さんとここが共鳴するわけです。

 

 

アッコにおまかせ!。

Mrシャチホコverですが。

「君は何をされてる方なの?」はシャチホコさんのフレーズですしね。

 

初演時は笑っていいとも!を使ってました。

なので、高田はいいともの客っぽく「そうですね!」とか言ってました。

 

 

王蟲のムの字。

 

 

ブラックジャック。

ちょうど1億の画像が無かったんで五千万円のやつ。

 

 

安生「いよいよですね。♪Its a Final Countdown〜」

 

 

BEAMS。

https://www.beams.co.jp

好きな服屋さんですし安くはないけど、

自慢するほどではないです。

 

 

ウンナナクール。

https://www.une-nana-cool.com

13年前、ウンナナクール、という語感が気に入ってたんでしょうね。

 

 

昔の北斗晶。

全日本女子プロレスのデンジャラス・クイーン時代。

 

 

ルージュの伝言。

松任谷由実(荒井由実)の楽曲より。

 

 

コピーロボット。

漫画「パーマン」より。

 

 

タイムふろしき。

https://ja.wikipedia.org/wiki/タイムふろしき

漫画「ドラえもん」より。

 

 

安生「皇居に入っちゃ駄目だろ」。

初演時の舞台設定は大阪だったんですが、

今回は東京が舞台ということで、

「丸ビル」を「皇居」に変更。

これによって、「太陽を盗んだ男」感

(さらに言えばシン・ゴジラ感も)が増すという、

個人的には嬉しい変更でした。

ただまぁ、皇居の前ってどこだよっていう。

 

 

シド・ヴィシャス。

元セックス・ピストルズのベース。

その生き様と死に様からパンクの象徴とされてます。

 

 

「現代のシド・ヴィシャスに手錠掛けに」。

椎名林檎「ここでキスして。」より引用。

 

 

宮戸「それとも私達じゃ頼りにならないかね?」

漫画「プロレススーパースター列伝」より、めっちゃ薄いパロディ。

 

 

高田「ギューーーグシャーーン、タイヤの跡に火柱ボワー」。

映画「バック・トゥ・ザ・フューチャー」より。

 

 

高田「♪デローリアーン」

「チロリアン」のCMより。

 

 

高田「私、2016年から恥ずかしながら帰って参りました!(敬礼)

   よっこいしょういち!(荷物置く)」

 

https://ja.wikipedia.org/wiki/横井庄一

 

 

「サザエさんのオープニング」。

引用元は1分過ぎあたりから

 

グータンヌーボ。

イメージは1の時代。

2になってグータンヌーボちょっと内容変わっちゃったし、

改稿に際し「ボクらの時代」に変更したんですが、

演出判断でグータンヌーボに戻ってましたね。

 

こういう、こっちが変えたけど教光くんが元に戻した、

逆に、こっちが追加したネタを教光くんがカット、

みたいな箇所はチョコチョコ有りました。

そこらへんの判断基準が面白かったです。

 

 

ハマショー。

 

 

ゼンジー北京。

元ネタのはい消えたってネタはYouTubeでは見つからず。

 

 

エシディシ。

 

 

ジャイアント馬場。

ここ、なんでもいいのに、ちゃんと馬場さんやっててなんか申し訳なかった。

 

 

田村「世界が終わる時は、

   この四人で一緒に紅茶でも飲んで過ごしたいな、って思います」

THEE MICHELLE GUN ELEPHANT「世界の終わり」の歌詞より

 

 世界の終わりがそこで見てるよと

 紅茶飲み干して君は静かに待つ

 パンを焼きながら待ち焦がれている

 やってくる時を待ち焦がれている

 

なので、序盤にパンも出てきます。

 

因みに、初演時に勢いだけで作った告知用PV。

 

 

アメージング・グレース。

別にアメージング・グレースじゃなくてもいいんですが、

これさえ歌っておけば丸く収まる気がするじゃないですか。

有元が歌上手かったのでそこを利用したいという思いもありました。

今回の永吉さんもめっちゃ上手かった。

 

 

宮戸「お話の方はね、残念な結果に終わってしまいましたけども、」

これ、今思えば春一番の影響な気がします。

春一番がボロボロにされた後、

「え〜、今日も負けてしまいましたが、」って言うのが

メチャクチャ好きで。

映像の最後の方に近い感じのが映ってます。

 

 

こんなもんですかね。

クソ時間掛かった。

ここまで読んだ人、凄いですね。

他にやることあるんじゃないでしょうか。

 

 

というわけで、

新生「太陽にホエール」、大変楽しませていただきました。

これからの東京演劇界を担うであろう女優四人の共演は、

東京事情をよく知らない私にも非常に意義深いものに写りました。

遠藤しずかさん、永吉明日香さん、花奈澪さん、水崎綾さん

福地プロデューサー、沖田幸平くん、他スタッフの皆さん、

誠にありがとうございました。

 

 

一曲いきましょう。

初演時の演出河口仁が劇中で流した曲、

PIZZICATO FIVEでスウィート・ソウル・レヴューです。