明石家さんま
僕が尊敬する人は6人いる。
父親
母親
妻
尾田栄一郎さん
上島竜兵さん
そして、明石家さんまさんだ。
今さら説明不要の人物である。
さんまさんがラジオで、「麻雀仲間が中山美穂ちゃんと仲良くて、麻雀中に酔っ払って電話がかかってきて、パスタ食べに来て!麻雀中なので行けません!」とやりとりをしたという話をしていた。
先日、さんまさんと麻雀した時に、
「なんで僕の名前出さなかったんですか?」
と聞いたら
「名前出してじゃいに迷惑かかったらあかんと思ったんや」
地位も名誉も富も手に入れたお笑い王が僕みたいなチンケな男に気を遣ってくれたのだ。
惚れるわ。
面白さは当たり前として、優しさ、カッコ良さも兼ね備えている。欠点が見当たらない。
地位がある人、偉いと言われる人は沢山いる。
もちろんその時点で凄いことだとは思う。
ただ、中には「この人小ちゃい人だな」と思うことも少なくない。
そういう人はいくら偉かろうが、いくらお金持ちだろうが尊敬は出来ない。
その点、さんまさんは優しくて器が大きい。
僕は幼少からどうしようもない人間だった。
人生を歩んでいると、人の優しさに触れ、生き方や考え方が素晴らしい人に出会う。
その度にちょっとずつ学び、成長出来たと思う。
今でも大した男ではないが、少なくとも昔に比べたら成長出来ている実感はある。
優しさを覚え、カッコよく自分に恥じないような生き方をしたいと思えるようになった。
こうなれたのは、今まで出会ってきた人のおかげだ。
かたや。優しくない人も沢山いる。
金欲しさに闇バイトで人を殺めたり、政治家は足の引っ張りあい、無くならないイジメ、おじさんのパーカーでの論争。
仮に自分がパーカーを着てて、
「おじさんのくせにパーカー着てるのヤバいですよ」
と仮に若者に言われたとして
「あはは、そう?可愛くない?」
くらいで、笑って返すけどなぁ。
人は環境によって変わる。
優しい人との出会いは自分を変えてくれる。
愛のない世界に生きると愛のない人物が出来ていく。
シリアルキラーに虐待されていた人が多いのもそんな理由だろう。
自分みたいなクソみたいな人間が成長出来たのは出会えた人のおかげだから、今度は若者達に自分が良い影響を与えられるように生きようと思う。
人に優しく。
でも、人は揉め事が好きなのよなぁ。
人間って面白い。
最後の訪問
いまだに報道陣が家の前に陣取っている中、誰にも気付かれないように気配を消して縫うように建物の中へ。
部屋に入ると、中央にあるベッドの上に美穂ちゃんは眠っていた。
訃報を聞いてから初めての対面。
分かってはいたことだけど、やはり泣いてしまった。
「ほんと、何してくれてんだよ」
震えた声でそう言ったが、美穂ちゃんは知らんぷりしている。
今にも起きてきて
「ちょっと、あんたたち何してんの?」
と言いそうなくらい、いつもの寝ている姿と変わらない様だった。
美穂ちゃんが亡くなった日は、人生の中で1番携帯電話が鳴った日になった。
こんな、10人くらいしか見てないひっそりとやっていたブログがあり得ないくらい多くの人の目に触れてしまった。
連日家の前にいる報道陣の数
話題性の大きさ
忍ちゃん含め、その部屋に居た全員が
「本当に凄い人だったんだね」
と改めて共感した。
泣いているし、目の前にいるのに、やっぱり受け入れられずにいる。
脳がバグってるようだ。
この部屋には何回来ただろう?
飲みに行った後にこの部屋でまったり話すこともあった。
鍋パーティーをしたこともあった。
忘年会もした。
夜中に酔っ払いながら「お酒買ってきて」と呼び出されたこともあった。
改めて考えたら、意外と料理が上手だったなぁ。
この部屋に来るのはこれが最後になるだろう。
お別れの挨拶に来たつもりだったけど、最後は
「美穂ちゃん、バイバイ、またね」
と手を振って部屋を出た。
ミポリン
突然の訃報だった。
信じられない。
今も実感が湧かない。
事実を受け入れられないでいる。
頭の中に靄がかかっているようにふわふわした状態が続いている。
彼女を初めて知ったのは中学生の頃だっただろうか?
テレビで観るスーパーアイドル。
遠い存在とも思わないくらい遠い存在の人。
その時は会うことになることも、友達になることも想像すらしていない。
8年前くらいだろうか?
友人に焼肉に誘われて行ったら、そこにミポリンが座っていた。
ミーハーではないが、「あっ、中山美穂」くらいは思った。
焼肉食べて、その後にカラオケバー的なところに行って、なぜか途中で友人が帰ってしまい、さすがにと思い、酔っている彼女を家まで送っていった。
夜中3時くらいだったかな。
次の日に友人から美穂ちゃんが連絡先教えてって言ってるとのLINEが。
これが彼女と仲良くなるきっかけだった。
その後、美穂ちゃんの親友の女性と知り合い、よく3人で遊んでいた。
週1くらいのペースで会っていたんじゃないかな。
3人ともに3月生まれだったので、毎年合同誕生会もしていた。
一緒に旅行もした。
ほんと、女子友って感じで、彼女が俺のことを「妹的存在」というのも頷ける。
自分でも自分のことを女性らしいのか、男らしくないのか、そんな部分は自覚している。
それでもこんなに仲良しな女性は今までいなかった。
中山美穂を「美穂」と呼ぶことになるなんて思ってもいなかった。
コロナで会う回数は減り、たまに連絡を取るくらいになった。
中野サンプラザのコンサートがコロナで中止になった時は、凄く落ち込んでいた。
ファンから愛され、ファンを愛していた。
スーパーアイドルでありながら、1人の人間であり、1人の女性であり、でも環境からかやはり変わっているところもあって、魅力的で面白い存在。
コロナも落ち着き、彼女のコンサートを観に行ったり、ご飯行ったりするようになったのは嬉しかった。
アウトデラックスに一緒に出演したことは、一生の思い出だ。
最近は、「コンサートの途中でマジックをお客さんに見せて盛り上げたいんだけど、マジシャンの友達いない?」
という相談を受けていた。
色々提案したんだけど、結局マジックをすることもなくこんなことになるなんて。
美穂、もっと会いたかった、もっと話したかった。
君は世界中の誰よりも輝いていた。
「ただ泣きたくなるの」を聴いたら、こっちが涙が溢れてしまう。
こんな僕を親友って呼んでくれてありがとう。
歳を取るのは老いよりも、好きな人が居なくなっていくのが辛い。
それでも辛さや悲しみを受け入れて前に進まなきゃいけない。
人間は限りある命、自分もいずれこの世から去っていく。
そしたらまた会えるかな?
美穂、いっぱいありがとう。