写真は辞めるつもり、今はまだだけど

 

創作活動は心に余裕があり、モチベーションを保つことができるかどうか。

これが大きなカギを握っている。

僕はいずれ写真の世界から完全に離れるだろうが、今はまだ相手にしてもらえるだけありがたいと思い、ほそぼそと続けることにした。

 

コロナ禍でのモチベーション低下、スランプ状態へ

 

コスプレイヤーに関わったのがすべての間違いだった。

奴らは都合よく他人を利用し、うわべだけ感謝の気持ちを述べるがカメラマンのことを人間だと思い、リスペクトすることが絶対にありえない生き物である。

人物写真のテーマの一つとして、今でこそ市民権を得つつあるジャンルだが僕は絶対に関わらないことをお勧めする。

撮影自粛で依頼が来なくなる一方、これまで忙しくて相手されなかった人気カメラマンにコスプレイヤーの注目が一気に集まり、僕のような使い捨てレベルの駒はあっさり切り捨てられたのだった。

もう写真を見るのも嫌になり、カメラを握ることもなくなった。

そして信頼関係が大きく損なわれる出来事を経て、一種の人間不信にまで陥ったことが決定的となった。

 

過去撮影した35㎜フィルムはすべて処分、主要機材を手放す

 

憂鬱な休日を過ごすたびに、自分がこれまで粉骨砕身し人のために努力してきた行為がすべて無駄で、砂の楼閣が目の前で大きく崩れていくように感じた。

常に鉛色の世界で、胸が苦しく詰まるようになる。

そしてついに決断する、過去の清算を。

気が付けばゴミ袋に無我夢中で、過去20年分の撮影フィルムやプリントした写真を詰めこみ、ゴミ捨て場に投げ込んだ。

またニコンのレンズは大三元と呼ばれるズームレンズ、ナノクリスタルコーティングを施した高級単焦点レンズの大三元を所有していたが、使わないうちに超音波モーターに不具合が発生することを把握していたため、ただのゴミと化すまでにとてもお世話になっている中古カメラ店に持ち込み、処分した。

得たお金は違う目的に使うことはでき、過去を捨て今を生きることにした。

 

いよいよカメラ機材に不具合が出る、写真を辞めることを決意

 

カメラボディのD800が壊れる、修理不能。

Dfは一度修理してから順調だったが、手放すことにした。

中途半端なシステムをミラーレスカメラのZシリーズに置き換えることを実は検討していたのだが、あんな不細工でソニーの後追いのために作った何の哲学も感じないものに金を払うつもりは毛頭なく、結局レンズを引き継げば重たいことや画質に何も変化がない実につまらない結果になることがわかっていた。

そのため、事ここに及んでは継続は不可能と判断。

写真の世界を去ることとした。

 

思わぬ反対の声、すべてを捨てることを思いとどまる

 

SNS上で写真を辞めることを決意表明し、称賛の声が上がると思っていた。

私はとても多くの人間に嫌われており、僕が目障りだと思っているに違いないと思っていた。

背中を後押しされて、これで心置きなく離れられると思っていた僕を待っていたのは、思いとどまるようにと諭す言葉だった。

特に当時付き合いのあった、経験豊富なプロカメラマンからのコメントに驚いた。

たかがアマチュアの一人が辞めるというのだから、ああそうですかと返事さえないと思っていたのだが、僕には多くの人間が手放した写真術が残っているらしい。

現役のプロカメラマンからも、自分で先を決めていけばどこまでも昇ることができるのに、惜しいことをするのだなと嫌味なのか応援なのか判断に困るお言葉を頂戴したこともあった。

 

僕は今度こそすべてを捨てて、過去の重荷から解放されると思っていたが残念ながら写真の世界は僕の魂ごと食らいつくすつもりで、まだこの残酷な世界から降ろしてくれることを許さなかった。

 

カメラの歴史を変えた、ルミックスへ原点回帰すること

 

リセットするにあたり、新品購入した数少ないカメラであるルミックスGF1を元にニコンを一式売ったお金で新しくそろえなおすことにした。

幸い友人から、パナソニックがサブスクリプションでカメラを長期レンタルしてくれると聞いてボディとキットレンズの調達のめどがついたことで、先に交換レンズを買うことにした。

 

新製品発表会で姿を見た瞬間、カメラの歴史を大きく変えると確信のあったルミックスのミラーレスカメラシステム。

ニコンと長らく併用し、途中であきらめて手放したのだがここで原点回帰し軽くて小さく写りが良いメリットがどこまで発揮できるのか、チャレンジすることにした。

 

安価で便利にライカレンズが使えるメリット

 

カメラのキタムラでカメラボディを触ってみようと思い立ち、地元では品そろえが良いとされるお店に向かった。

そこで予想外なことに、ルミックスの交換レンズの展示処分品が安価で売られているのを発見した。

そろえるのが難しい焦点距離のレンズをいきなり手に入れる、ボディそっちのけで。

カメラボディはG9Pro2とS5の2種類に触れて、あまりの重さの違いにフルサイズセンサーのミラーレスカメラを二度と選ぶことはないと固く誓った。

こんな重たくて大きいものを義憤に駆られて首から下げていたのか、自分が恥ずかしくなった。

 

持ち運ぼうと思う大きさ、重さは撮影モチベーションを高める

 

立派なアルミケースも不細工な布バッグもいらない。

ハードオフで1500円で買った、小さいニコングッズのカメラバッグにメインシステムが十二分に収納できるようになった。

重さは半分以下、大きさも半分以下。

これまでは憂鬱になっていた機材の準備があっという間に終わる、最もメリットを感じるのは予備バッテリーやクリーニング道具などを入れる場所の余裕ができることと、持って歩こうという撮影モチベーションの向上に大きく寄与することである。

 

ボケにくい、高感度撮影に弱いことはデメリットではない

 

G9Pro2は非常に優秀である、起動時間が遅いことだけデメリットだが。

ボケにくいイコールピンボケしにくくなるため、被写界深度に悩むことなく絞り開放を心置きなく選択することができる。

これは人物、風景なんでも恩恵を受ける。

いくら明るいレンズでも、ピンボケしてしまっては意味がないからである。

高感度撮影は、あまりに目立たないように画像処理された映像に慣れてしまっただけで、古いニコンのフルサイズ一眼レフカメラと比較しても遜色ないどころかむしろきれいな画質である。

デメリットを喧伝するやつは、本当に写真を知らないだけである。

 

ニコンZfcを買ったことで、さらにルミックスのメリットが引き立つ

 

ニコンの呪縛はもはや遺伝子レベルで刻まれているようだ。

最近手に入れて、キットレンズ1本でキャンプ撮影に臨んだが確かにきれいに撮れる。

イメージセンサーの大きさを感じることはあれど、これならレンズが豊富にそろっているルミックスで良いとますます自身の選択狂いがなかったことを実感させられた。