エホバの証人の家庭では、ひな祭りを祝わない。

雛人形を持っていたら、処分しなければならない。サタンだと言われて。

エホバの証人の少女は雛人形を持っていない。


わたしの子育ては、「娘に雛人形を買ってあげたかった。」で止まっている。

エホバの証人を辞めた時、自力で買えるような経済状況ではなかった。心も身体も燃え尽きていた。

今でもきっと多くの元二世が似たような状況なのだろうと思うと、心が痛む。

そして、私は娘がまだ小さかった時、チリメンで雛人形セットを手作りした。雛壇やもうせんは通販で一つずつ揃えた。お道具やぼんぼりも通販の手作りクラフトコーナーで購入していった。

なのに、娘はある日、友達の家で7段飾りを目にして泣きながら、「あんなのが欲しい」と訴えてきた。

辛かった。

我慢してもらうしかなかった。

夫にも両親にも頼めなかった。


何年もして、娘が大学の寮に入っていた頃、もう一度「私には雛人形がない」と泣いて電話してきた。今それを言うのかと驚いた。狭い寮の部屋にどうやって雛人形を置くのか。

私は掌に乗るくらいのミニチュアの雛人形を贈った。すると、「こんな小さいの…」と泣いてきた。

辛かった。

しばらくして、何がなんでも買わねばと思って「どんなお雛様がいいの?選ぼう!」と言うと「もう、あるやん。あの手作りのが」と言ってきた。

「でも…あれは…」

「あるからもう大丈夫!」

と、明るい返事が返ってきた。


今だに、一年中雛人形を検索している私。

イオンで雛人形が展示されていると、つい見て回る。どういうタイプが娘の好みなのかなぁ。一緒に選べる日は来るのかなぁ。


時々尋ねると「狭いから絶対いらないし、送ってこないで!」と一喝される。


ずっとモヤモヤしたまま、毎年のひな祭りを迎えている。いつか、孫が生まれたら、その時こそドーンと買ってあげたい。

娘の好みでも。孫の好みでも。一緒に選びたい!

それくらいの夢があっても良いよね。


わたしの大切な大切な娘。

今もずっと大切な。