その朝は妙に暖かかった

最近は感じることのなかった「人肌」だ


誰だろう


不審に思って目を開ける、と


「!!!?」


目の前に先輩がいた

それこそあと数㎝で唇が触れ合う距離だ

実際先輩の吐息が―――


だあああああああああッ何考えてんだッ


「つおッ!!」

「ッ!!!」


勢いで頬をビンタする

……変な掛け声とともに


「った…何すんだよ…」


それはこっちのセリフだ


…と、言いたくても言えないオーラを放つ先輩

というかエロイ

元がエロイ人って寝起きは本当にエロイ

このショットを同僚の女に売ってやりたいぐらいだ


「先輩こそ何してんですか」

「抱き枕」

「その顔で言わんでくれますか。ていうか直球すぎるでしょ」


それより離せ、そして起きろ


「寝みぃ…」

「………離してください」

「ヤダ」


・・・・・・・・・・・・・・可愛いなチキショウ


!!いやいやいや、無い無い無い無い。何考えてんだ俺。

男だぜ、男。お・と・こ!!


でも今のは可愛かったんだ、エロかったんだ。

何かこういう色気を間近で出されると妬みたくなるんですけど。

吸い取ったろかコラ。


「起きますよ、話てください」

「ん~…」


すり寄ってくんじゃねェェェェ!!


ええええええええ、何この人、人肌が恋しい季節かい?

まぁ俺も人の事言えねぇけどな!

でも俺の人肌恋しいってのは女の人とかそういう類だから

いい年こいた男の肌じゃねぇし!


引っぺがそう


結局その考えにたどり着いた俺はとにかく渾身の力を持って引っぺがそうとする


「……アカン」


腰に抱きついて離れない


「…キスしたら離れてやっていいぞ」

「何言ってんですか、突き落とされたいんですか」


いきなり何を言いだすかと思ったらナンダソレ


「出来ねぇクセに何言ってやがる」

「ノリですノリ。だから腰に拳銃つけんのやめてくれませんか!」


何か冷たいんすけど、腰が!そして死ぬ!!


「チッ」


うわ舌打ち…何だコイツ


スゴイ不服そうな顔をしながら離れてくれた先輩

あーよかったよかった…てかあの人顔笑ってね?もしか遊ばれた?


「飯作れ」

「あー…ハイハイ」


もう疲れた。



今日分かった事

先輩はとっても子供でわがままである


                                  9:END


(俺ガキって嫌いなんだよな…)

((え?))

(スマセーン、何でもありま…ってガキに反応したってことはちょっと自覚あるってことですか)

((・・・・・・・いつもお母さんが作ってるからな))

(・・・・・・・・・・・お母さん?)

((引くんじゃねぇ、要だ))

(・・・・・・(納得))