「まもなく、海水浴場前、海水浴場前です。列車行き違いのため、5分少々停車します、しばらくお待ちください・・・」
どうやら、駅にしばらく止まるらしい。
「あ、もうそんなとこ来たんだ!」
「半分過ぎたんだっけ??」
「うん、5分後に発車して、西中駅まであと20分!」
「そっかー、もうすぐか!」
花畑さんは素足を再びブーツに突っ込んだ。チャックは上げずにそのままドアの方へ。
「ちょっと写真撮ってくるね、チハヤちゃん、荷物見ててもらってもいい??」
「もちろん!」
「ありがと!」
そういうと、花畑さんは運転手さんに一言声をかけると、ホームへと降りていった。車両やホームの看板を撮る花畑さん。その様子を、私は車内からレンズに収める。あのブーツの中は素足・・・。これまで何度か彼女とデートをしたことはあるが、確かつい先週もあのブーツを履いてきていた。その時ももしかしたら・・・。こんど、座敷のあるお店に出も誘ってみようかな・・・。
そとの撮影からもどってきた花畑さん。イスに座ると、再びブーツのかかと部分をもって、脱いでしまった。
「いやー、それにしても暑いねえ」
そう呟きながら、素足を手で仰ぐ。
「・・・チハヤちゃんってさあ、もしかして、・・・足フェチ・・・?」
「ふえっ!?」
な、何だいきなり・・・!ばれた!?
「だってさあ、いまもあたしの足、ずーっと見てるじゃん?」
「うっ・・・」
「ねえねえ、どうなん~?」
にんまりしながら、素足をこちらに向けてくる。足の指をもにょもにょ・・・。ああ~、たまらない・・・!
「そう、です、見てました・・・。花畑さんの、足・・・」
がくっと肩を落とす。きっと花畑さんに嫌われちゃった・・・。短い期間だったなあ・・・。
「やっぱり!よかったあ・・・」
「え?」
「あたしね、チハヤちゃんだから、こんなことしても大丈夫かなって思ったんだ!」
イスに膝立ちする花畑さん。素足が再び目に飛び込んでくる。
「男子の前とか、恥ずかしくてこんなことできないよ、素足で履いてたブーツを脱ぐなんて。でもね、チハヤちゃんなら、きっと受け入れてくれるって思ってたんだ」
「ど、どうして・・・?」
私の足好きに、気づいてた・・・?
「んー、きっかけはあれかな、1学期のプールの授業のあと!」
「ご乗車、ありがとうございました、間もなく終点の西中、西中ですー」
「あ、やば終点じゃん!」
「ほんとだ!」
どうやらいつの間にか、20分は経ってしまっていたらしい。
私はあわてて荷物をまとめ、花畑さんはブーツを履き、荷物をポンポンとリュックに入れ込む。というのも、次の乗り換え時間は5分。さっきより余裕はあるとはいえ、短いのに変わりはない。
「続きは、次の列車でね!」
「うん・・・!」
つづく