「ねえねえ、今日の放課後、どっかいかない?暇でしょ?」
昼休み、僕と僕の、彼女、ラナとで、教室でお弁当を食べている最中に、ラナが急に言い出した。
「確かに暇だけど・・・。どうして今日?」
「だってさ、まだデートっぽいデートしてないじゃん。せっかくこんな仲になったんだし、行こうよ、二人きりで。どっか。遠くじゃなくていいし。」
「うーん、よし、じゃああそこでもいくか。」
「どこどこ?」

 そして放課後、僕とラナは学校からバスで十数分の間につく、ショッピングモールに来ていた。というか、僕たちにとって行くのはここくらいのものだ。色々揃っているし、カフェもある。それほどお金もかからない。
「やっぱりここかあ。でもいいや、シュンと来れたし。」
「僕も、良かったよ。さて、どうしよう?」
「あ、まえキョンたちと来てね、取り損なったのよ。」
キョンとは、ラナのたくさんいる友達の一人である。
「取り損なった?」
「うん、こっちきて!」
そういうとラナは、僕の手をとって先を歩き出した。だいたい行き先はわかる。僕だって、ここには何度か来たことがある。
ショッピングモールの端っこ、映画館の隣。有名なゲームセンターが入った一画がある。いつ来ても、ここだけは賑わっている。朝も、夕方も。映画館からキャラメルポップコーンのいい香りが漂う。
「ここここ!シュンもきたことあるでしょ?」
「何回かね。なんかあったの?」
「うん、さ、早く早く。」
どうしても気になるのか、ラナは公開されたばかりの新作の映画のポスターにも目もくれず、ゲームセンターの奥底に踏み入って行く。だんだん照明は暗くなる。コワモテの男の人の姿もチラチラ見える。ラナはけっこう可愛いし、スタイルもいい。制服に身を包んだ彼女、目をつけられてしまうかもしれない。気をつけないと。ラナとの初めてのゲーセンでのデートだ。

つづく