翌日、私はいつものように、スーツに身を包み、ストッキングを履き、パンプスを履いて登校した。学校についてパンプスを脱ぎ、靴箱に入れる。そこから上履きを…、取り出さない。ふうっと息をはいて、そのまますのこの上を歩く。廊下のフローリングは、長年たくさんの足に踏まれて、ツルツル。気持ちいい。2階の職員室に入ると、早速気付かれた。
「あれ?さくらこ先生、お靴はどうされたんですか?」
「いえ、私も始めてみようかなと、裸足運動。」
「ああ、なるほど、先生が…。お若いから、できるのでしょうね。私なんか、足が痛くて痛くて。30分でやめました。こどもたちが元気なのがうらやましいです。」
「あ、そうなのですか…。私も、すぐリタイアしちゃうかも。」
「がんばって下さいね。」
「ありがとうございます。」
 

 朝の職員会議を終え、教室に向かう。校舎の3階。ドアを開けると、いち早く気づかれた。
「あ、さくらこせんせい、裸足だ~!私たちといっしょ!」
「ほんとだ!なんかうれしいね!」
「あれだよ、あれ、しんきんかん。」
教室中がざわざわしだす。慌てて制する。
「みんな、静かに、ね?うん、私も今日から、裸足デビュー。どうかな?」
「でもせんせい、裸足じゃないよ。まだ。」
「え?どして?」
「なんか履いてるじゃん。裸足は、なにも履いちゃだめなんだよ。」
ああ、そうか、ストッキングのことを。
「ああ、ごめんね、あとでこれも脱いでくるわ。裸足にならないとね。」
「せんせい似合うよ、裸足!」
「こんど外で遊ぼ!」
「ありがとう。じゃあ出席とります。大きな声で返事してね!」

 4時間目まではストッキングのまま過ごし、給食を食べて昼休みに入る。給食生徒たち何人かずつで机を合わせて班を作り、毎日どこかへ私が入って一緒に食べる。毎日子どもたちが面白い話をしてくれて、楽しい。

つづく