教室に入ると、クラスメイトはすでに全員集まり、模試に向けて確認をしていた。誰もが上履きを履いていた。教室を見回しても、靴下姿はレナだけだった。急に恥ずかしくなる。足を椅子の下で組んで、なるべく気づかれないよう、努力した。
模試は昼食を挟み、午後まで続いた。言うまでもなく、クラスメイトには靴下だけなのを気づかれた。笑われたが、自分のしたことは秘密にした。自慢話にしかならないことを、わざわざ話す必要はない。一緒にレナも笑った。足裏は、座っているだけなのに、いつのまにか足形に真っ黒に汚れが浮かび上がっていた。こんなに汚れるから、みんな上履き持参なのだなと、気づいた。レナの学校の2倍は床が汚い感じだ。
昼食を終えると、ここで尿意を催した。ここは恥ずかしながら、クラスメイトにスリッパを貸してもらった。迷惑そうだったのが、申し訳ない。次は借りられないなと悟った。
午後の1教科が終わり、最後の教科が始まる前の休み時間、レナは再び尿意を催した。我慢はできそうにない。スリッパもだめ。仕方なく、靴下のままで入った。幸い誰もいなかった。すぐに用を足し、手荒い場に向かう。手を洗おうと洗面台に足を近づけると、足がひんやりとした。足元を見ると、辺りには水滴があちこちに飛んでいた。スリッパを履いていては全く気づかず、靴下のままでそのなかに足を踏み入れてしまった。両足の靴下がじんわり湿るのを感じる。レナはすぐにつま先立ちでトイレを後にした。
汚れはいっそうひどくなっていた。街中を歩いたように、真っ黒に汚れていた。初めてスリッパを貸したことに後悔した。あのとき何で声をかけてしまったのだろう。
最後の教化はあまりできなかった。足元が気になって仕方なかった。
お疲れさまでしたという挨拶のあと、レナは真っ先に教室を出て、玄関へ向かった。スリッパのまつ、玄関へ。
つづく