今年も、サクラは咲いた。家の近くを流れる川沿い、公園のサクラは満開だ。薄いピンク色の小さい花びらが空を舞う。日本人なら誰でも好むであろう、春の風物詩。そして今日、日曜日は、昨日が雨模様だったせいもあり、快晴の空のもと、お花見を楽しむ人たちが、その公園に集まっていた。私はアパート暮らしの大学2年生。今日は私も、大学の友人から誘われて、この公園に来ていた。ほんとに家から近く、徒歩2分程である。広大な敷地を持つその園内を入口から歩いていると、四方八方にサクラが見える。中央の芝生広場に行くと、友人が大きく手を振ってくれた。そこも回りをサクラが囲い、お花見客で大にぎわい。まだ朝の10時ながら、いいかんじになったおじさんたちが、どんちゃん騒ぎをしている。サクラの木の下で、既に何人かは集まって、ビニールシートを広げている。今日来る予定なのは、私も入れて男子3人、女子5人。ちなみに私は男である。みんな大学で知り合い、よくつるむようになっていた。既にいたのは、残る男子2人。ナオキとマサシ。
 

 挨拶を交わし、手伝う。広いもので、8人はゆうに座れるほどだ。苦戦しながらも、ビニールシートを広げ終わるころ、女子5人が連れだってやってきた。大きなお重を3つぶら下げている。男子陣は私も含めスポーツ系の部にはいっており、飯はよく食べる。3つのお重でちょうど良いほどだ。
 座りかたを相談して、男子女子交互にする。決定すると、みんな靴を脱ぎ、ブルーシートの上へ。女子の5人は、アサミ、カオル、フウカ、ユイ、ショウコ。それぞれ、春らしい装いで、大人な大学生を意識させる。普段のキャンパス内では見せない感じのファッションで、男子は私も含め、少し見とれぎみ。詳しく説明しよう。アサミは淡いピンクのワンピースに毛糸の編み目の大きなポンチョ、ベージュストッキングにブーティー。カオルは黒いシャツにパーカー、デニムに素足に黒いパンプス。足先は指が見えて、赤いペディキュアが映える。フウカは白いふわふわとした感じの、フリルのたくさんついたワンピースに、素足に、こちらもフリルのついたソックス、白いサンダル。ユイは黒いTシャツに濃紺のジャケット、デニムのショートパンツに黒いトレンカ、黒いぺたんこシューズ。ショウコはTシャツにデニムジャケット、プリーツのついた足全体を覆う白いロングスカートに素足にベージュのサンダル。これがどの子も、とても美女に見えたのである。流行の格好なのだろうが…。上手くブルーシートに全員が収まると、お花見開始である。大学3年だが、フウカとナオキと私はまだ未成年。そんな私たち以外のメンバーは缶ビールを乾杯して上手そうに飲んでいる。お重に入った料理もとても豪華で、でも手作りときき、女子の腕の凄さに驚いた。おいなりさんは格別に旨かった!
つづく