ああ、あっつい。足蒸れるわー。分厚いんだよね、私のルーズ。先輩が愚痴る。
うわ、くさ。ちょっと、くさい。周りにいた先輩たちがのけぞる。相当臭いようだ。
ああ、ごめん。て、くさいって失礼ね。あなたも脱いでお見せなさい。きっとくさいから。
ああ、ちょっと…。うわ、くさ。
うわ、くさ。あんたのがよっぽどくさいわ。ほら、ルーズも脱いでおしまい。
そういって、真っ赤なルーズソックスの爪先にてをかけ、引っ張る。なかなか脱げない。
そうね、脱いだらきもちいいかも。そして自分で脱ぎかけのそれを一気に取り払う。所々傷がついた先輩のナマ足が姿を現す。
ああ~、涼しい。もう今日はこれでいよ。ほら、あんたも!
裸足の先輩はもう一人の、最初靴下を脱がせようとした先輩の靴下を、テクニカルに脱がせた。こちらはきれいなナマ足。
ほんと。ひんやりする。
かいた汗に風が心地よいのだ。
それからあちこちで靴下を脱ぐ先輩が続出。かろうじて5人の3年の先輩たちが残った。どうしてか、スニーカーすら脱ごうとしない。裸足の2年の先輩たちは気持ち良さそう。
すると、裸足の4人の3年の先輩方がそんな先輩方の元へ行き、いたずらな笑みを浮かべ、靴を脱がしにかかる。いや、ちょっとと身をよじり抵抗するも、あっという間に靴は奪われた。4対1なのだから、当たり前だ。すると次は真っ白なルーズソックスを脱がしにかかる。何度も履いて、動き回り、ソックスにはかかとには小さな穴があき、足の裏もうっすら汚れている。
それからは体育館内にきゃーという声が響き続けた。結局3年の先輩はみんな裸足になった。そこかしこに脱ぎ捨てられたルーズソックスが落ちている。コーチはいつの間にかいなくなっていた。
1年のマリコは靴下脱がし合い大会を始終見ていた。いつもは厳しい3年の先輩の無邪気な姿。意外な一面を見た気がした。その後、2年の先輩もみんな裸足になり、いつの間にか部活終了の時刻となり、コーチがやってきた。初めはみんなが裸足なのを見て不思議がっていたが、直ぐにうなずいた。
うん、それもいいな。今度から、裸足のチアガールか。
もちろん、誰もが反対したのは、言うまでもない。
マリコの青春。
おわり