「ああ、楽しかった!こんなに遊んだの、初めて!」
「いま気づいたけど、アオイ、裸足じゃん。」
「マサミだって、靴下だよ。」
「あ、そうだった。」
「あはは、足の裏、真っ黒!」
「うそ!ぎゃ!」
辺りか明るくなり、靴下の汚れがはっきりわかった。土がこびりついている。
「アオイこそ、足の裏、真っ黒だよ。」
「うわあ。ほんとだ」
それから2人は笑いあった。さまざまな規則に縛られ、自由に過ごせなかった日常から少しの間だけでも逃れられたと感じた。靴下でこんなにはしゃいだのももちろん初めて。
「もうそろそろお別れだね。みんな起き出す頃でしょ?」
「うん…。」
「ほんとに楽しかった。ありがとう、マサミ。」
「わたしこそ、こんなに遊んだの、初めてだよ。ありがとう。アオイ。」
「・・・また、会えるよね?」
「もちろん。きっと、また来るよ。きっと・・・。」
アオイはなきだした。
「・・・ぐすん・・・。」
「なかないで、アオイ・・・。」
「だって・・・。うん、そうだよね。また、会えるんだよね。」
「アオイのこと、忘れないから!またね!」
「わたしも!またね!・・・よし、じゃあ、目をつぶって。」
「こう?」
「さようなら、また、会おうね。」
「きっと。」
「えい!」
次の瞬間、マサミは気を失った。なにもわからない…。
つづく