急に視界が開けた。同じクラスにの人がグラウンドの中心に向かってかけていく。
「おい、いけよ!」
後ろから押されて、よろけた。周りには、校舎から出てきた人たちが続々と走っていく。もう、自分のクラスの人は行ってしまったのか?
「いけない、早く行かないと・・・。」
一人遅れて、後から入るのは恥ずかしい。クラスの列に行くことに決めた。もう足は汚れてるし、一緒だ。
靴下のまま、グラウンドを走る。砂煙が立ち込めている。私のクラスはどこだろう・・・。
「おい、松崎!こっち、こっち!」
「あ・・・。」
さっきの子が呼び止めてくれた。
「おい、おまwww、裸足で来たの?かっけえ~」
「うん・・・。」
「うわ、靴下砂まみれじゃん!大丈夫?」
「うん・・・、ありがと・・・。」
「お~い、点呼とって!」
「あ、は~い!」
自分の位置に座る。靴下で出てきたのは一人に違いない。ああ、皆にからかわれてるみたいで恥ずかしい…。
少しして、校長先生の話が始まった。全員立って聞く。フユミは靴下のみの足をちょこちょこ動かしている。見られたくないのに見られちゃう…。後ろの子が噂している気がする。早く帰りたい!!
校長先生の話は全く耳に入って来ない。しかし、いつもより長く感じられた。
話が終わると、教室に戻る。校舎に入る際、先生たちが待っていた。上履きの裏を念入りに拭かなくてはならない。フユミは靴下をどうしょうか迷ったが、そのまま入ることにした。靴下でも恥ずかしいのに、裸足になれるはずがない。再び靴下で教室に戻る。ざらざらした感触が気持ち悪い。相当汚れてるだろうな…。席につくと、足を見てみる。靴下は全体が砂に覆われ、白かったのが黄色くなっていた。裏は模様がすっかり無くなり、指先や踵は薄くなり、真ん中には穴が空いていた。避難訓練前の真っ黒な汚れの上に砂がつき、大変な状態だ。砂を落としてはいけないから、そのまま椅子の下であしを組んだ。
次は大掃除。出席番号順に割り当てられた掃除場所に行く。フユミは体育館倉庫。行ったことはないが、また体育館まで靴下で行くなんて…。気が重い。
つづく