朝の会が終わると、廊下に並んで体育館へ行く。始業式だ。背の低いフユミは背の順に並んだ時は一番前になる。みんなに、自分が上履きを忘れたということが知られてしまう。恥ずかしい・・・。

「並んだな~、じゃ、行くぞ。」

フユミの担任の先生はスポーツ系の男の若い先生。もう先生歴5年というが、まだまだ若い。30歳になっていないのでは、と噂されている。フユミの足元などには目もくれず、ずかずかと歩いていく。ついて行くだけで精一杯だ。階段を1階まで下りて、廊下の端から体育館へ続く渡り廊下を通る。校舎は新しい方だが、体育館は現在、改修工事中。砂や木くずなどが渡り廊下に散乱している。靴下で通ったフユミはその影響をもろに受けた。

(ざらざらする・・・。)

体育館では直に体育座りをして、話を聞く。しかしフユミは体育座りは好きではなく、いつもは正座か、女の子座りである。今日もそうして座っていると、後ろでこそこそ話す声がしたさっきの子だ。

「なあ、松崎の足の裏・・・、真っ黒・・・。」

「ホントだ・・・。」

(あっ、もう・・・。)

あわててスカートで足を隠す。ちらっと見えたが、砂もついて、朝より汚れがひどかった。素足にも汚れがついていた。また、レース地がほつれてきていた。

(ああ・・・。もう駄目だな、これ・・・。)

足裏についていた大きなゴミを払っておく。

 校歌をうたって、始業式を終え、教室に戻る。この後はクラスごとに学活をした後、大掃除だ。話す相手のいないフユミは一人で戻る。みんな上履きを履いている。恥ずかしい・・・。

つづく