お久しぶりです、小説9でも登場しました、中学校教師、大場です。今回は私の受け持っていた3年生が卒業し、ひと段落し、次年度へ向けた準備をしている、時期のお話。ある日の職員会議で、学校の校則を変えようという話が持ち上がりました・・・。
「では、何かお気づきの点はありませんか?」
職員室の教師たちに現在、校長試験への勉強中の教頭先生が呼び掛ける。いつもは何も意見はでず、私も面倒くさいので無視するのだが、去年県外の学校から転任してきたまだ若い体育の先生がいの一番に手を挙げた。
「はい」
「佐藤先生、なんでしょう?」
「はい、昨年この学校に転任してきたのですが、生徒たちの服装の乱れ、特に2年生の服装の乱れが顕著に表れていると思います。服装についての校則をより強化し、生徒への徹底をしたほうがいいと思います。」
「なるほど・・・。では、今の意見に賛成の先生は挙手をお願いします。」
職員室の教師の大多数が手を挙げた。私は面倒くさいので、たまった資料に目を通していた。
「わかりました、では、意見をお願いします。最初に、高野先生・・・。」
意見のある先生は結構はっきりものを言う。教師たちが意見を次々述べていくが、女子のスカートが短い、ネクタイがゆるい、変なものを中に来ている、男子のズボンが落ちすぎ、ネクタイだらしなさすぎ、靴下おかしいなどなど・・・。そんな中、思わず顔をあげてしまう意見が出た。作業の手を止め、その意見を言う先生を見る。数学教師の伊達先生だ。
「私は、特に女子の、上履きのかかとを踏んで生活している、という点がきになりますね。」
「なるほど・・・。ではその対処はいかがしましょうか?」
「上履きおかかとを踏んでいるのを見つけたら、その生徒の上履きをその日一日没収というのはいかがですか?」
「なるほど・・・。この意見に賛成の方、挙手を。」
半数以上の先生が手を挙げた。もちろん、私も。上履き没収なんて、夢にまで見た行為だ。ぜひ、実現させたい。
「では、多数決の結果、校則への追加を検討します。次の先生・・・。」
その日は10の決まりごとが保留となった。校則となるか楽しみだ・・・。
つづく