毎日新聞2025/12/24 16:00(最終更新 12/24 16:00)911文字
人づきあいがわずらわしい社会よりも、寂しくても自由の方がいい――。こんな考えを持つ人が現役世代では多いことが、あるアンケート調査で浮かび上がった。 ネットフリックスのような定額見放題の動画配信サービス、相談相手になる生成人工知能(AI)の登場……。
世の中がどんどん便利になり、現代は一人で楽しめるツールがあふれている。
たとえクリスマスや年末年始のように家族やカップルで過ごす人が多い日であっても。
だが、こうした状況は、他者とのつながりを欠く「孤立」を深刻化させるリスクがあると専門家から指摘されている。
経済的に厳しい人ほどつきあいを忌避?
この調査は、公益財団法人「生協総合研究所」が2023年にインターネットで実施した「人々のつながりの実態把握に関するアンケート調査」。現役世代にあたる25~54歳の男女約1万1000人が答えた。
日ごろの生活について、
「わずらわしくても、人とのつきあいが密接な社会がよい」という意見と、
「寂しくても、個人の自由を尊重してくれる社会がよい」という意見の二つを示し、
どちらの考えに近いかなどを尋ねた。
すると、
66%の人が後者の意見に近いと答え、
前者に近いと答えた人(34%)を大きく上回った。
性別や年齢によっても結果はほぼ変わらなかった。
ただ、経済的に厳しい人ほど「寂しくても自由」という意見に近いと答える傾向が表れた。
経済的なゆとりを尋ねる設問で
「大変苦しい」と答えた人は
74%が「寂しくても自由」を選ぶ一方、
「大変ゆとりがある」と答えた人で
「寂しくても自由」を選んだのは53%にとどまった。
また、「寂しくても自由」を選ぶ人ほど、「孤独を感じることがあるか」という設問に「感じることがある」と答える割合が多い傾向も明らかになった。
孤立は
当事者の心身にマイナスの影響を及ぼすことが医学・疫学研究で分かっており、
死亡リスクは肥満や運動不足を上回る。
このため専門家が孤立のリスクに警鐘を鳴らし、政府も総合的な対策に取り組んでいる。だが、内閣府が12日に発表した世論調査では、対策を進めていることを「知らない」と答えた人は84%に上り、認知度が課題になっている。
【小林慎】
【私の所感】
ここでも「孤独」と「孤立」が混同されて議論されている。
この二つを分離して考えないと、有効な対策は見つけられない。
