皮革の洗浄を日々おこなっていると、よく相談される質問があります。
その中でも一番多いのが、色に関するもの・・・
1. 水洗浄で、皮革製品の色が変化しないのか?
2. もし色が変わってしまった場合、復旧できるのか?
3. 現在、飽きてしっまたり、劣化していたりしている製品の色を変えられるのか?
というものです。
一見すると、この3つは全く別の事のようですが、洗浄&着色という一つの
技術がバックボーンとなっている、ほぼ同一の技術に支えられています。
まず、1.2.について説明しますと
私たちは、まず製品の風合いや色など極限まで維持して、「水」による洗浄を
行います。
この洗浄で、表面の清潔と平滑さを取り戻しそのまま使える物になるようにする
事がまず第1番目の目的です。が、どうしても汚れの除去がその製品その物の
持つ色素を取り去らないと実現できない場合があります。
そういった場合お客様と相談をして色を付ける作業を行います。
清潔で、かつカビの再生力も極小で、そして材質も保水交換し、しなやかになり、
表面も平滑さを維持しているといった、洗い上がりの状態で洗浄しますから
作業性も色乗りも最高の条件となります。
人によっては見栄えではドライクリーニングの技法で溶剤により表面融解させた
完全な平滑面を作成し、着色したほうが高精度であるという意見もあります。
実際、私たちの製品の出来栄えについてはムラがあったり素朴ではありますが、
不安定な仕上がりになる場合もある、と言えるかも知れません。
しかし、着用したり、身につけるものだったりすることを考えると、化学溶剤の
においが残り、ことによると皮膚湿疹が出たりする心配はほとんどありません。
しかし、この事は着用する皆様が、見た目重視か、安全面も視野に入れるかを、
お選びいただければよい部分だと私たちは考えています。
(但:化学物質過敏症には対応していません)
以下、実際に色を着色した作業をご紹介
まずは上着です。
↓青い色が日に焼けて、どうしようもない状態でした。
少し濃いめの青にしてみました。並べないとわからない
程度の濃さの変化に抑えたので、購入時に近い印象と
なったと思います。↓
お次はカバン、一見何の変哲もないようですが。
銀色の錨があり、色を付けることが困難です。
また、全体に白茶けた印象があり、素材の質感が
無くなっています。↓
黒で再塗装、少し光沢と緑色を混合して高級感を出しました。
白くはげたり縒れていた部分を洗浄と塗装でカバーしました。
つぎは、ブーツです。一番多い爪先剥げの修理です。
ここが擦れていなければ・・・という代表選手のような
案件。↓
靴ですので洗浄が効果を発揮、表面に付着の汚れを除いて
しっかりと着色が浸透しています。
これなら、まだ何年もお履き頂けますね。↓
いかがでしたか?