$「天使の弁護士 成瀬領」VS「天才鍵師 榎本径」




青砥「熊田さん、お願いです」
 
   「何も言わず、これにサインしてください」


熊田「こ、 これは」

   「・・・・」

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彼女は、数日前から体調の異変に気がついていた

2日前、意を決して病院へ出向いたのは、ある不安に決着をつけようと思ったからだった。


「現在、4週ですね」 「おめでとうございます」

頭の中が真っ白になった。

自分の意思では止めようもないものが 自分の中で進行していた。

その後の医師の説明も看護師のアドバイスも耳に入るわけはなかった。

「あの・・少し考えます」そう言い残して病院を後にした。


そんなことって・・・


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熊田「僕の子供に間違いはないのですか?」


前回の生理の後、後にも先にも原因と思われるのは、熊田との例の件だった


青砥「まず、間違いはありません」


熊田「そうですか」

   「・・・」

   「中絶しかないのですか?」

   「命の尊厳という選択肢はないのですか?」


青砥「え、命の尊厳!?」


熊田はその場に跪き そして青砥純子に土下座して頼んだ

熊田「一生のお願いです!その子を殺さないでください」

   「僕の子供を この世に残してください」

   「僕は生涯をかけて、あなたと子供を守ります」

   「命をかけて守ります」

   「だから、僕の子供を・・・」

青砥「そんな・・・」

   「卑怯ですよ」



熊田「卑怯なのは承知の上で頼んでいるんです」

   「一生のお願いです!」

   「僕の子供を産んでください」

   「僕と一緒になってください」

  
青砥「・・・」

   「もう・・」

   「やめてください」


熊田「こうなったから言うわけじゃない」

   「あなたを忘れることなんてできなかった」
 
   「あなたを愛しています」

   「だから、生まれてくる命もあなたも僕に守らせてください」


青砥「私、困ります・・・」

   「・・・・」

熊田の真摯な態度に胸を締め付けられ

青砥純子は、どうしていいのかわからなくなってしまった

何が正しくて、何が間違っているのか・・・

判断がつかない中 熊田の言葉は矢のように自分に向かってくる


  「純子さん」

  「僕にあなたを守らせてください」


  「愛しています」


熊田に抱きしめられでも、不思議と拒絶することはできなかった

なぜなんだろう?

体の中の新しい命がそうさせるのか?

これが、マインドコントロールというものなのか?

偶然が織り成す運命とは 自然界の偉大な力にも似て

時に、全てを飲み込んで支配してしまう

青砥純子の場合も例外ではなかった


   「熊田さ・・」

   
言いたかった言葉は途絶え

運命と本能の渦に・・・消えた



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残酷だ!きっとブーイングだ と思いながらもラストまでベースは決まっているから

ここも書かないといけない、カットできないのでUPしました。

ご意見、ご不満、ご希望はお伺いいたします お手柔らかにね~(汗)