$「天使の弁護士 成瀬領」VS「天才鍵師 榎本径」



TRIANGLE 19 失踪

青砥純子の救出事件から約1ヶ月

静かな日常の中 全ては時が解決してくれるものと思われた。

しかし、芹沢から榎本のもとへ 思いもかけない電話が入り静寂の時は破られることになった。



芹沢「おい、榎本!何があったんだ?青砥と何かあったのか?」


榎本「青砥さんがどうかしたんですか?」


芹沢「退職届を置いて、消えたんだよ」


  「お前なら、理由がわかるだろ?」


榎本「え、彼女は今月いっぱい出張じゃないんですか?」


芹沢「なんだそれ?」


榎本「僕は、芹沢さんが彼女に出張を指示したと思っていました」

  「2日前から連絡が取れないので、よほど忙しいんだろうと思っていたところです」


芹沢「俺は出張なんて指示してないし」

  「なんなんだよ、一身上の都合によりっていう この退職届けは!」


榎本「退職だなんて、全く聞いてないですよ!」


芹沢「分かったら俺のところに連絡してくれよ、頼むよ」



そして、芹沢の電話から間もなく榎本の携帯にメールが届いた。


~そろそろ芹沢さんから連絡が入る頃だと思います

探さないでください、しばらく一人になりたいんです。ごめんなさい。~

                          純子
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青砥純子は数日前から 思い悩んでいた


なんで、こんなことに・・・運命に翻弄されるとはこのことなのかと・・・


とにかく、彼に連絡をしなければ、後にも先にも進めないことだけは明白だった。

事件の後、熊田からは示談金という名の慰謝料を提示されていたが

彼女は、この時まで一切コンタクトを取っていなかった。

そして今日、久々に彼に連絡をしなければいけない事態になった。

青砥「あの、青砥です。会ってお話しさせて頂きたいことがあるのですが」

熊田「ようやく、受け取っていただけるのですね」

  「本当に、申し訳なかった。あなたを傷つけたままでいるのは辛かったです」


熊田は、あの後、本当に反省したようだった。


熊田「あなたに対し盲目的になってしまい自分を止めることができなかった」

  「お金で全てを解決できるとは思いませんが、誠意は示させてさせていただきたいと思います」


青砥「あの、熊田さん ひとつ、問題が・・」


  「私一人では解決できない問題があるのです」


熊田「なんでしょう?」


青砥「それが・・・」