長良園


 いちご狩りのために浜松までやってきました。今回取り上げる長良園は、もともとはいちごばかりでなく、梨狩りやみかん狩りなどの営業をしていた農園ですが、最近ではいちご狩りの専門農園となっています。現在でもみかん狩りのゾーンだった場所をいちご狩りのゾーンに改造する工事を行っています。

 栽培方法は静岡県伝統の石垣を使ったものと高設栽培の2種類です。

 栽培品種は2品種。章姫と他に一種(昔はアイベリーでしたが、現在は不明)です。


長良園-章姫


 案内されたゾーンは章姫のゾーン。石垣いちごです。訪れたのが3月後半でしたので、気温も高く、農園としては過熟に気を使うところですが、ぎりぎりセーフといったところでしょう。章姫らしい章姫を収穫することができました。


オハナ


 東京近郊に駅から歩いて行ける観光農園が開園しました。「いちご農園オハナ」は東武東上線、地下鉄有楽町線・副都心線の和光市駅から歩いて5分余り。駅の北口、ジョナサンの隣と覚えておくだけで行けてしまう農園です。実際、この農園には鉄道を利用して訪れました。


 農園としては4種類の品種を栽培しており、珍しいことは観光農園の王様、章姫を栽培していないということです。紅ほっぺを中心に栽培しており、これに味比べのために、やよい姫、とちおとめ、おいCベリーを栽培しているという関係です。とちおとめの代わりにかおり野を栽培すればもっと最近の流行に合っていたでしょう。


 開園3日目に訪れましたが、さすがに出遅れた感があり、赤い実は少なかったですが、それでも4品種の味の違いなどを楽しむことができました。


オハナ紅ほっぺ


 「紅ほっぺ」。この農園の中心品種。


オハナやよい姫


 「やよい姫」。甘いいちごです。これから暖かくなってくると出来が本格化してきます。


オハナとちおとめ


 「とちおとめ」。スーパーではおなじみの品種ですが、観光農園では(栃木県を除き)珍しい品種です。


オハナおいCベリー

 「おいCべりー」。写真の粒は首われの甘い粒です。おいCベリーは、最近、いちご狩り農園で地味に人気を集めている品種です。

志村農園


 外環道・坂戸インターから出てすぐの場所にある交通至便の農園です。この農園の特徴は、なんと言っても「彩のかおり」を栽培していることです。


志村彩のかおり


 彩のかおり。両親ともにアイベリーであり、選抜したアイベリーだけで品種を固定したアイベリー中のアイベリーと言える品種です。確かに口に入れるとアイベリーの濃い甘さが口に広がります。この品種目当てで毎年この農園に訪れています。


 今年はこの彩のかおりと章姫、紅ほっぺで営業する予定だそうです。ただ、出かけてみるとかおり野の看板もあったので、もしかしらたらかおり野も登場するのかもしれません。



志村章姫


 章姫。やはりどこの農園でも健在ですね。


志村紅ほっぺ


 紅ほっぺ。この農園では紅ほっぺの栽培面積を広く取っていて、どうやら紅ほっぺをいちご狩りの主役に据えているようです。


 いちご全体としては、他の埼玉県内の農園と同じように、全体的に小粒になっているような気がします。前に書いたように、今年の異常に早い花芽分化の影響が考えられます。本格的なシーズンに向けて期待しましょう。


はっぴーいちご園


 東京近郊のいちご狩り園としては老舗になります。かつては都内から一番近い農園だったのではないでしょうか。

 この農園は大きい実が取れる年と比較的小粒な年とがはっきりと分かれているような気がします。今年は今のところは比較的小粒な年となっているような気がします。これからに期待しましょう。

 いちご狩りに公開しているのは、章姫、紅ほっぺ、かおり野になります。ただし、訪れた日はかおり野に赤い実がなく、章姫と紅ほっぺだけの公開でした。


粕谷園章姫


 章姫。基本中の基本。


はっぴー紅ほっぺ

 紅ほっぺ。こちらも今は基本品種ですね。

粕谷園


 多品種栽培農園です。今シーズンは章姫、紅ほっぺ、おいCベリー、とちおとめ等を栽培しています。ただし、いちご狩りに公開されるのは、1日に1品種か2品種程度です。

 西武新宿線から見える場所にあるので、アクセスは容易でしょう。

 今回の公開品種は章姫と紅ほっぺでした。今年はどこの農園でもそうですが、実は若干小ぶりです。これからの本格的なシーズンの期待しましょう。



粕谷園紅ほっぺ


 紅ほっぺ。章姫を抑えていちご狩りの主役になってきています。


粕谷園章姫

 章姫。紅ほっぺやかおり野の猛追を受けていますが、まだまだいちご狩りの主役です。

グルメいちご館


 今シーズンのいちご狩りもこの農園から。

 今年の夏は8月下旬に異常な低温があったため、いちごが季節を「冬→春」が来てしまったと勘違いしてしまい、花芽を出すのが(花芽分化という)異常に早くなりました。そのため、株の定植(株を最終的にベッドに植えること)が遅れてしまい、一番目の花を摘んでしまわなければならなくなりました。そのため、いちご狩りの開始が大きく遅れると予想されていたのですが、想像以上に花芽分化がばらついていたことと、いちごの成長の速度がいつものシーズンよりも速かったため、いちご狩りのオープンが結果としては例年より1週間早くなりました。

 いちごの季節の感受性や個体差は人間の予想をはるかに超えているため、予定外のことがいろいろと起きるものです。


 今年からこの農園のいちご狩り品種が一部変わりました。まず、例年通りなのが、



章姫


章姫。いちご農園の定番ですね。


紅ほっぺ


紅ほっぺ。全国のいちご農園で人気が高い品種です。


かおり野


昨年から登場したかおり野。梨のような甘さに特徴があります。


アスカルビー


アスカルビー。今の時期は実も大きくて甘いです。関西で主に栽培されている品種です。


アイベリー


高級品種アイベリー。このいちごを先祖にもつ品種は多いです。深い紅色で甘みにも深みがあります。


あかねっ娘


そしてあかねっ娘(ももいちご)。ブランドいちごの代名詞です。もものような甘さのいちごで、栽培もとても難しいいちごです。


サンエンジェル


サンエンジェル(サラダいちご)。コリコリした食感のいちごで、文字通りサラダ向きのいちごです。いちご狩りに公開はしていませんが、チャンスがあれば。


そしてこれから紹介するのが今年からの新品種です。


ホワイトレディー


謎のいちごホワイトレディー。非常に香り高いいちごです。いちごとは思えない変わった甘みがあります。


今シーズンのグルメいちご館前田は以上のラインナップで営業していきます。もちろん、


チョコフォンデュ


写真のいちごのチョコレート・フォンデュをはじめ、スイーツ類も健在です。


5月中旬~末までの営業期間が本当に楽しみです。



 多くの方がご存知と思いますが、関東地域(山梨県を含む)のいちご農園は、本年2月15日の大雪で施設の大きな損傷を受けました。


 被害に遭われた農園の方々に深くお見舞い申し上げます。


 降雪地帯の温室は「角パイプビニールハウス」と呼ばれる耐雪型のビニールハウスを使用し、降雪対策をしています。この形式のハウスを建設するには規模にもよりますが、通常使用されているハウスに比べ一千万円単位の追加投資が必要になります。


 関東地域の農園でも、この形式のハウスを採用した農園は雪害を免れており、営業を続けています。一方、「エコハウス」と呼ばれる丸パイプでのみで建設された農園は、シーズンの最盛期にも関わらず今シーズンの営業を諦めざるを得ない状況となっています。


 農園の再建には多大な再投資が必要であるとともに、農園の再建を決めても、資材の調達が来シーズンのいちご狩りに間に合うかどうか非常に厳しい状況にあります。


 どの農園が営業を続け、どの農園が閉じているか、という情報の発信も考えましたが、雪害を受けた農園の姿は見るに忍びなく、今シーズンに関してはいちご狩り関係の情報発信を中止することとしました。


 農園によっては再建のための義援金を集めているところもあります。再建に向けて、皆様の暖かい手を差し伸べてくださるようお願いいたします。





 イイダ苺園 は高橋農園の斜向かいに位置するいちご農園です。この農園はアイベリー、紅ほっぺ、ふさの香の三種を栽培している農園です。この農園を訪れた1月中旬の段階ではいちご狩りに公開されているのはふさの香だけでした。






 ふさの香の栽培方法は高設溶液栽培です。立ったままでのいちご狩りが可能となっています。写真のように、見たところ摘果などは行っていない様子で、成り数はかなり多かったです。



 本来的に大粒にはならないいちごのように思います。比較的大きな粒はどれも奇形になっていたのですが、アイベリー系のとちおとめを親に持っていることの影響でしょう。

 とても甘いいちごです。このいちごの甘さを表現するのはなかなか難しいところですが、ショートケーキのいちごと生クリームと一緒に食べた時のような味、とでも言ったら良いでしょうか。酸味はほとんど感じません。

 千葉県の栽培奨励品種とのことなので、千葉県のいちご農園で是非体験したい味です。





 千葉県は関東圏内でもいちごの栽培が盛んな県のひとつで、特に東庄町(とうのしょうまち)はいちご栽培が重要な産業のひとつとなっています。特にこの町で栽培されているアイベリーは有名で、長い歴史を持っています。

 高橋農園 はアイベリーだけを栽培している農園です。観光農園としても営業していますが、直販やおそらく流通用にも生産をしています。ハウスは中規模のハウスが多数あります。



 栽培法は昔ながらの土耕栽培を行っています。高設溶液栽培でもアイべりーの生産は可能なのですが、アイベリーの生産農家に限っては土耕を採用しているところが多いように思います。土作りから大変手間のかかる栽培法と言えます。



 この農園のアイベリーはとにかく香りがすごいです。過去の記事にも書きましたが、アイベリーはジャスミンの香りがしてこそアイベリーと言えます。アイベリー好きの方は、本物のアイベリーを体験するためにこの農園を訪れるべきでしょう。




 お正月のいちご狩りは静岡県浜松市から。
 いちご栽培で農家が非常に気を使っているポイントのひとつに日照の問題があります。同じビニールハウスのなかでも、場所によって日照に差がでて、いちごの出来に差が出るということがあります。
 静岡県は久能山の石垣いちごが有名ですが、これは山の斜面を積極的に利用して、最大限の日照を得る工夫の一環と言えます。
 今回は敢えて久能山を通り越して浜松まで行ってきました。今回訪れた『長良園』の特徴は、前述のような山の斜面の利用した栽培と、近年広く行われている高設溶液栽培を併用しているところにあります。農園のハウスを見て、小型のハウスが斜面を利用した栽培棚、大型のハウスでは高設栽培を行っています。



 小型のハウスは土耕栽培を行っているでのはないかと思えるほど背が低いハウスですが、中に入ると斜面を利用したコンクリート壁で棚を作っていることが分かります。石垣を積んでいるのではなく、コンクリート壁に適宜穴が空けてあるという感じです。


 栽培品種は「章姫」と「アイベリー」の2品種ですが、「アイベリー」は収穫が遅れており、現在は「章姫」のみのいちご狩りとなります。
 なお、この農園は、いわゆる「食べ放題」の農園ではありません。お客様ごとにゾーンを割当る方式を採っています。したがって、せわしい時間制限もなく、ゆっくりといちごを楽しむことができます。
 写真の「章姫」ですが、豊かな日照のせいか、普段、関東で見る「章姫」よりも色づきが良いような気がします。「章姫」というと柔らかい実というイメージですが、流通のことも考えているのか、硬めの作りとなっていました。観光いちご農園のなかには、収穫の時期を誤って、首が伸びてしまうまで実を吊るしたままの農園もありますが、この農園ではそういうことはなさそうです。
 この農園のある地域が小規模なフルーツパークとなっているようで、道中、何軒かのいちご農園の看板を見ました。この農園自体もいちごばかりでなく、みかんと梨もやっているようでした(みかん狩り、梨狩りの観光営業をしているかどうかは不明)。そのせいか、普通、観光いちご農園はゴールデンウィークまでは営業するものなのですが、この農園は4月に入ると早目に営業を終了してしまいます。
 なお、山の上の方の農園ですが、清潔な水洗トイレも完備されており、その点では心配ありません。
 東京からは約250kmと距離がありますが、アイベリーの収穫時期に再度訪れてみたいと思います。