日本に帰りたい。もちろん、一時帰国のことである。

 

もう4年も帰っていない。

 

2年前に帰るつもりで、切符を予約していたが、それがコロナウイルス蔓延の関係で、取りやめになってしまった。

 

その時は、軽い気持ちで、「そのうちに帰れるわ」と思っていた。

 

しかし、2年後の今も、コロナの暗雲はまだ去らず、「そのうちに」と言うのが、いつのことかわからない。

 

早くしないと、と苛立つ。

 

それは、私がそんなに若くないからである。

 

77歳。

 

今だと、なんとか帰れそう。

 

しかし、「もう少し状況が明るくなってから」なんて思っていると、その時は、もうそんな気力も完全に失せてしまっているかもしれない。

 

来年はどうか?

 

78歳。まあ、世の中の状況は、少しは改善しているだろうか。

 

しかし、来年には、私の気力が今よりさらに減退していることは、確かである。

 

人間が「老いる」とは、そう言うことなんだとは、最近気がついた。

 

これは、自分が、実際その年になってみないと、わからない。

 

75歳以上の人を「後期高齢者」と呼ぶのは、残念ながら当っている。

 

とは言っても、年をとることに、効用はある。

 

「世の中のいろんなことが、若い時より、分ってくる」と言うのが、まさにそれである。

 

人間、70歳を超えると、「自分もいつかはこの世の中からいなくなる」と言うことが実感としてわかる。

 

それまでは、抽象的な観念であったものが、具体的な実感になると言うことである。

 

そう言う視点から、物事を見ると、それは、若い時とは全て違って見えて、当然。

 

他の人のことに想いを馳せることができる。

 

昔、つまらない人だと思っていた人が、実は立派な人だったんだと気がついたり、。また、その逆の場合にも、気づかされたり、。

 

年をとることにこのような「いいところ」もあるが、もちろん、それは、老齢者特有の現象に対する代価である。

 

老齢者の現象といって、例えば、あらゆることに気力が減退するとか言うのが、まさにそれ。全ての機能も、また衰える。

 

いかなる人間も、一介の「生命体」であるから、その生命体がいずれ、この世から消滅すると言うのは、自然の道理である。

 

しかし、それにしても、それまでに、日本に帰りたい。

 

ちょっとだけでいいから。