ある寒い冬の日の夜、小さな里の奥にある
名前もない無人駅に列車が到着しました。
この列車は虹の橋のたもと行き。
お空に旅立っていった愛する仔に
ひと目だけでいい、生きている間に
どうしても もう一度逢いたい。。
橋の番人と なんらかの方法で連絡をとることができた
飼い主さんだけが乗車できる列車です。
何人かのお客さんを乗せると 静かに扉が閉まり
「ピーッ」という甲高い汽笛が鳴り響きました。
突然 車両がパアッと眩しく光り、あたりを照らしたかと思うと
光の筋となって あっという間に駆け抜けていきました。
あとに残ったのは いつもと変わらぬ誰もいない無人駅。
お月さまだけが静かにほほ笑んでいました。