2024年読書感想の第1回目です。

 

著者:クリス・ウィタカ―

題名:われら闇より天を見る(原題:WE BEGIN AT THE END)

 

2021年英国推理作家協会賞最優秀長編賞の受賞作。それぞれの登場人物が大事な人との思いがすれ違ったり、思いもしなかった過ちを起こしたり降りかかったりという過去と苦闘しながらも、自らの思いに従って懸命に生きていく姿を重層的に描いている。是非、映画化され、視覚的にも楽しみたい物語と思った。

物語はダッチェスという13歳の女の子とウォークという警察官の二人を中心に進む。

ダッチェスの母スターは30年前に恋人のヴィンセントによる事故で妹のシシーを亡くし結婚せず、ダッチェスと弟のロビンをもうけ、貧しい生活を送り、精神を病んでいる。ダッチェスは母親の代わりにロビンを守ると心に決めて貧しい生活に耐えている。

ウォークはヴィンセントと幼馴染の親友だったが30年前にシシーの遺体を発見し、ヴィンセントを刑務所送りにした証言をし、自身も恋人だったマーサ(当時スターの親友)に子供が宿ったがマーサの父親の反対で別離し、独身のまま、病気を隠して仕事をしている。

そのような状況に30年振りにヴィンセントが釈放され、戻ってくるところから、物語は進む。

上記の2人の主要人物以外の、ダッチェスの母スター、ダッチェスの祖父でスターとシシー・妻マギーの死後仲違いし遠い土地で一人で牧場を営むハル、ウォークの幼馴染のヴィンセント・元恋人のマーサを始めとした多くの人々が関わってくるが、その人物造型に味わいがあって素晴らしい。物語の締めくくりのダッチェスの台詞が秀逸。