深刻な色素沈着を防ぐには生活週間の改善が一番の近道

アトピー性皮膚炎に悩まれる患者さんによく聞かれる「時間がたってもなかなか元に戻らない色素沈着」とは、どのような仕組みで起こるものでしょうか。
皮膚は表面から順に「表皮」「真皮」「皮下組織」と3層に分かれていますが、皮膚が傷つくと表皮と真皮の境目にあるメラニン色素が放出されます。
メラニン色素が表皮側の細胞に浸み込むことで細胞を黒く染めるために、皮膚が黒く見えるようになるのです。

しかし皮膚には表皮で起こる「ターンオーバー」という新陳代謝の機能があるため、その細胞もいつしか垢としてはがれおち元の色に戻ります。
アトピー性皮膚炎の方は慢性的に皮膚に炎症が続いていますので、まず表皮で起こっている色素沈着は炎症が治まらない限りなかなか元には戻りません。
そして表皮と真皮の間に境界線の役割をしている「基底膜」という膜があるのですが、ごくまれにこの膜が破れてしまうことがあります。

そうなるとメラニン色素は真皮側に落ち込んで、真皮の細胞を黒く染めてしまうのです。
ターンオーバーで元に戻る色素沈着は表皮で起こる現象なので、真皮で黒くなってしまった細胞は元に戻らないことになります。
このために炎症が治まった後でも色素沈着に悩まれるケースが起こるのです。

基底膜は年齢を重ねるうちに活性酸素などによって自然と破れる場所が増えていくものでもあります。
なかなか元に戻らないアトピー跡、色素沈着の現象は基底膜が破れなければ起こりませんので、膜を守ることが一番大事です。
そのためにビタミンA・C・E、そしてポリフェノールで抗酸化を促し、皮膚の材料であるタンパク質も意識して取るように心がけましょう。
生活リズムが狂っていることもホルモンが乱れて破れる要因となりますので、特に22時から2時のターンオーバーを促すホルモンが出る時間帯はなるべく睡眠をとるようにしてください。

また白砂糖はアトピーの方に欠かせないビタミンBを大量に消費して、白血球の働きを弱らせるものです。
てんさい糖やオリゴ糖などに代えると、腸内環境を良くする働きもあります。
まずは甘さ控え目のオリゴ糖などから使用して、料理や飲み物に入れる砂糖から切り替えてみるのはいかがでしょうか。
魚と野菜中心のバランスのよい食事を心がけ、生活リズムを作ることでも肌が綺麗になることを実感されるでしょう。