3 醸造アルコールって何者(~_~;)?? | 酒呑みじぞうの 杜氏直伝 社長と女性達に伝える日本酒の秘密

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こんにちは、酒呑みじぞうです

今回は醸造アルコールのことについて説明
したいと思います

醸造アルコール

とは、醸造タンク内の清酒モロミの発酵の末期に
添加するアルコールことです

このアルコールを添加したお酒のことを称して
「アル添酒」といいます

醸造アルコール
別名酒類原料用アルコール)は、
米などの穀類、さとうきび、廃糖蜜といった、デンプン質、
糖質の原料を用いて
酵母等を用いて発酵させ、
連続式蒸留機で蒸留したもののことです

化学的に合成した工業用アルコールは清酒の原料
としては使用できないことになっています

もともとは戦時、米不足のおり、日本酒の増量
目的で開発された方法です

海軍からの依頼により南方で酸っぱくならない
酒を造ってくれという要望もあったとも聞きます
酒は戦地での兵士の慰安には欠かすことの
できなかったものなのです

アルコールを多く添加することで変質を防ぐ
目的もありました

戦後も設備の不備から腐造 する蔵が続出したために
腐造防止のため国もアル添を推進した事情もあった
ようです

腐造とは文字どうりお酒を腐らせることです
火落菌(注1) が繁殖して酸っぱくなってしまうのです
三年腐造がでると資産家の酒蔵でもつぶれる
といわれたそうです

大量のアルコールを添加することで火落菌の繁殖を
防止したのです


そしてアルコール添加によって辛くなるお酒の味を
調整するために醸造用糖類アミノ酸、グルタミン酸などを
添加したお酒が今の普通酒の原型なのです
いわゆる三倍増醸酒です

さすがに今ではそれほどのアルコール添加は
ありませんが、まだまだ普通酒が主流です

昔の三倍増醸酒の役目は今では低価格酒
いわゆる合成清酒に移ってきています

普通酒今でもコスト削減のための増量中心ですが、
特定名称酒の場合は若干、アルコール添加
使用目的が違う場合もあります

香りを強調するために使うことも多いのです
(この点についてはお酒の香り 成分 で解説します)

昨今は純米酒ブームと言われてはいますが、
純米の割合はどれくらいだとお思いでしょう?

国税庁のデータ-では21酒造年度で、純米酒11.2%
純米吟醸酒純米大吟醸酒で6.2%です
全て合わせても17.4%です

純米酒の少ない理由はコストだけの問題ではなく、
やはり造りが難しいということもあったらしいです

今では美味しい純米酒が多く登場していますが
少し前までは、口当たりが悪く、飲みにくい、キレが
悪いといったお酒が多かったのです


戦前は純米酒が普通でしたが、戦中戦後、米不足
により大量のアルコールを添加して酒を作る技術が
確率されました


戦後すぐはすべての蔵がアル添酒を造っていました
日本は徐々に復興し、酒もさかんに造られていきました

物不足、米不足も解消して、大量生産、大量消費の時代、
大メーカーが資金力を背景に圧倒的に優位な酒造りを
していたのです

このままではジリ貧で潰れるのも時間の問題と、
大メーカーと違う酒造りを模索していた一部の
酒造家達が、戦前の純米酒造りを目指し始めた
そうです

ところが、戦前のその酒造りを知っていて、それを伝えて
いける人が残り少なくなっていったらしいのです

アル添酒の造りが当たり前の時代が
あまりに長く続いた
ために・・・
    
ここからの続きは次回にお送りします。
今回も最後までお読みいただき感謝いたします

(注1)乳酸菌の一種で、お酒の味を変えてしまう
    いやな臭いやにごりのもとになる悪さをする菌です
    詳しくは日本酒の保存(生酒編)の項で説明



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