会社を清算するというのは、厄介なものだ。
永年取引を続けてきた人達とも、一方的な理由で契約を打ち切るわけである。こちらの事情がどうあれ、立腹する方やこちら振出の手形の買い戻しを迫る方もいる。買掛の債務承認を取ろうと鼻息荒く来る方もいれば、未収代金の支払いをしないと宣言する方もいる。こうした案件を一つずつ解決していかなければならないのが清算人の役目なのだが、先日次のような問題が発生した。
以前から把握していた未収入金勘定に計上の\1,000,000、債務者は個人事業主で個人保証は得ていない。3年前に計上したが請求書の送付は決算時に行っていた・・・というが特定記録も証明文書でもないので記録はなし。当時の記載にある住所に行ったが空き家であり、特定記録付のはがきを試しに送ってみたが宛先不明で戻って来た。この場合は、債権放棄をして帳簿から消すしかないのだが、税法上の損金処理をする条件に当てはまるかどうかがわからない。ので、債権放棄について聞いてみようと思い、行政書士に尋ねてみた。
ん~、以上の話からすると、まずは相手を探さなければなりませんね。郵便物が届かないだけの理由でやるんですか?ん~、まずはもう一度内容証明で相手に請求しなければね~。請求書つくりましょうか?シロウトの人では難しいでしょ?内容証明ですよ?わかります?つくりかた知ってます?
相手に届かないのははがきが戻ってきたので分かっている。相手に届かないことを内容証明で証明するような真似は必要ないと思ったので、債権放棄について聞いてみた。
ん~、相手に届かないでしょ?それだと法律上は相手に届かないんだからムリだよ。知らないの?税法上はどうかって?債権放棄は民法でしょ?放棄するまえに請求だよ。
・・・・・・会社を清算するというのは、厄介なものだ。
時には、こういう専門家のセンセーを相手にしなきゃならない。
答えを言えば、債権放棄の意思表示は確定日付のある書面にて発信された際に有効なものとなる、そうだ。これはいつも登記をお願いしている司法書士さんと、税金の申告書をお願いしている税理士さんに確認した。
ま、結論からいえば、民法と税法は違うということ。民法では到達主義、税法は発信主義とということのようだ。世の中の経理担当者、経営者の方、いい行政書士を探さないと手間ばっかりかかっちゃいますよ。
もちろん、債権放棄の際は貸倒として処理することとなるが経理をされる方の注意すべき点として課税売上の戻しとして消費税を処理しなければならないということ。特に会計ソフトの入力を間違えると厄介なのでご注意を。