今も残るイギリス人の階級意識【ジパング・11巻】 | 太平洋戦争史と心霊世界

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 久しぶりに「ジパング」ネタです。11巻にThe Friendship(フレンドシップ)という草加少佐(いや当時は中尉だった)の外伝があったのをご存知でしょうか。だいぶ前なので忘れてしまった方も多いかも・・・。(^_^;) 下にそのあらすじを書いておきます。


ハミルトン中尉と草加中尉 


「ジパング」11巻、外伝「フレンドシップ」

 

 1932(昭和7)年2月、20代前半の草加中尉はイギリス駐在武官補としてロンドンに滞在していた。ある日のパーティで英国海軍のポール・J・ハミルトン中尉とその妹のエリザベスと出会い、親交を重ねる。

 

 ハミルトン中尉はその年の秋にマルタに転勤となるが、彼と会った最後の場で草加中尉はスパイ嫌疑をかけられ、ハミルトンと仲たがいをして別れてしまう。草加も緊急の命により日本へ帰朝することになり、新しい年が明けた。

 

 ある日、草加はイギリスからの海外便を受け取った。そこにはハミルトン中尉の文字が。ハミルトンの変わらぬ友情に草加も感慨を新たにするのだった。


        イギリス          イギリス          イギリス


 ところでイギリスでは、軍隊の士官は上流から、中流の上(アッパーミドル)クラスまでの出身であると言われています。イギリスは現代でさえ、何につけても社会的階級が厳然とついてまわる、階級社会と言われていますので、職業も階級によって限定されるのです。

 

 ということは、「ジパング」に登場したハミルトン兄妹をはじめ、イギリスの士官は全員アッパーミドル以上のクラスだったことになります。

 

日本海軍は周知のようにイギリスからシステムをそっくり導入しました。しかし英国のような社会階級制度が無いにもかかわらず、海軍兵学校出=士官、つまり貴族の扱いにしてしまった事が、後に特務士官など理不尽な階級制度の原因となりました。

 

社会階級は以下のように分類されています。


 

●アッパークラス(上流階級)

 

●ミドルクラス(中流階級)

 

   ・アッパーミドルクラス(中流の上)

   ・ミドルミドルクラス(中流の中)

   ・ロウワーミドルクラス(中流の下)

 

●ワーキングクラス(労働階級)

 



 アッパークラスと言うと、日本のお金持ちを思い浮かべてしまいますが、実際はそれを遥かに凌駕しています。例えば王室や貴族、先祖代々の土地や財産を管理して、働かずに不労所得で生きられる人達です。

 

例をあげると、トゥームレイダー2001年)という映画の主役のララ・クラフトアンジェリーナ・ジョリー)がそうでした。豪邸に執事がいて、高価な車を何台も所有して使用人もいます。

ララ・クラフト 
イギリス上流階級の豪邸 
 

ララ・クラフトが住む上流階級の豪邸


 ミドルクラスは3分類に分けられ、アッパーミドルとロウワーミドルではかなりの違いがあります。

 アッパーミドルが一般に日本で言うお金持ちになります。職業は外交官、建築家、研究職、法律、医者、軍隊の士官クラス、金持ちの商人など、専門職を持った裕福な人達です。

 

映画で言うと、ブリジット・ジョーンズの日記2001年)に出てくる弁護士、マーク・ダーシーコリン・ファース)でしょうか。男性はあんまり見そうにない映画ですけど・・・。



弁護士のマーク・ダーシー 

弁護士のマーク・ダーシー(右)



またアッパーミドルクラスとしてのポイントは職業だけではなく、家柄や学歴、その職業が何代続いているか(少なくとも3代)、アクセント、マナー、住んでいる場所なども評価されます。

 

 ロウワーミドルクラスは肉体労働、単純労働ではない人達、つまり普通の会社事務員や店員さんなど。ワーキングクラスは肉体労働、単純労働を職業とする方々です。

 

 イギリス人として生まれるとこの階級が一生つきまとい、ほとんどの人が、親がアッパークラスだと子供もアッパークラス、ワーキングクラスの親だと子供も一生ワーキングクラスで終わるそうです。

 

 そんなバカな思うかも知れませんが、階級は一生固定していると言う人、中にはいや、階級の変動はフレキシブルで多少は上下すると違う主張する方もおり、その辺の見方には少し幅があります。