『ジパング』2巻でのマレー半島。シンガポールのダンスホールで、津田大尉は死んだはずの草加少佐に偶然遭遇します。
津田は「生きていたのですか?」と声をかけますが、草加には「人違いです」と他人の振りをされ、彼の振る舞いに不審感を抱きます。
シンガポールのダンスホールで草加(左)を見つけた津田大尉(右)
この事件の後、津田大尉は以前、草加少佐が重巡「足柄」で着任挨拶をしたときに交わした言葉を思い出します。
-津田大尉の回想-
津田大尉:「先ほどの着任挨拶のお言葉感動しました!」
草加少佐:「言葉とは純粋な情報ではない。無駄な感情と主観がついてまわる。君も情報を扱う将校なら覚えておくといい。
裏切らないのは行動と――その結果だよ。」
この艦おそらく重巡「足柄」です。外伝『風の道』でもこの赴任話が出てきます。昭和16年の秋です。
この出来事を思い出した津田大尉は、かつて草加少佐から与えられたアドバイスを基に、草加の不審な振る舞いを彼の言葉でなく、行動や結果から推理して追跡していこうと決心します。
相手の言葉ではなく行動とその結果を重視せよ・・・これが案外正鵠を得ていると気付いたのは、原発事故後の錯綜した情報に直面した時でした。
つまり、「原発がないと電気が供給できない」という電力会社の言い草をどう判断するか?
電力会社は事故以来、電気が足りないと言い続けていましたが、反原発である専門家たちは原発なしでも電気は足りると言い続け、結果その通りになりました。2011年の夏・冬は原発なしで電気は足りたわけです。
また2012年今夏も、関電あたりでは電気が足りないと言い続けていますが、脱原発の専門家たちは、やはり電気は原発なしで足りると保証しています。
こうしてみると、どちらが真実を述べているのか明白でしょう。やはり言葉よりも、その人の行動や結果で物事を判断したほうが間違いがなさそうです。