神飛行機の小説投稿
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僕は学校に着いた。

何となく寄り道をしていたせいかいつもよりもだいぶ遅い時間に。


湿った空気に鐘の音が響く。

「遅刻を知らせるチャイムだ!」と僕は慌てて校舎に入る。

僕は驚いた。

下駄箱には生徒の靴が入っている。

教室に皆がいるんだ。

僕は嬉しくなって足早に階段を上っていく。


階を1つずつ上るにつれて僕の興奮は冷めていった。

人がいる気配が微塵も無い。

それもそのはず他の階の他学年の教室には誰もいない。

不吉な予感通り、僕のクラスにも人はいなかった。

たしかに靴は下駄箱にしまってあったのに、だ。


下駄箱では喜び興奮した。

階段を上っていくにつれて冷めていった。

そして教室についた僕はついに、消沈した。



何でいないんだ。

どうして。

理由がわからない。

ここで何をしようか。

することもない。

帰ろう。

家に帰ったら母さんがいるかもしれない。


自分を必死に元気付けた。



家に帰るともちろん誰もいなかった。



僕は考えた。

まだ考える余裕があった。

「何で、誰もいないのか。」









強い不安感に襲われた人間は人それぞれの行動をする。

発狂する人間、泣く人間、呆然と立ち尽くす人間、何かを攻撃する人間、現実逃避する人間。


彼は現実逃避するタイプの人間だった。

「これは嘘だ。夢なんだ。」と家の自分の部屋にあるベッドの中で。


そうこうしていると日が徐々に落ちてきた。

部屋の明かりがついているのは彼の家のみ。

そして、彼の家には彼のみだった。



日が昇ってきた。

一日の始まりを告げる。

彼が今日最初にとった行動はいつも通りの行動である。

いつも通りの行動というのは起床して顔を洗って目を覚まし、電気は通っていることを確認した後パンを焼きマーガリンを塗る。

・・・僕はジャム派なのだけれど。

1人の朝食を済ませたら一通り準備をして家を出る。

いつも使っている自転車をこいで学校へと向かう。

もしかしたら学校に行けば誰かいるのではないか。という小さな希望を持って。


通学路にも人は誰もいなかった。

彼にとってはいつも通っている同じ道がまったく別の道のように思えてきているのだろう。

いつも車が多い道路の真ん中を自転車で駆け抜けてみたり。


・・・何だか楽しそうだ。





人がいなかった。

ものすごく簡単に言うと。

家の前の交通量の多い道路には車の姿は無い。

いつも決まった時間に犬を連れて歩いているお婆さんも今日は見かけない。

少しだけ不安になった。


本当に人はいないのか、と道路沿いのコンビニエンスストアに向かってみる。

中の明かりはついているものの、客も店員もいなかった。

ズボンのポケットに入っているスマートフォンを確認してみると時計は動いている。

「時間が止まった」というSFのような事態ではなさそうだ。

少しだけほっとした。


・・・いや、安心している場合じゃない。

とにかく人が見当たらなかった。自分の他に。

周りを見渡してから僕は手に持っているスマートフォンで連絡帳に入っている友達に電話をかけてみた。

1分ほどコールしてはみたが友達は応答しない。

諦めて次の友達へと電話。

しかし出ない。

諦めて次の友達。次の友達。次。次。次。

ついに電話をかける相手がいなくなってしまった。


僕は急にものすごい不安感に襲われた。