担当の現場が終わり、

次の現場まで何か月か空くことになった。

 

仕事から帰るのが早いので、

夕飯の準備はしばらく僕の仕事だ。

仕事帰りにスーパーに立ち寄り、

献立を考えながら買い物をするのが日常になった。

 

ある日、いつものようにスーパーで

買い物をしていると、

「あれ?この人、どこかで見たような、、、」

という女性が目の前を通り過ぎた。

 

誰だっけ?

死んだ魚のような眼をして、

暗い表情で買い物をしている。

どこで見た人だっけ、、、。


 

つらいときは、甘いものに慰めてもらおう。

 

しばらくして、

同じテニスクラブに所属する女性だと気づいたのだが、

テニスをしているときのイキイキした雰囲気

とのギャップが凄くて、まるで別人のようだった。

 

その女性はテニスのレッスン中にときどき、

ご主人と上手くいっていない、

という趣旨の話をする。

 

それほど親しい訳ではないので、

踏み込んだことは分からないのだが、

ご主人は日頃から家事を全くしないこと、

そして寂しい思いをしていること、

は会話から垣間見ることが出来る。

 

家に帰るのに、

あんなに暗い表情をしないといけないくらい

辛いなんて。

彼女の夫は開業医なので、

少なくとも経済的には恵まれているはずなのだが。

 

なんとも言えない気分で彼女の背中を見送った。