FIREを直撃!配当控除の仕組みが変わる! | 視覚障害投資家のHappy Days

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金融所得課税の強化はいったん見送りとなり、配当金でFIRE生活を謳歌している人、目指している人はひと安心しました。
ところが、一昨日発表された税制改正大綱において配当控除の扱いを変えるとの記載があり、FIRE界隈に大きな衝撃を与えているみたいです。

これは、配当生活を目指している僕も、他人事ではない!


問題の文言は、税制改正大綱の91ページにありました。

「個人住民税において、特定配当等及び特定株式等譲渡所得金額に係る所得の課税方式を所得税と一致させることとする」


お上の出す文書って、ホント難しいですよね。
これだけではサッパリわからないので、具体的な数字を使ってどれぐらい影響があるのか見ていきたいと思います。


Aさんは大阪市内で1人暮らしをしていて、年齢は40歳。
配当金生活を楽しんでいます。
収入は国内株式から得られる配当金200万円のみ。
扶養家族はおらず、生命保険にも入っていません。
国民健康保険に入っていますが、計算を簡単にするため、社会保険料控除についてはゼロとして考えます。
2021年現在、Aさんは税金の申告として、以下の主に3つの方法から選ぶことができます。


【1】配当金について、所得税は総合課税、住民税は申告不要(源泉徴収)を選択
(今回の税制改正大綱で、令和6年からこの選択はできなくなる見込み)

所得税は、配当控除を受けられるので、ゼロ。
住民税は、配当金200万円から源泉徴収された5%=10万円。

住民税は10万円だが、これは源泉徴収されたものであるから、住民税非課税世帯の扱いを受けられる。
住民税非課税世帯ということで、医療費が高額になった際受けられる高額療養費制度の負担上限額は月額35,400円となる。
また、国民健康保険料は最安の26,502円となる。



【2】】配当金について、所得税も住民税も申告不要(源泉徴収)を選択

配当金は、受け取るときに所得税15.315%、住民税5%が勝手に源泉徴収される。
確定申告や住民税の申告をせず、この源泉徴収だけで税金関係の手続きを済ませることができ。
この場合、Aさんは所得税として306,300円、住民税として10万円支払うことになる。
支払う税金は【1】より多くなるが、住民税非課税世帯として扱われるので、【1】と同じ恩恵が受けられる。


【3】配当金について、所得税も住民税も総合課税を選択

所得税は、【1】と同様配当控除を受けられるので、ゼロ。

住民税は、以下のように税額が決まる。

 

・課税所得は、配当金200万円から、基礎控除43万円を引いた157万円。
・住民税は10%なので、ここから算出される住民税の所得割は、157,000円。
・配当控除として配当金の2.8%が税額控除される。
56,000円が税額控除されるので、住民税の所得割は101,000円で確定。
・住民税が課税される人には一律5,300円の均等割が課税されるので、所得割と合わせて支払う住民税は106,300円となる。

住民税課税世帯なので、高額療養費制度の自己負担上限は月額57,600円となる。
また、国民健康保険料は、303,755円と、かなり高額になってしまう。



いかがでしょうか。

支払う税金と国民健康保険料の合計を比べてみると、
【1】126,502円
【2】406,300円
【3】410,055円

となります。

現在の制度では、絶対的に【1】がお得ですね。

今回の税制改正大綱により【1】が使えなくなると、【2】【3】から選ばなくてはなりません。
Aさんの場合は、【2】のほうがよさそうです。
金額が若干安いこともありますが、やはり住民税非課税世帯の恩恵は考慮しておかなければいけないと思います。


ただし、実際は支払った国民健康保険料が社会保険料控除として使えるし、その人が住民税非課税世帯の恩恵をどれだけ活用できるかというのも違ってくるので、一概に【3】がダメとも言えないんですよね。


まあいずれにせよ、【1】が圧倒的にお得であることは間違いない。
ここを潰しにきたということは、国はFIREに対し目を光らせ始めたと捉えてもいいのではないでしょうか。

こうやって制度が変わると翻弄されてしまうということも、FIREを志す者としてはしっかり意識しておくべきなのだと気づかされました。