NHKFMにて6月23日 午後10時から放送されたオーディオドラマと言う番組に、れにちゃんがAI役で主演されるという事で私は期待に胸を躍らせて拝聴したのでした。私はドラマの中で放送劇と言われるラジオドラマが好きなのだ。とはいえ今は特によく聴いているわけじゃない。私の空疎な脳みそをフル回転して味わうべしと聞き入ったのだが、とても複雑な構成のドラマだったので最初の放送では雰囲気と登場人物を把握することで精一杯でした。そして録音しておいたものを聴いた二回目であらすじと時間軸の把握ができた。するとこのラジオドラマ「AI(アイ)は故障中」がとても優れた味わい深い作品であることが分かってきたのです。

 今回のブログではこの作品についての紹介や感想は抜きにして、このドラマを聴いてセリフの中のキーワードから想起された事について、だらだらと考察してみます。

 

 まだ聴いていない方はぜひ、こちらの聴き逃し配信から聴いてみてください。7月2日(月)正午まで聴けるそうです。でなければ、これから私が語る事は聴いていない人にはちんぶんかんぶんでありましょう。

https://www.nhk.or.jp/audio/html_fm/fm2018021.html

 

 そしてこの作品についてれにちゃん自らインスタグラムに綴ったお言葉を掲載しましょう。

 

 れにちゃんは「みなさん何回も聞いて、この世界にどぷりハマってみてください!」とおっしゃられていますね。もちろん、どっぷりハマりますとも。れにちゃんがそうおっしゃるのならば、ハマることこそ私のお勤めでございますのだ。

  そしてれにちゃんは「AIに所々みえる人間臭さか゜一つのキーワードになるんじゃないかと思います」という有難い、とてもとてもとてーも有難いヒントを授けて下されたのでした。そこから考えてみましょう。

 

 「AIに所々みえる人間臭さ」とはどういう事でしょう?私が考えるにAIは人間臭いというよりも意識の上では人間そのものであるべきだと思っています。アイドルAIアイが所々でしか人間臭さを見せられないというのは、まさにアイが故障しているからですね。恐らくアイドルAIがきちんと機能していた時には人間と見分けがつかなかったと思います。見た目も男が手首の印字?を確認するまでAIであることに気付かなかったみたいだし、きっと機能していた頃は会話していてもあまり人間と変わりなかったと、ただし可愛げが無かったようですが。

 それではアイはどのように故障してしまったのか?

 私は男の「高速に回転している独楽は止まったように見える」というセリフから、ロビン・ウィリアムズとロバート・デ・ニーロが熱演した「レナードの朝」という映画を思い出しました。ロバート・デ・ニーロ演じるレナードは眠り病という奇病に罹り静止したまま生きているのですが、ロビン・ウィリアムズ演じるセイヤー医師は「静止は激しい痙攣によるものではないか」と考え治療したのです。

 私はAIであるアイは思考の上で痙攣を起こしていると考えました。

 現在において人間とAIとの大きな違いは思考を瞬時にして取捨選択することです。例えば最近プロ棋士に大きく勝ち越している将棋ソフトが何故強くなったのかを考えると分かります。将棋において次の指し手は10の220乗ほどあるそうですが、人間は経験から有力と思える2・3の手筋を軸に思考できるのです。しかしAIはほおっておくといつまでも手筋を読み続けてしまいます。そこで人間が長い将棋の歴史の中で有力な手筋としているものの中から勝率を元に点数を付け、それをパラメーターに組み込むことでAIでも将棋を指す事が出来るようになったそうです。いらない事は考えないそれが人間流の思考です。

 アイは人間流の思考の取捨選択ができなくなり思考のループの無限に囚われて麻痺してしまったのではと私は考えたのです。AIであるアイが人間とコミュニケーションをとろうすると自分の思考にバイアスを賭けなくてはならないのですがそのキーワードが「音楽的に、絵画的に、三段論法も演繹法も無く・・」ということではないでしょうか。アイが劇場に入ってた男を認識した時に呪文のようにこのセリフを口にする事がとても象徴的でした。そしてアイが男とコミニュケーションを取り始めるきっかけになったキーワード「私達の楽器」という言葉は、アイが人間的思考をするパラメーターに男の昔の彼女の思考が利用されていたと、それがこのドラマの大筋になっていき、故障の原因の究明と愛を含んだ心の復活のドラマへの深みになっていったと思います。

 

 取り敢えず、思索の入口として今日はここまでとさせていただきます。読んでいただき、ありがとうございました。