映画の話が続きますが、ごめん下さい。
私が小学生の頃は、夏休みになると東映系の映画館では「東映まんが祭り」といふ、この時期だけの催しがありました。これに加はる映画作品はだいたい一本40分から50分くらいで、それが5、6本観られるので、子供心にとても楽しいものでした。
恐らく夏休み時期、親にとつても、毎日毎日騒がしく、昼飯も食べさせねばならず、さうでなくとも子供は手がかかるのですから、終日映画館に閉じ込めておける「東映まんが祭り」は内心、大人も重宝してゐたことでせうね。
私が覚へてをりますのは、東映系漫画だけではなく「忍者部隊月光」「隠密剣士」といつた、家で毎週見てゐる30分番組の特別編としての劇場版があつたり、工夫を凝らしたすぐれたコラボとなつてゐたのが印象に残つてをります。
昼頃におやつやジュースを持つて映画館に入り、全部観終へて出てくると、外はもう暗くなつてをり、それがまた子供心に神秘的でわくわくするのでした。
第二次大戦後、映像の世界はとりわけアメリカの占領政策に深く影響されたことは広く知られてをります。平和主義の美名の下に、日本の神話を否定し、武士道や、いはゆる「敵討ち」ものは排斥されたと聞いてをります。しかし、私が小学生の頃は、さほど影響はなかつたやうに記憶します。
多分この「東映まんが祭り」で観たと思ふのですが、「わんわん忠臣蔵」といふアニメがありました。父母を失つた子犬が主人公で、重なる苦労の中で仲間を増やし、最後に「キラー」(吉良ではなく)といふ親玉犬に敵討ちを遂げるといふ内容でした。題名のとほり「忠臣蔵」がそのベースであつたわけです。
もう一つ覚へてをりますのは「スサノヲの大冒険」といふ大型アニメです。言ふまでもなく古事記に登場する須佐之男命(スサノヲノミコト)が主人公の少年として登場し、高天原での悪戯の数々、天の岩戸、姉・天照大神(アマテラスオホミカミ)との別離が描かれ、最後は櫛名田姫(クシナダヒメ)を救ふために八岐大蛇(ヤマタノヲロチ)を退治するといふ内容でした。
いずれの作品も手に汗を握る大冒険ドラマで、小中学生が大勢映画館に押しかけ、スクリーンに向かつて拍手し大盛況だつたことを覚へてをります。
現在はこのやうな日本回帰のアニメを子供達がたのしむといふ環境は、なかなか実現しさうにありません。
「東映まんが祭り」以外にも、お盆時期には、東映或いは東宝制作による超大型戦争映画が例年封切りされました。小学校6年時には「日本の一番長い日」といふ、昭和20年終戦を巡る日本と阿南陸相を描いた作品、その後、真珠湾攻撃を描いた「トラ・トラ・トラ」、特攻隊の産みの親・大西瀧次郎氏の苦悩を描いた「嗚呼決戦航空隊」なども終戦記念日頃の公開だつたかと思ひます。
さういつた男性的な戦争映画もあれば、「嗚呼ひめゆりの塔」「火垂るの墓」「黒い雨」といつた全日本人が意気消沈するやうな反戦映画まで、終戦を想起する日本の夏は、様々な戦争と人間を描いた作品の数々が公開される季節です。今年はどのやうな映画・ドラマが観られるのか、楽しみにしてゐる私です。