過日、伊丹市に在る特価スーパーへ買ひ物に参りました。そこで珍しい菓子を発見しました。
これです。
その名も「シベリア」とのこと。外装には「シベリア鉄道の線路に見立てた」と記載されてをり、或る感慨を覚ゑました。シベリア鉄道、とりわけ第二シベリア鉄道(バイカル・アムール鉄道)には第二次大戦末期から戦後長らく、シベリアに抑留された日本人捕虜が強制労働で動員され、真偽は判りませんが「枕木の数の日本人捕虜が寒さと餓へで亡くなつた」といふ逸話は、私どもの年代以上の者が一度は耳にしてをることでせう。
喩ゑてみれば「ヒロシマ」といふ名の菓子がアメリカで売られてゐるやうなものです。菓子はカステラにアンコを挟んだ、可も不可も無い品物ではありましたが、食し乍らしばし物思ひに囚はれたものです。
さて、それがしの大学の後輩に、いま神戸市会議員を務める長瀬たけし氏が居ります。
神戸市須磨区の「須磨寺」にて毎年10月第一日曜に挙行される「シベリア満蒙戦没者慰霊碑」の慰霊法要を、若い人の手で引き継がむ…といふ志を、その長瀬大兄から聞くに及び、素晴らしいことだと思ひました。
自身シベリア抑留の身であつた須磨寺の前管長様を中心に、齢90を越ゑる方々が中心となつて行なはれてゐた「雪の同窓会」といふ催しが、管長の逝去よりのち自然消滅。その後も寺では独自で法要を行はれてをつたさうです。頭が下がります。
この遺志を引き継ぐべく、地元須磨の生まれである長瀬大兄が呼びかけて、今年から法要と講演を開催するといふので、10月1日(日)に参加して参りました。
須磨寺には西村眞悟議員も来てをられ、ご挨拶されました。
圧巻だつたのは、遺骨収集を数回挙行された、日本遺族会の方のお話です。百を越える遺骨、独りずつ丁寧に埋葬したものもあれば、大きな穴に合葬したものもあります。それぞれの事情があつたに違ひありません。
収集に当たる大学生のボランティアと共に、多くの遺骨を焼葬する様が、スライドや写真で紹介され、一同粛然とした思ひになりました。
独り今も戦友の慰霊を続けてをられる老爺が居られ、臨時でお話をされました。抑留者の中から選ばれた「埋葬役」の人々の悲しみ、凍土の時期は穴が掘れないので遺体を裸で保存しておく… そのくだりでは、出席者の多くが涙を禁じ得ませんでした。
終始気が重いお話であるのは致し方ありませんが、ただ一つ嬉しかつたのは、出席者に若い人たちが大変多いことでした。
差し出がましく私ごときが申し上げることではありませんが、これまでの須磨寺のご厚志と、世話役の長瀬たけし氏には厚くお礼を申し上げたい気持ちです。 合掌




