古稀を過ぎたトリトンのブログ -168ページ目

古稀を過ぎたトリトンのブログ

団塊世代よりも年下で、
でも新人類より年上で…
昭和30年代生まれの価値観にこだはります

 私が大学1回生の頃、大変怪しげな短期アルバイトの話を受けたことがあります。

 

 半世紀続いた東本願寺の内紛「お東さん紛争」の報道を目にされた方は、かなり多いのではないでせうか。

 今回、その概要をお話に取り上げやうと、ネットで調べるのですが、部外者には何が何やら解らぬ揉め事でもあり、飽くまでテーマとは無関係なので省略致します。

 ただ、昭和44年頃に、浄土真宗の宗祖親鸞の血を引くといふ大谷家と、実務を運営する内局とが激しく対立したことが発端であることだけは理解できました。今回のお話はその3、4年後の事です。この「お東さん紛争」の難局を利用して、我々大学生に小遣ひ稼ぎをさせてやらむといふ、先輩の企てが事の始まりでした。

 

 京都に在る大谷大学のOBで、切れ者で知られるM氏。氏から武道系の屈強な者を集めて欲しいといふ依頼を受け、関西の大学の空手、日拳、柔道部等の現役学生に声をかけ、集まつてもらひました。

 

 

 当時、「東山浄苑」といふ浄土真宗の墓地をめぐる大谷家骨肉の争ひがあつたさうな…。

 M氏は、その苑に住まはれる理事長(門主の子息らしい)の身辺を脅かす動きがある…といふ噂を流して、危機感を煽り、ボディガードが必要だといふ話を作り上げたやうでした。武道系の学生を交代で24時間、その人物に張り付ける… それが今回のアルバイトの概要です。

 

 理事長は大学教授でもあるため、学生ボディガードが、昼は車に同乗して講義にも随行、夜は東山浄苑に徹夜で泊まり込むといふ仕事内容でした。

 有るか無いか判らない(たぶん無い)危機が前提ですが、伸縮自在の特殊警棒を腰に、周囲に目を配り、いかにも警護してゐるといふ雰囲気を匂わせる必要がございます。恐らくその時点で、小柄な私は失格であります。

 

 私は全く武道経験がありませんが、補欠といふことで仕方なく時々参入致しました。理事長は時々車中で私にも声をかけて下さいました。

 

 理事長「昨日は空手3段の学生さんが付いてくれたよ。君は何段かね?」

 トリトン「私…ですか、えーつと4段です」

 理事長「おお、それは凄い。武道は何かね?」

 トリトン「あの~、書道ですが…」

 理事長「……」

 

 因みに、書道4段といふも小・中学校部門です。

 後日M氏からこつぴどく叱られました。何でもいいから武道をやつてゐると言わんかい!と。

 

 翌日から、私は昼間の警護から外され、専ら夜の東山浄苑に回される事になりました。

 そもそも架空の危機管理から出た話なのですが、昼間の学生が朝7時から夕方5時まで、緊張感を演じて理事長にぴつたり張り付いてをるのに対し、夜の学生は残りの夜間14時間を眠らずに居れば良いだけです。人生、何が幸ひするか判りません。

 本雇ひの守衛職員はと言へば、控え室で毎晩エロ漫画ばかり読んでをりました。それを後目に、私は大きな黒い番犬と仲良しになり、真新しい東山浄苑の前庭で犬と戯れ、ランニングと居眠りに終始するばかりだつたのでありました。

 
ペタしてね